著者
ティムソン ジョウナス
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.207-212, 2014-06-01

2010年に文部科学省から出された『大学図書館の整備について(審議のまとめ)-変革する大学にあって求められる図書館像-』では,大学の教育機能に対する社会的要請が急速に高まっている中で,図書館員による教育支援がこれまで以上に期待されていること,そして効果的な教育支援を実現するための専門性が図書館員に求められていることが記されている。本稿では,これから大学図書館員として働こうとしている人を対象として,大学図書館の実際の業務の内容と,それらの業務を最大限に展開するための要素を踏まえながら,教育に関わる図書館員として活躍していくために必要な知識や専門性について述べた。
著者
有川 節夫 渡邊 由紀子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.200-206, 2014-06-01

科学技術・学術審議会の学術情報基盤作業部会(2010年)及び学術情報委員会(2013年)による「審議のまとめ」をふまえ,主に大学図書館を対象に,図書館員の変わりゆく役割について考察する。現在の日本における大学や大学図書館が置かれている状況を整理したうえで,今後の図書館に起こり得る変革も視野に入れて,大学図書館員に求められる新たな期待と役割について説明する。また,九州大学が2O11年に開設した「教材開発センター」や大学院「ライブラリーサイエンス専攻」等の活動を紹介しながら,図書館員の人材育成・確保のための仕組みを構築する方法について述べ,最後に,図書館員の未来について展望する。
著者
鈴木 寛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.3-8, 2001
参考文献数
10

IT革命に対応して図書館のE化を進めていくためには, 現行の著作権制度が障害になる。この問題を解決するためには, 法律改正や, 知的財産権流通市場を創設することなどもその方法の一つとして考えられるが, そうした方法は, 時間と手間を要するという問題がある。これに対して, 大学図書館などが利用者及び学者によるコミュニティを組織化し, 著作者と利用者の双方にプラスとなる知識創造の新たな自発公共圏を生み出す可能性がある。
著者
高久 雅生
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.162-169, 2014-05-01

Web APIは情報サービスの,とりわけWeb上で提供されるサービスにおいて,縁の下の力持ちとして欠かせない位置を占めつつある。本稿ではWeb APIの提供と利用の両面から類型を示しながら,その歴史的な意義と機能を紹介する。学術情報分野を中心にWeb APIの提供事例とマッシュアップ事例を挙げるとともに,その利用目的やデータ形式,ライセンス,永続性といった点を取り上げて議論し,Web APIがもたらしている役割を解説する。
著者
川嶋 斉
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.188-194, 2014-05-01

近年では国立情報学研究所や,カーリル,国立国会図書館などから,公共図書館でも活用できそうなWeb APIの提供が開始されている。このようなWeb APIを取り入れ,自館のWebサイトと他のサイトの連携を図ることによって,Web-OPAC設置以後,長く停滞してきた公共図書館のWebサービスを変えられる可能性がある。本稿では野田市立図書館を例に,JavaScript上でのWeb APIの利用方法と,公共図書館サービスでAPIがどのように活用されているかを紹介する。また,野田市立図書館がWeb APIを取り入れるようになった経緯について触れ,そのきっかけとなったゆうき図書館「新着雑誌記事速報」でも使われている,Google Feed APIを,JavaScriptでWeb API活用の入り口として紹介する。
著者
山地 一禎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.54-59, 2014-02-01

大学や研究機関では,多くのオープンソースソフトウェアが公開されている。その多くは,個人やチームで利用するものを単に公開しているにとどまり,大きなコミュニティにまで発展している例は数少ない。あるいは,日本の学術関係者が海外のオープンソースソフトウェアの開発に積極的に関与している例も多くない。諸外国に比べ日本では,オープンソースソフトウェアに対する理解や活動が低いのが現状である。本稿では,学術機関においてオープンソースソフトウェアを開発・活用する意義を概説するとともに,これまでに開発してきたリポジトリソフトウエアWEKOの開発事例を紹介する。さらに,筆者が関係しているオープンソースコミュニティの活動状況や,その背景にある政治的な側面についても言及する。
著者
久永 茂人 高久 真一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.140-145, 2014-04-01

国立国会図書館では多数のマンガ単行本(コミックス)やマンガ雑誌を所蔵している。マンガ雑誌を中心とした所蔵および利用状況について踏まえたうえで,マンガの破損の実例とその補修方法について事例報告する。当館で所蔵しているマンガ雑誌は約1200誌である。利用冊数が多い雑誌の上位15誌に,マンガ雑誌は6誌が入っている。マンガ単行本は,分類による抽出が十分にできないためリスト化が困難である。作りが簡易であること,材料の質がよくないこと,利用が多いことから当館ではマンガの破損が問題となっている。破損したマンガ単行本は,主に無線綴じの綴じ直しの手法で補修している。破損したマンガ雑誌は,再製本したり破れたページを和紙で補修している。
著者
池川 佳宏 秋田 孝宏
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.133-139, 2014-04-01

平成22〜23年度の文化庁メディア芸術デジタルアーカイブ事業マンガ分野において,国立国会図書館,川崎市市民ミュージアム,明治大学米沢嘉博記念図書館,京都国際マンガミュージアム,大阪府立中央図書館国際児童文学館の5つの機関のマンガ所蔵をデータベース化するプロジェクトが行われた。これに際し,どのような内容のデータを集め,どのような共通のメタデータ項目を設定し,どのようにデータを整理し書誌の同定を行ったかについて,実際の作業内容をもとに報告する。また,プロジェクトの成果として,現在,所蔵元が明確なマンガについて,その数量を明らかにした。