著者
太箸 俊宏 坂口 光晴 岡本 徹 菅原 仁 中川 仁 金原 一宏 杉山 善乃
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.A0952, 2004

【目的】足趾は歩行周期の推進期において、推進力を得るために足趾の屈曲による直接的な動力源として、また、間接的な力の伝達器としてハムストリングスや下腿三頭筋などの収縮力を推進力へと転換する役割を果たしていると推測した。今回、足趾屈曲力と歩行速度との関係について若干の知見を得たためここに報告する。<BR>【対象及び方法】対象は本校学生80名(男性30名,女性50名,平均年齢19.5±2.5歳)、足趾屈曲力及び最速歩行速度、通常歩行速度について測定した。足趾屈曲力の測定姿位は端坐位で膝関節軽度屈曲位、足関節中間位、足趾軽度背屈位とし、ベルトを用いて前足部を測定台SPR-6510(酒井社製)に固定した状態で、円筒形状握力センサSPR-6570(酒井社製)を用いて測定した。歩行速度は、14mの歩行路において前後2mずつを助走距離とし、10m通過時間を計測した。<BR>【結果】最速歩行速度において男女で有意差(P<0.05)が認められ、足趾屈曲力においても男女で有意差(P<0.01)が認められた。相関係数は、男性は最速歩行速度と利き足足趾屈曲力がr=0.49、非利き足足趾屈曲力がr=0.64、女性では最速歩行速度と利き足足趾屈曲力がr=0.51、非利き足足趾屈曲力がr=0.53となり、男女ともに最速歩行速度と利き足足趾屈曲力、非利き足足趾屈曲力との間にかなりの相関がみられた。また、男女ともに通常歩行速度と足趾屈曲力との間に相関は認められなかった。<BR>【考察】男女ともに足趾屈曲力と最速歩行速度との間に相関がみられたことは、上肢筋群、体幹筋群、下肢筋群の協調的な働きなどによって生じる推進力を、足趾が効率よく床面へと伝達し、筋出力を推進力へと転換するための重要な役割を果たしていることによると考えられる。また、通常歩行速度と足趾屈曲力との間に相関が認められなかったことから、足趾屈曲力に対して外力や推進力が強い際に影響が生じると考えられる。よって、予備能力の低下している高齢者や、廃用性による筋力低下が生じている症例に対して、歩行効率の改善を目的とした理学療法を施行する際、足趾屈曲力に対して評価及びアプローチを行うことは有用であると考えられる。<BR>【まとめ】歩行効率の改善を図る際、足趾屈曲力の低下している症例においては足趾屈筋群に対してもアプローチを行うことにより、より良い治療効果を得ることが期待できると考えられる。なお、今後歩行効率に影響を及ぼす足趾屈曲力以外の因子を追求し、足趾屈曲力の歩行時における重要性の裏づけを行うとともに、歩行以外の日常生活活動と足趾能力との関連についても検討していきたい。
著者
西田 勇人 中川 仁 正源 和義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.93, no.40, pp.5-10, 1993-05-21
被引用文献数
3

放射電力可変型21GHz帯全国放送衛星システムにおける電力分配量の制御法を検討した。この制御法は、日本各地で21GHz帯衛星電波を受信し、受信電波減衰量の短時間での変化に応じて電力を分配する方法であり、さらに全国約1300地点の1時間毎のアメダス降水量データを併用する。この方法の有効性を確認するために、全国6都市での12GHz帯のBS-2b電波の1分間毎測定値から計算した21GHz帯での減衰量と、アメダスを併用した電力分配シミュレーションを行った。その結果、所要C,Nを下回る時間率が、アメダスのみ使用した場合に比べ6都市平均で68%に減少し、回線維持率の向上が確認できた。また、シミュレーションにより本衛星システムの妥当性を確認した。
著者
栗山 志帆 大多和 泰幸 村岡 孝幸 中川 仁志 鷲尾 一浩
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1805-1809, 2021 (Released:2022-04-30)
参考文献数
12

G-CSF製剤投与後大型血管炎の報告例は増加しているが未だ少なく,病態も不明な点が多い.今回,術後補助化学療法中のpegfilgrastim投与後に発症した2例を経験したので報告する.1例目は78歳の女性.右乳房全切除+腋窩リンパ節郭清を施行(浸潤性小葉癌,pT2N2aM0,Stage IIIA).術後TC療法を開始し,1コース目のDay3にpegfilgrastimを投与した.Day6より発熱および炎症反応の上昇を認めた.2例目は70歳の女性.右乳房切除を施行(浸潤性乳管癌,pT1cN0M0,Stage IA).術後TC療法を開始し,1コース目のDay3にpegfilgrastimを投与した.Day13より発熱・腰痛および炎症反応の上昇を認めた.2例とも造影CTで診断確定した.G-CSF製剤の使用頻度の増加に伴い,大型血管炎の発症例が増加する可能性があり,更なる症例の蓄積が必要と考えられる.
著者
中川 仁 桃木 徳博
出版者
Japanese Society of Grassland Science
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3-4, pp.234-241, 2000-12-25 (Released:2017-07-07)
参考文献数
10

