著者
ウルフ スティーブン
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.557-564, 1994-10-01 (Released:2008-05-30)

本稿はNetWorld+Interop 94 Tokyo における基調講演「国家的情報基盤 (NII) の整備の進展について」を編集, 収録したものである。全米科学財団 (NSF)で研究用のネットワークの拡大, そしてインターネットの促進に携わってきた経験を基に, NII構想の歴史, その構築の意義, 今後のあるべき方向性, 構築の際の諸問題について述べた。ブッシュ政権の頃から現在まで広く政府の中で支持されてきたNII構想は, 共有財産としての知識の拡大がその目的であり, 民主主義のメモファーとも言えるものであるとして, オープン·データ·ネットワークを基礎概念としてインターネットを核に, 知識の共有の拡大と誰もが使える開放性を目指さなければならないと説いた。またそのために乗り越えなければならないプライバシーの保護, 知的所有権などの諸問題についても触れている。
著者
越村 俊一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.822-828, 2017

<p>最先端のシミュレーション・センシング・ICTを統合し,津波発生直後のきめ細かな津波情報や,迅速な被害情報の推計・把握と配信を通じて被災地を支援し,災害に対するレジリエンス(回復力)の向上とわが国の国土強靱化に資する,世界最先端のG空間防災モデルを確立した。スーパーコンピューターの活用により,沿岸部10mメッシュ分解能でのリアルタイム津波浸水予測(浸水する範囲と深さの予測)を可能とし,その予測とG空間情報の活用による建物被害予測を,地震発生から20分以内を目安に完了させ,実証自治体での災害対応の基盤情報に組み込んだ他,準天頂衛星からのメッセージ送信や災害に強いワイヤレスネットワークを活用し,住民等の利用者に対して確実に情報を配信するシステムを構築した。東北地方の津波被災地,南海トラフ巨大地震による被害が想定される自治体において本システムの実証実験を行い,システムの活用性を高めることができた。</p>
著者
高橋 寿人
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.909-916, 2001
被引用文献数
1 1

IT革命が進む中,情報活動は従来の情報管理の視点からナレッジ・マネジメントの視点に大きく変化している。この潮流の潮目にあたる現在,情報企画部門として,どのように情報活動の再構築を図るべきか,我々が取り組んでいるナレッジ・マネジメント活動の結果を踏まえた情報活動について,ナレッジ・マネジメント・システムの中核となる「情報区分システム」と「利用者ニーズ把握システム」について概説する。日々の情報活動を通じて,利用者ニーズが蓄積され,つぎに続く情報活動に反映するシステムの運用および情報の組み替え手法(コンテンツからコンテクスト)について報告する。
著者
富澤 宏之 林 隆之 山下 泰弘 近藤 正幸
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.2-10, 2006 (Released:2006-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

科学研究とイノベーションの関係の分析のために,特許における科学論文の引用頻度を指標化したサイエンスリンケージ指標が貴重なツールとして用いられてきたが,この指標は引用された科学論文の多様な情報を全く反映していない。そこで,本研究では,有力特許に引用された科学論文のリストを作成し,それをScience Citation Index (SCI)データベースと照合させて書誌情報を取得し,その特性の分析を試みた。この分析により,有力特許に引用された科学論文における日本のシェアは,米国とイギリスに次いで大きいことが確認できた。また,特許発明の源泉となった科学知識の生産に関して,世界的に大学が主要な貢献をしていることや,日本の政府研究機関の貢献は他の国の政府機関と比較して小さいと考えられることが明らかになった。また,日本のライフサイエンスに関して,1) 特許件数が少ないこと,2) 特許発明者による科学知識の活用が盛んでないこと,3) 世界的な特許発明の源泉となった科学論文が相対的に少ないこと,という3つの課題があることが判明した。
著者
高橋 安澄
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.732-742, 2017

<p>TRC MARCは日本の8割強の公共図書館で利用されている書誌データベースである。1982年に提供を開始して以来,図書館業務の効率化に役立ち,図書館利用者の多様な検索ニーズに応えるツールとなることを目指して,内容の拡充と提供スピードの迅速化を図ってきた。本稿では,TRC MARC独自の入力項目を中心に,その内容および特色について述べる。併せて新刊図書MARCの作成工程についても紹介する。</p>
著者
戸村 和夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.19-26, 1975

