著者
松本 良 奥田 義久 蛭田 明宏 戸丸 仁 竹内 瑛一 山王 梨紗 鈴木 麻希 土永 和博 石田 泰士 石崎 理 武内 里香 小松原 純子 Antonio Fernando FREIRE 町山 栄章 青山 千春 上嶋 正人 弘松 峰男 Glen SNYDER 沼波 秀樹 佐藤 幹夫 的場 保望 中川 洋 角和 善隆 荻原 成騎 柳川 勝則 砂村 倫成 後藤 忠則 廬 海龍 小林 武志
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.43-71, 2009-02-25 (Released:2010-04-05)
参考文献数
46
被引用文献数
65 59

A number of extensive methane plumes and active methane seeps associated with large blocks of methane hydrates exposed on the seafloor strongly indicate extremely high methane flux and large accumulations of methane hydrate in shallow sediments of the Umitaka spur and Joetsu knoll of the Joetsu basin 30 km off Joetsu city, Niigata Prefecture. Crater-like depressions, incised valleys, and large but inactive pockmarks also indicate methane activities over the spur and knoll. These features imply strong expulsions of methane gas or methane-bearing fluids, and perhaps lifting and floating-up of large volumes of methane hydrate to the sea surface. High heat flow, ∼100 mK/m, deposition of organic-rich strata, ∼1.0 to 1.5%TOC, and Pliocene-Quaternary inversion-tectonics along the eastern margin of the Japan Sea facilitate thermal maturation of organic matters, and generation and migration of light-hydrocarbons through fault conduits, and accumulation of large volumes of methane as methane hydrate in shallow sediments. Microbial methane generation has also contributed to reinforcing the methane flux of the Joetsu basin. Regional methane flux as observed by the depth of the sulfate-methane interface (SMI) is significantly high, < 1 m to 3 m, when compared to classic gas hydrate fields of Blake Ridge, 15 to 20 m, and Nankai trough, 3 to 15 m. δ13C of methane hydrate and seep gases are mostly within -30 to -50‰, the range of thermogenic methane, while dissolved methane of the interstitial waters a few kilometers away from seep sites are predominated by microbial with δ13C of -50 to -100‰. Seismic profiles have revealed fault-related, well-developed gas chimney structures, 0.2 to 3.5 km in diameter, on the spur and knoll. The structures are essential for conveying methane from deep-seated sources to shallow depths as well as for accumulating methane hydrate (gas chimney type deposits). The depth of BSR, which represents the base of gas hydrate stability (BGHS), on the spur and knoll is generally 0.20 to 0.23 seconds in two-way-travel time, whereas the BSRs in gas chimneys occur at 0.14 to 0.18 seconds, exhibiting a sharp pull-up structure. The apparent shallow BGHS is due to the accumulation of large volumes of high-velocity methane hydrate in gas chimneys. The depth to BGHS is estimated to be 115 m on an experimentally determined stability diagram, based on an observed thermal gradient of 100 mK/m. Then the velocity of the sediments on the Umitaka spur is calculated to be 1000 m/s, which is anomalously low compared to normal pelagic mud of 1600-1700 m/s. This exciting finding leads to the important implication that sediments of the Umitaka spur contain significant amounts of free gas, although the sediments are well within the stability field of methane hydrate. The reasons for the existence of free gas in the methane hydrate stability field are not fully explained, but we propose the following possible mechanisms for the unusual co-existence of methane hydrate and free-gas in clay-silt of the spur. (i) High salinity effect of residual waters, (ii) degassing from ascending fluids, (iii) bound water effect and deficiency of free-waters, and (iv) micro-pore effect of porous media. All of these processes relate to the development of gas hydrate deposits of the Umitaka spur.(View PDF for the rest of the abstract.)
著者
荻原 成騎
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.180, 2006 (Released:2007-11-01)

近年ハーキマー型の透明で両錐の水晶が、アルゼンチン、中国、パキスタン、アフガニスタン、などから我が国へ輸入されている。このうちパキスタン、アフガニスタン産の結晶は炭化水素を包有物として含むことが特徴である。一般に有機物は水晶の成長を阻害する物質である。本研究ではこれら水晶の包有物の有機組成を分析し報告する。また、ハーキマー産水晶の黒色包有物と比較し、高純度水晶の成長と炭化水素包有物との関係について議論する。
著者
荻原 成騎
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.16, 2019 (Released:2019-07-03)

Yooperlite とは、2017 年の夏に Superior 湖の湖岸にて発見された“紫外線蛍光を示す石ころ”である。Yooper とは、発見された場所である Michigan 北部の Upper Peninsula、略して U.P. に由来する。Yooperlite の紫外線によるオレンジの蛍光は、まことに麗しく神秘的であり、パワーストーン愛好者を魅了している。岩石学的には、Syenite の円礫で、蛍光の原因は Sodalite である。蛍光する Sodalite について、特に区別して Hackmanite と呼ぶことがある。Greenland や MontSaint-Hilaire、コラ半島などからの産出が知られるが、いずれも母岩は Syenite である。これらの Hackmanite 蛍光の原因として S や Be が指摘されている。岩石学的には、珍しい石ではない。本研究では、薄片観察に基づき、Sodalite の産状を記載し、XRD による結晶学的特徴付け、EPMA および LA/ICP-MS による主成分/微量成分分析により蛍光の起源を明らかにする。Yooperlite は湖岸に転がる石ころの中でも稀な石であり、現在ではほぼ取り尽されている。そのため現地調査は行っていない。Yooperlite は氷河堆積物中の円礫であるため、礫の母岩である Syenite の産状は見ることはできない。顕微鏡観察に基づく Syenite の特徴は、nepheline を欠くことである。Nepheline については、XRD からも検出されなかった。顕微鏡観察から、Sodalite は matrix を充填しており、もともと nepheline があった場所に置換して分布しているように見える。Sodalite が matrix の Nepheline を置換していると考えると、Sodalite の成因は、単純に Nepheline とアルカリの反応3NaAlSiO4 + NaCl → Na4Al3Si3O12Cl(3Nepheline + NaCl →Sodalite)で説明できる。本研究における Sodarite の分析の結果格子定数 a=8.8594(49)組成 Na3.49Al3.15Si3.07O12Cl1.22発表では、Sodalite 中の蛍光に関与している微量元素組成について言及する。研究で用いた Yooperlite は、Mr.Stone 吉田様から提供された。質問などは ogi@eps.s.u-tokyo.ac.jp まで
著者
荻原 成騎
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1-4, pp.52, 2018 (Released:2018-06-10)

