- 著者
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松尾 精彦
- 出版者
- 關西大学經済學會
- 雑誌
- 関西大学経済論集 = Economic review of Kansai University (ISSN:04497554)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.2, pp.93-114, 2016-10
2000年10月5日の第一回抽選から始まった番号選択式の宝くじLOTO6も,去年2015年9月7日には第1000回目の抽選を迎えた.この宝くじは,購入者が1~43の数字の中から6個の数字の組合せを選び,主催者が用意した抽選器が抽出する6つの番号(本線番号)のうち最低3個同じ番号が共有されれば賞金がもらえる.この抽選器を製作した業者や抽選器を操作する主催者が未熟であったり,不正を犯したりしない限り,この宝くじの本選番号を当てることは不可能である.ましてや,当選確率の高い組合わせを見つけることも同様に不可能である.それにもかかわらず,いくつかの雑誌やWebサイトで本選番号の予選法が述べられている.これらの予選法は,本選番号となりうるいずれの組合せも互いに独立で等しい確立で選ばれることを無視し,何らかの傾向があると主張するものである. 大抵は,ある種の性質を有する組合せを選ぶと当選する確立が高くなると主張する.しかしどの方法も,その事象の確立が高いだけのことで,その事象が数多く生起しても何ら不思議はないものである.これらの予測法は多岐に渡り,事象の起こる確率を計算することが困難であるものがほとんどであるので,このような俗説についてここでは述べない.あえて言っておくと,3回の異常な抽選を除いた997回の抽選で期待される1等の口数は2606口であるのに対し,実際の当選口数は2521口数でしかない.つまり,予想は役に立たないということだ.ここではあくまでも,抽選においては,どの本選番号も独立で同確立で選ばれることを仮定して計算を行う.この論文で議論するのは,ロト6購入者の番号の選び方に傾向があるのかを調べることである.雑誌の情報などではなく,購買者集団が自らの意思で,どのような組合せを選ぶのかを調べることである.機械(抽選器)には傾向はないが,人には傾向がある.その傾向を明らかにすれば,他の人々が選びそうな組合せを避けることができ,仮に1等が当たった場合には賞金を独り占めにする確立が高まる.