米国における法律情報の計算機による検索システムの現状と動向について紹介した。米国連邦政府,各州の判例は約30万件に達している。この判例のほかに,制定法,法律雑誌など膨大な量の法的文献情報が存在する。この法的情報の各種検索サービスシステムを概観し,その中から代表的な法的情報の検索サービスシステムである,Mead社のMead Data Centralシステムについて内容を紹介した。このシステムは,入出力情報は法律全文を対象とし,オンライン処理方式によるランダムアクセスである。またユーザーは,会話方式によりプログラムが組めるものである。出力形式,検索方法などについても記述。
著者
山本 一治
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.E2-E2, 2018-03-28 (Released:2018-03-28)

左欄15~16行目の記載内容に誤りがありました。著者(山本一治氏)からの申し出により訂正します。 誤:地元で見つけられなかった終戦直後の前橋市の写真を米国国立公文書館で発見したという。 正:地元で見つけられなかった終戦直後の前橋市の写真を米国で発見したという。
著者
谷藤 幹子 高久 雅生 大塚 真吾 轟 眞市
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.888-901, 2009
被引用文献数
3 1

研究成果の蓄積と公開は,独立行政法人たる研究所においても重要な任務だが,それを図書館が担うという考え方はつい先ごろまでまったく浸透していなかった。そもそも図書館は,本を買って置く場所という認識である。専門職員が充分にいるわけでもない。しかしさすがに情報社会の波が研究現場にもさまざまな形で押し寄せてくるに至り,組織全体としての情報の流通・発信力に不足感を感じてきたところといえる。物質・材料研究機構(NIMS)では,購読図書の電子化が進んでいることとも合わせ,いっそのことバーチャルな世界でデジタルライブラリーを考えようということになった。未来のライブラリーとは(人も含め)どのようなものか? 研究者が使いたくなる機能とはどのようなものか? そうした問いかけを重ねる中で,単なる蓄積・公開にとどまらず,蓄積された情報が確かな手応えを伴って発信できる仕組み,より能動的なライブラリーシステムを目指してNIMS eSciDocの研究開発に着手したところである。第一期はシステムの「発信する力」に焦点をあて,その具現化にふさわしいソリューションを追求し,改良と試験運用を開始した。本稿はその概要を述べるとともに,他の文書/動画共有サイトとの発信力の比較を行ったNIMS研究者の声も紹介する。<br>
著者
タイトラー イズミ
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.371-375, 2005

本稿ではオクスフォード大学図書館の緊急対策を紹介する。当大学にはボドリアン図書館をはじめとして大小さまざまな図書館が存在するが,近年大学の組織改革に伴ってこれら図書館の統合化が進み,2000年よりオクスフォード大学図書館サーヴィス(OULS)の名のもとに,大学組織の一部局として発足した。OULSの緊急対策は,最近再編成された資料保存保護担当部門(OULS CCC)の基盤業務のひとつとして,現在見直し・検討されている最中である。課題への対処の際の基本的姿勢・構想,また緊急対策プランに盛り込まれる項目の実際例を述べる。
著者
宮川 隆泰
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.126-133, 1999 (Released:2001-04-01)
参考文献数
3

新しいフランス国立図書館の見学記である。その基本的構想,新館建設の経緯および17世紀以来の旧館と21世紀にむけて建設された新館の機能分担を簡単にふれた。これは一般利用者向け公共図書館サービスと研究者・知的職業人向け専門図書館サービスをあわせ持った中央図書館である。広い閲覧室は本を開いた形の4本のタワーに囲まれている。これは「科学技術」「法律・経済・政治」「文学・芸術」「哲学・歴史・人文科学」の4棟の主題分野別ビルである。ここに創立以来の図書,逐次刊行物,視聴覚資料合計1,000万冊を集中し,フランス版情報ハイウエイを通して,国立図書館書誌データをフランス国内と,将来は全世界に提供する計画である。さらに将来はフランス全国総合書誌目録(CCF)を構成する計画である。そのため大学図書館,公共図書館,研究図書館の協力組織を形成する。これは主題別協力センターを各地に設置し,専門分野別の所蔵目録を作成し,これを主題別ネットワークを通してフランス全国から利用する構想である。