【緒言】 Herkimer Diamond は、 約 5 億年前に堆積した炭酸塩岩(苦灰岩)に形成された空洞中から産出する。空洞の内壁は黒色の炭質物(anthraxolite)によって coating されており、 Herkimer Diamond は、炭質物上に成長している。炭質物は Herkimer Diamond に包有物としても含まれる。【疑問点】独特の産状形態を示す Herkimer Diamond の成因、形成メカニズムを明らかにするためには、解明されなければならない疑問点が複数ある。(1)鉱床は特別な地層にのみ分布するのか、(2)ハーキマー鉱区における各鉱山の産状の多様性、 (3)鉛直方向に延びる鉱化作用、 (4)炭質物と Herkimer Diamond の関係、 (5)炭質物の起源と鉱化作用に及ぼした役割、 (6)シリカの起源、 (7)形成(沈殿)のタイミング、 (8)温度環境、さらに(9) Herkimer における産状は、他の世界中に分布する水晶鉱床にもあてはまることなのか、などである。本発表では、現在進行中の現地調査と化学分析の結果を報告する。【結果】炭酸塩岩(苦灰岩)にあいた空隙は、ストロマトライト化石が抜け落ちて形成されたように見える。空隙の形は、柏餅型から円柱状で、空隙底面の中央部は盛り上がっている。盛り上がった底面は珪化されており、非常に硬い。 Ace of Diamond 鉱山では、 Herkimer Diamond 胚胎層準が 5 層準あり、 5 層のストロマトライト化石層に対応している。黒質物質の粉末X線回折の結果、グラファイトの反射のみが認められ、石英や炭酸塩の反射は認められなかった。黒色物質は炭化水素ではない。本研究では、黒色物質(グラファイト)について、ラマン分光法による温度推定を行った。晶洞を coating している黒色物質、および Herkimer Diamond 中に包有物として取り込まれている黒色物質の経験した最大温度は、どちらも約 200℃であった。その他、苦灰岩および黒色物質に含まれる抽出性有機物、特に環境指標となる biomarker の分析結果と総合して、生成環境について議論を行う。
著者
荻原 成騎
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.234, pp.249-257, 1992-08-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
23

Phosphorite nodules were newly found in laminated lacustrine diatomaceous sediments of the Middle Pleistocene Nogami Member in Kusu Formation northern Kyusyu (Japan) which deposited in palaeo-Kusu lake. The phosphorous content of these nodules is about 25% in P2O5. These nodules resemble marine phosphorite nodules in composition, consisting primarily of carbonate-fluorapatite.Phosphorite nodules were formed from phosphate originally contained in diatom during early diagenesis. These nodules show compositional zoning and color banding due to dissolution by meteoric or hydrothermal water. The fixation of phosphorous is likely to have been controlled by concentration of Ca.
著者
松本 良 荻原 成騎 徳山 英一 芦 寿一郎 町山 栄章 沼波 秀樹 小池 義夫 大出 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、海洋のガスハイドレートが地球環境へどのような影響を与えうるか、また現に与えつつあるかを、地質学、地球物理学、海洋生物学など異なるアプローチで総合的に解明することである。3年間の調査を通じて、以下を明らかにした。1. 日本海、直江津沖では「海鷹丸」による調査航海を3回、海洋機構の「なつしま」で2回、「かいよう」で1回の調査を行なった。2. 日本海の調査海域で強いメタンの湧出域を確認した。メタンはプルームとして海面近くまで立ち上がり、表層海水にメタンを供給していることが分かった。メタンプルームが立ち上がる日本海の底層水は温度が非常に低く、ガスハイドレートの安定領域に含まれる。従って、メタンバブルの表層にはガスハイドレートが形成されると予想され,この事が高さ600mものメタンプルームの発達要因である。3. 潜航艇による調査で、海底にガスハイドレートが露出していることを確認した。これは本邦周辺では始めての発見である。このことは、海底下からのメタンフラックスが高いことを示す。4. 水温が低いため海底の生物相は単純で、分布密度低は低いが、メタンプルーム付近ではバクテリアのコロニー、ハナシガイなどの化学合成生物、さらに食物連鎖の頂上にベニズワイガニが存在している。5.メタンプルームが発達する海脚上には直径約500mの凹地(ポックマーク)が発達する。当初、この凹地がメタン湧出源と予想したが、実際は、ポックマークは非活動的であり、堆積物で埋められている。この事は、過去に今よりも激しいメタン湧出があったことを示唆する。6. もう一つの調査海域、下北半島東方では、2年目に海洋機構の「淡青丸」による調査を行なった。ここでは、メタン湧出を確認することはできなかったが、海底下に強いBSR反射面が発達することが分かっており、ガスハイドレートが発達することは明らかである。