著者
金山 公三
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.276-280, 2016-09-01 (Released:2018-07-03)
参考文献数
12
著者
大久保 雄司
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.4-16, 2018-01-01 (Released:2018-10-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

フッ素樹脂は,多機能を有する合成樹脂であるが,接着性が乏しいという唯一の欠点を持つ。よって,フッ素樹脂と異種材料を接着する場合は,フッ素樹脂の表面改質が必須となる。従来の低温プラズマ処理では接着性が不十分となるが,プラズマ処理中に加熱する( 熱アシストプラズマ処理する) ことで,接着性が劇的に向上することを見出した。当初は,プラズマを発生させるための電力密度を高く設定することによってプラズマ処理中の表面温度を200℃以上に調節していた。しかし,プラズマ処理面積の拡大にともない,装置の改造費用が高額となるため,実用化する上で大きな障壁となっていた。そこで,ヒーターを使用して熱アシストプラズマ処理することを検討した。低電力密度であってもヒーターで加熱すれば,フッ素樹脂の接着性が大幅に向上することを実証した。フッ素樹脂の接着性を向上するためには,酸素を含む官能基の生成に加えて,表面硬化が極めて重要であった。
著者
並木 陽一 米野 正博 鈴木 敦夫 山本 保
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.183-189, 2003-05-01 (Released:2014-10-31)
参考文献数
2
被引用文献数
2

ウレタンアクリレート系uv硬化性樹脂の厚膜について,硬化率のデプスプロファイルに及ぼすuv光照射条件の影響を光DSC法を用いて追究した。uv光の照射強度と照射時間を変えて得られた硬化物について光DSC法で硬化率デプスプロファイル(80.90および95%硬化の硬化深度)を求め,i)一定照射光強度における硬化率デプスプロファイルの経時変化.ii)一定照射時間において硬化率デプスプロファイルに及ぼす照射光強度の影響,およびiii)一定照射光エネルギー量下での硬化率デプスプロファイルに及ぼす照射光強度の影響を調べた。その結果,一定照射光強度における本樹脂の硬化率デプスプロファイルの経時特性を明らかにすることができた。さらに照射光強度の影響につ↓ては,おおよそ140mW/cm-までは照射光強度の増加と共に硬化深度が増加し,それ以降は逆に減少した。この樹脂膜について,最高の硬化深度を得るためには最適な照射光強度が存在することが確認できた。
著者
永田 員也 日笠 茂樹 酒木 大助 小林 淳 宮原 謙二 和泉 俊弘 須田 敬也 豊原 麻美 加藤 淳 中村 吉伸
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.343-349, 2007-09-01 (Released:2015-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

高速撹拝ミキサーを用い炭酸カルシウム(CaCO3;平均粒子径1.4μm)とタルク(3.2μm)の複合化とステアリン酸表面処理とを同時に行い調製したハイブリッドフィラー(Hybridized Filler),,エチレンープロピレンージエン三元共重合体(EPDM)およびPPとを二軸押出機により混練し,複合材料を調製した。得られた複合材料はマトリックスPPにタルク,CaCO3,EPDMがそれぞれ単独に均一分散していた。PPにHybridized Fillerを充填した複合材料の衝撃強度はタルク充填複合材料に比べ優れていた。さらに,EPDMをPPに添加(ブレンド)によりHybridized Filler充填複合材料の衝撃強度は大きく向上した。EPDM(2mass%)ブレンドPPにHybridized Fillerを充填した複合材料の衝撃強度はタルクを充填した複合材料に比較し50%以上向上し,弾性率はタルクを充填した複合材料とほぼ同じであった。複合材料の弾性率向上にはCaCO3に比較してタルクが大きく寄与しており,衝撃強度の向上にはCaCO3が寄与していると考えられる。さらに,CaCO3による衝撃強度の向上においてEPDMのブレンドがその効果を著しく向上させおり,CaCO3粒子とEPDM粒子が共存するとその衝撃強度が相乗的に向上することが明らかとなった。アイゾット衝撃強度試験の破壊を顕微鏡観察した結果,マトリックスとは構造の異なる領域(白化領域)が観察され,これは,フィラー粒子界面に形成されるボイド,エラストマー粒子近傍に形成されるPPのクレーズ,フィラー粒子間でのせん断降伏に起因して形成されたと考えられる。この白化領域が形成される体積が大きいほど複合材料の衝撃強度が大きいことが明らかとなった。

1 0 0 0 OA 金銀糸

著者
東 泰雄
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.197-202, 2009-05-01 (Released:2016-01-31)
参考文献数
4
著者
小曽根 雄一 網野 由美子 杉崎 俊夫
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.436-439, 2012-12-01 (Released:2014-06-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1

