著者
信岡 朝子
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.17, pp.115-124, 2000-03

1. メディアに浸食される身体 「だっちゅーの」を覚えているだろうか。98年流行語大賞に選ばれたこの言葉によって、女の子二人組のアイドル・グループ、パイレーツは当時テレビのレギュラー番組を10本抱えるほどの人気者となった。この「だっちゅーの」は、あるお笑い系のバラエティ番組からはじまった。 ...
著者
李 顯周
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.124(135)-108(151), 2002-03-31

はじめに 太宰治は昭和一九年三月「新若人」に短編小説「散花」を発表した。その中には太平洋戦争のシンボルともいえる「玉砕」がモチーフとして描かれている。これまでの太宰の作品傾向を窺ってみると、兵隊の死を直接素材として取り入れたのは、 ...
著者
波潟 剛
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.19, pp.36-50, 2001-03-31

はじめに 花田清輝のエッセイ「砂漠について」と安部公房の長編小説「砂の女」とは、彼らの師弟関係を論じる際しばしば取り上げられるテクストである。その徴証となるのは砂漠や砂のイメージに関する共通性である。 ...
著者
李 志炯 Lee Jee-Hyung
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.166(93)-149(110), 2002-03-31

はじめに 関東大震災を語る際、最も多く用いられることばは〈未曾有〉である。そのことばは当然そのような出来事の希有さを意味するものであるが、その希有さとは、単に地震そのものや「日本史上最大」といわれる被害規模の大きさのみに向けられるものではない。 ...
著者
久水 俊和
出版者
明治大学大学院
雑誌
文学研究論集 (ISSN:13409174)
巻号頁・発行日
no.30, pp.383-400, 2008

中世から近世における天皇の即位礼費用の多くは、幕府(戦国期は戦国大名の献金)が請け負う事例が多い。しかし、公家方へ進納された即位用途の「消化」状況は、時代により様々である。特に、室町期においては、各参仕者へ個別に下行する複雑な支出構造が構築されていた。ところが、江戸期になると、徐々に整理されていき、費用を一括に下行するすっきりとした支出構造へと転化する。そこで、本稿では、中世の煩瑣な「室町期型」支出構造から整理された「江戸期型」支出構造への転換過程の考察と、近世の下行方式の実態の解明を試みた。まず、戦国期から織豊期にかけては、出納平田家が蔵人方の窓口的役割として台頭し、官方においては官務家が窓口として機能するようになる。
著者
堂野前 彰子
出版者
明治大学大学院
雑誌
文学研究論集 (ISSN:13409174)
巻号頁・発行日
no.31, pp.241-251, 2009
著者
松本 健 Matsumoto Ken
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.23, pp.46(17)-62(1), 2005-03-31

一、 はじめに 「浮世物語」をめぐる先行研究の多くは、前半から後半への流れにおいて見られる様相の変化に注目している。「浮世物語」ははじめ、矮小滑稽に設定された主人公の批判されるべき振る舞いを描くハナシが展開されているのだが、 ...