著者
林 誠 岩間 圭祐 小野 誠司 木塚 朝博
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.225_3, 2017 (Released:2018-02-15)

野球の投手における練習方法に、自分自身のピッチングフォームを巻き戻すように行う逆再生シャドーピッチングがある。本研究では、逆再生シャドーピッチングの達成度が高い者と低い者との間で投球能力に違いがあるのか、さらに、動作をイメージする能力が逆再生シャドーピッチングや投球能力に影響しているか否かを明らかにすることを目的とした。大学野球投手16名(平均球速;128±5.6km)を対象者とし、逆再生シャドーピッチングテストとコントロール及び球速を測るピッチングテスト、動作のイメージの鮮明さを測るイメージテストの3つを実施した。その結果、逆再生シャドーピッチングの達成度が高い者と低い者はそれぞれ8名ずつであった。また、高い者は低い者と比べ球速に有意な差はないがコントロールにおいて有意に優れ、イメージテストにおいても有意に得点が高いことが認められた。これらのことから、逆再生シャドーピッチングの達成度が高い者はコントロールと動作を鮮明にイメージする能力に優れていることが明らかとなった。したがって、自分自身が投げるピッチング動作を鮮明にイメージできることが、コントロールの向上につながっている可能性がある。
著者
堀内 元 桜井 伸二
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.147_1, 2017 (Released:2018-02-15)

野球のバッティング動作では、左右の股関節が力学的エネルギーの主な発生源であることが示唆されている。そこで、本研究の目的は、股関節で発生する力学的エネルギーに関連する動作および力の発揮について検討することであった。男子アマチュア野球選手98名のバッティング動作を記録し、バットヘッドスピードと股関節角度および股関節で生成された力学的エネルギーの相関係数を算出した。その結果、いずれの時点での股関節角度においても、バットヘッドスピードとの間に有意な相関関係は認められなかった。また、捕手側の股関節では伸展トルクによる力学的エネルギーの発生がほとんどで、バットヘッドスピードと有意な相関関係が認められた。加えて、投手側の股関節では屈曲トルクおよび内転トルクによって発生した力学的エネルギーの割合が大きかった。これらのことから、野球のバッティング動作では、バットヘッドスピードの大きさによって股関節角度に差異はなく、左右の股関節の非対称な力の発揮によって力学的エネルギーが生成されていることが明らかになった。加えて、捕手側の股関節における伸展トルクの発揮能力がバットヘッドスピードに関連することが示唆された。
著者
川上 諒子 澤田 亨 岡 浩一朗 坂本 静男 樋口 満
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.310_3, 2017 (Released:2018-02-15)

本研究は、野球場におけるプロ野球観戦が特定の応援チームを持たない高齢者の感情や主観的幸福感にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。参加者は65歳以上の男女16人であった。プロ野球観戦の日を3日間設け、野球場でプロ野球を1日観戦するよう依頼した。質問紙を用いて、平常時および観戦直前、観戦直後の感情と主観的幸福感を調査した。感情の調査には一般感情尺度を、主観的幸福感の調査には日本版Subjective Happiness Scaleを用いた。解析の結果、観戦直前では平常時よりも安静状態を示す「ゆったりした」(P<0.01)や「平穏な」(P=0.04)という感情が有意に高まった。一方、観戦直後には主観的幸福感が平常時よりも有意に高値を示した(P=0.02)。また、試合結果の違いによる感情や主観的幸福感への影響についても検討したが、試合の勝敗と感情や主観的幸福感の変化との間に関連は示されなかった。以上の結果より、高齢者が野球場まで出掛けて行きプロ野球を観戦することによって、観戦直前には安静状態が高まり、観戦直後には主観的幸福感が高まる可能性が示唆された。
著者
兄井 彰
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.95_1, 2017 (Released:2018-02-15)

野球では、重いバットで素振りをした後、通常使っているバットを振るとバットが軽く感じる筋運動感覚残効が生じることが知られている。そこで、重いバットを振った後の筋運動感覚残効の大きさの特定とバットのスイングスピードに及ぼす影響を明らかにするために実験を行った。実験1では、基準試行として900gのバットで素振りをした後、介入試行で900g、1050g、1200gのバットで素振りを行い、さらに、後続試行として840gから1000gまで、20g刻み、14種類のいずれかのバットで素振りを行わせた。その際、基準試行と後続試行でのバットの重さを比較させ、重いか軽いかの判断を参加者に求めた。その判断から主観的等価点を求めた結果、1200gのバットで素振りを行った後では、40g程バットを軽く感じる筋運動感覚残効が生じていた。実験2では、1200gのバットで素振りをした後、900gのバットで素振りを行わせた際のスイングスピードを測定した。その結果、バットをフルスイングする条件では、スイングスピードに差は見られなかったが、ボールを打つイメージでスイングさせる条件では、有意にスイングスピードが速かった。
著者
増澤 拓也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.97_2, 2017 (Released:2018-02-15)

スラックラインと呼ばれる2点間に張った平らなロープ上でバランスをとる綱渡りのようなスポーツが、バランス能力を向上させるトレーニングとして注目されている。また、上部から吊したロープを用い、不安定な環境にて自重を利用して負荷をかけるサスペンショントレーニングが、姿勢安定時に重要である体幹部の堅牢性を高める手法として、関心を集めている。この両者のトレーニングはいずれもバランス向上を目的としているが姿勢制御様式は真逆であると考えられる。本研究の目的は、スラックラインおよびサスペンショントレーニングが姿勢安定性向上に及ぼす効果を明らかにすることである。実験参加者をスラックライントレーニング(SL)群とサスペンショントレーニング(SP)群に配置し、30分間のトレーニングを週3回のペースで合計10回実施した。その訓練前後において重心動揺計とビデオカメラを用い、姿勢安定性の評価・分析をおこなった。分析の結果、両群ともに重心動揺が安定した。また、SL群では体幹部を積極的に動かすことで姿勢制御し、SP群では体幹部を動かないように保持することでバランスを安定させる方略を選ぶことが示唆された。