感圧接着剤(粘着剤)でガラス等の無機物に貼付するような用途では,高温高湿の環境下においても長期間高い粘着性,耐久性,耐湿性が求められ,シランカップリング剤が添加される場合がある。例えば,建物や車両などの開口部におけるガラスへの機能性フィルム貼付用粘着剤,光学機能性部材を液晶セルのガラス基板に接着するための粘着剤などである。そのため,シランカップリング剤の分散状態を解析し,粘着特性との関係を明らかにする事により,効果的なシランカップリング剤の利用による,界面接着強度の制御が可能になると考える。しかし,これまでに粘着剤中のシランカップリング剤分散状態を具体的に数値化した例はほとんどない。本報では,アクリル酸エステル共重合体中のシランカップリング剤添加量を変化させた時の分散状態解析及びガラスに対する粘着力を評価し,シランカップリング剤分散状態との関係を考察した。ブチルアクリレート,2-ヒドロキシエチルメタアクリレートからなるアクリル酸エステル共重合体に架橋剤及びシランカップリング剤を添加し,酢酸エチルにて希釈後,ポリエステルフィルム上に塗布することで粘着シートを作製した。シランカツプリング剤の分散状態をX線光電子分光法(XPS)及びC60イオンスパッタリングを用いて解析した結果,シランカップリング剤は粘着シート表面に偏在し,添加量の増加に伴い表面存在量も増加する傾向を示した。また,粘着シート、表面のシランカップリング剤量が,粘着力制御に重要であることが示された。
著者
八田 一郎
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.145-151, 2016-05-01 (Released:2018-03-20)
参考文献数
26
被引用文献数
2 5
著者
山浦 潔 伊藤 文就 池田 修 長谷川 匡俊
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.92-96, 2008-03-01 (Released:2014-06-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

汎用的樹脂ポリエチレンテレフタレート(PET)上にインジウム-錫酸化物(ITO)を被覆した導電性透明フィルムに紫外線を照射し,PETの劣化に対するITOの影響を調べた。試料は劣化による重量減少を示し,ITOで被覆されたPETフィルムの重量減少率はPETフィルム単独の場合を上回っていた。さらに,XPSの測定結果はITOとの界面でPETフィルムが分解している事を示した。両結果とも,ITOによる分解促進を示唆する結果である。また,可視紫外光の照射によるITO及びTiO2電極の電位変化を水溶液中で測定したところ,照射によって電極電位は両者とも卑電位方向に変化した。これらの結果から上述のPETの分解がITOの光触媒的な作用(酸化)である可能性がある。この作用を考慮し,エポキシ樹脂接着剤を用いて接着したITOと樹脂フィルムに紫外光照射を行ったところ,接着強度にもITOの影響が観察された。
著者
望月 克信 河合 道弘
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.306-312, 2014-10-01 (Released:2017-02-04)
参考文献数
4

高温連続ラジカル重合によるアクリルモノマーの重合は,その製造方法及び生成するポリマーにおいていくつかの特徴を有している。具体的には,①低分子量ポリマーが容易に得られる,②不揮発分100%の樹脂が容易に得られる,③組成分布が小さい,④開始剤,連鎖移動剤等の副原料の使用量が少なく,不純物含有量が少ない,⑤重合時間が短く,生産性が高い等の特徴が挙げられる。このようなアクリルポリマーをシーリング材の可塑剤に応用した結果,耐候性の向上および耐汚染性(耐ブリード性)の向上が認められた。また,シーリング材の基材の一部に応用した結果,配合物の低粘度化と耐候性の両立を実現できることが確認された。
著者
川本 耕三
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.184-189, 2009-05-01 (Released:2016-01-31)
参考文献数
17
著者
木部 佳延 奥村 和史
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.271-275, 2016-09-01 (Released:2018-07-03)
参考文献数
8

種々のポリカーボネート系ポリオールを原料とするポリウレタンを合成した。1,6-ヘキサンジオールポリカーボネート系ポリウレタンは100%モジュラスが高く,高硬度であったのに対し,3-メチル-1,5ペンタンジオールポリカーボネート系ポリウレタンは低モジュラスで柔らかく,その引張強さは低かった。1,10-デカンジオールポリカーボネート系ポリウレタンは低モジュラスで,高引張強さを示した。半経験的分子軌道法(PM6)の計算より見積もった分子鎖間の相互作用による安定化効果は,1,10-デカンジオールポリカーボネート系>1,6-ヘキサンジオールポリカーボネート系>3-メチル1,5-ペンタンジオールポリカーボネート系の順であった。ウレタン結合間の水素結合が強いポリウレタンほどその引張強さが高いと考えられる。