沖縄県石垣島において, ギニアグラス3品種(「ナツカゼ」, 「ナツユタカ」, 「ガットン」)と3系統(「九州3号」, 「Tift PM39」, 「Tift PM41」), グリーンパニック1品種(「ペトリー」)およびローズグラス2品種(「ハツナツ」, 「カタンボラ」)を供試して, 新規に播種を行った試験区と4年前に播種を行った試験区について, 3年間にわたって乾物収量, 生育特性, 耐乾性, 永続性および出穂等の調査を行った。供試した品種系統の中で「ナツユタカ」の3年間の合計乾物収量が, 新規播種区, 4年前播種区共に他の品種系統よりも有意に高く, 耐乾性が優れることから永続性に勝ることがわかった。「ナツユタカ」に次いで, 「九州3号」, 「Tift PM39」および「ガットン」の乾物収量と永続性が優れていた。また, 「九州3号」は特に冬期の収量と刈取り後の再生力に優れることから放牧利用品種として期待できる。温帯圏における一年生栽培において最も多収を示す「ナツカゼ」は, 播種1年目の乾物収量が「ナツユタカ」と同程度に高かったが, 他のギニアグラス品種系統よりも永続性が低かった。ローズグラス2品種とグリーンパニックはギニアグラスよりも永続性が劣り, 播種7年目に「カタンボラ」は完全に枯死した。これらの結果から, 「ナツユタカ」をはじめとする数種のギニアグラス品種系統は劣化したローズグラス草地の追播あるいは新規造成用の品種として有望であることが明らかとなった。また, 刈取時の出穂パターンより, 「ナツカゼ」, 「ナツユタカ」および「カタンボラ」は日長感応性が高いことが示唆された。「ナツユタカ」が最も出穂しやすい時期は, 石垣島では降雨の多い9月から1月であることから, 採種が困難であることも示唆された。
著者
中川 仁 青木 清 大東 俊一
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.49-59, 2011-02-10 (Released:2011-05-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2

養成過程にある理学療法士の心身ストレスを性格類型との関連から明らかにすることを目的として,理学療法士養成校の学生84名と新人理学療法士102名に対し,ストレスについてアンケート調査とYG性格検査を行った.このアンケート結果を因子分析して,ストレス因子を抽出した.重み付けした因子得点を従属変数として,臨床経験の有無およびYG性格類型を独立変数として分散分析を行った.その結果,4つのストレス因子が抽出された.気分の変調因子は臨床経験と性格類型のそれぞれに,対人関係因子は性格類型についてのみ主効果が見られた.また,将来の見通し因子は交互作用がみられたが,食欲不振因子は関連がみられなかった.これらのことより,新人理学療法士のB·C類では気分の変調に陥りやすいことが考えられた.また,E類以外の新人理学療法士は将来についての葛藤に悩まされる可能性があることが示唆された.なお,対人関係は性格による違いはなく,食欲不振は誰にでも生じ得るストレスであることが明らかになった.
著者
中川 仁
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.403-410, 2002 (Released:2002-09-01)
参考文献数
1
被引用文献数
5 2

“EBM(科学的根拠に基づく医療)”という用語が1997年ごろより日本国内においても急速に広がっているが,正しく理解されて用いられているとは言い難い。EBMは臨床疫学に基礎を置きながら,1991年にカナダMcMaster大学のGordon Guyattによって提唱された概念である。“EBM”という用語を用いるとき,本来の概念・考え方を理解したうえで用いることが必要であると考え,その定義・歴史・実践方法・学び方などについて解説した。これらEBMの全体像を理解したうえで,“EBM”を実践していくべきである。
著者
中川 仁 Jin Nakagawa
巻号頁・発行日
pp.1-67, 2012-01-01
著者
中川 仁
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.274-283, 2009
参考文献数
36

植物は光合成によって太陽エネルギーを最も効率よく利用している生物である。すなわち、大気中の二酸化炭素(CO2)と大地の水(H2O)を原料にし、太陽エネルギーによって炭水化物(CH2O)と酸素(O2)を作り出すことができる。ここで生産された炭水化物を燃料として燃焼しても、原料として用いたCO2が大気中に放出されるため、基本的に大気中のCO2量は増加しない計算になり、これをカーボンニュートラルと呼ぶ。これが、化石燃料をバイオマス燃料で代替することによる大気中CO2の削減が期待されている理由である。しかし、ここで植物を栽培するプロセスが重要であり、植林なしに単に山の木を伐採して燃料利用するだけであれば化石燃料を浪費する行為と大差はない。バイオマス生産を行うことそのものがカーボンニュートラルであることを忘れてはならない。ここ1、2年のバイオマス燃料に対する関心の高まりは目を見張るものがある。農林水産省においても2007年度から「地域活性化のためのバイオマス利用技術の開発」プロジェクト研究が開始した。このプロジェクトは、国産バイオ燃料の利用促進を図るために、サトウキビ、テンサイ(甜菜)、バレイショ(馬鈴薯)、カンショ(甘藷)およびソルガムを原料にしたバイオエタノール生産コストを大幅に削減する技術を開発し、実用化することが目的であり、政策目標として、国産バイオエタノールの生産コストを10年で現在の半分以下に削減することを目指している。この中で草本系イネ科植物として対象作物に選ばれているのが熱帯イネ科作物(C4植物)のサトウキビと高糖性ソルガム、すなわちスイートソルガムである。
著者
曽根原 理 牧野 和夫 福原 敏男 佐藤 眞人 大島 薫 松本 公一 岸本 覚 山澤 学 大川 真 中川 仁喜 和田 有希子 万波 寿子 クラウタウ オリオン 青谷 美羽 杉山 俊介
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の近世社会において、東照宮が果たした役割を考えるため、関係する史料を各地の所蔵機関などで調査した。また、近世初期に東照宮を設立する際に基盤となった、中世以来の天台宗の展開について、各地の天台宗寺院の史料を調査した。加えて、年に二回のペースで研究会を行い、各自の専門に関する報告を行い議論した。そうした成果として、日本各地の東照宮や天台宗寺院に関する著作と論文を公表することが出来た。