著者
河井 紘輔
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.60-64, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)

一般廃棄物のリサイクル率は2007年度以降停滞し,環境省が設定した目標を達成できていない。全国の市区町村及び一部事務組合を対象に毎年実施されている一般廃棄物処理実態調査について解説した後に,日本では中間処理後リサイクル量,EUでは中間処理仕向量がリサイクル量と定義されていることを述べた。日本がEU加盟国に比べてリサイクル率が低く,焼却処理の割合が高いことがリサイクル率の増加を妨げていること,日本とEUにおけるリサイクル量の定義は一長一短があり,それぞれの長所短所を理解した上で,リサイクル活動を適切に評価すべきことを主張した。
著者
細矢 剛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.54-59, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)

どのような生物が,いつ,どこに存在したかを記述したオカレンスデータは,生物多様性情報の基盤である。オカレンスデータは,集積し,時間軸や空間軸に沿って解析されることによって大きな意味をもつ。オカレンスデータは,ダーウィンコアによって標準化されている。GBIF(地球規模生物多様性情報機構)は,世界スケールで標準化された生物多様性情報を集積・提供しており,その活動には日本も大きく貢献している。集積されたデータによって,気候変動,健康や経済に関する予想,保全生態学的知見などが得られる。データの追跡はDOIの利用によって可能となり,DOIは種概念の整理にも役立っている。
著者
真砂 佳史 服部 拓也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.48-53, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)

近年気候変動による影響が顕在化しており,その影響を低減あるいは活用する気候変動適応が求められている。日本では2018年に気候変動適応法が施行され,国,地方公共団体,事業者,国民等の適応主体の役割が明確化された。国立環境研究所は気候変動適応に関する情報提供や技術的支援が求められており,同年策定された国の気候変動適応計画をもとに情報基盤として気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)を運営している。本稿では,気候変動適応に関する国内の動向について解説し,国立環境研究所がA-PLAT等を通じどのように適応主体に対する情報提供や技術的支援を行っているかを紹介する。
著者
光森 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.47, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)

2021年2月号は「環境問題と情報」と題してお届けします。「環境問題」という言葉には,地球環境の汚染や悪化にまつわる様々な問題が含まれています。おそらく読者の皆様も,それぞれに思い起こすものが異なるのではないでしょうか。大気汚染,オゾン層の破壊,地球温暖化はずいぶん前から問題視されてきました。近年はプラスチックごみの問題,とりわけ海洋プラスチックに対する関心が高まり,多数の図書が発行されています。こうした環境問題への対応は,国や地方自治体,企業といった組織体だけでなく,私たち一人一人にも行動が求められます。地球環境を保全し,持続可能な社会を構築していくためには,過去や現在の状況を知り,未来のリスクを予想し,何よりも行動することが必要です。そのために活用できる情報・データは,国内外の様々な組織において,収集や作成,公開されています。今回の特集では,特定の問題にはフォーカスせず,「環境問題」と呼ばれる問題を幅広く取り上げました。各種の問題に関してどのような情報やデータがあるのか,そうした情報やデータはどのように作られており,どのような課題を抱えているのかを知ることで,公開されている様々な情報・データの利活用が広がるものと考えます。毎年のように起こる極端な気象現象を目の当たりにして,多くの方が気候変動について関心をお持ちだと思います。国立環境研究所 真砂佳史氏,服部拓也氏に,気候変動適応を進めるための情報基盤である「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」をご紹介いただきました。生物多様性は環境の変化を受けると同時に,環境の変化を知る手がかりとなります。こうした生物多様性に関する情報として,国立科学博物館 細矢剛氏に「地球規模生物多様性情報機構(GBIF)」をご紹介いただきました。ごみのリサイクルは私たちの日常生活の中にあり,身近な問題の一つです。ごみのリサイクル率の把握方法と今後の課題・展望に関して,国立環境研究所 河井紘輔氏にご執筆いただきました。持続可能な社会を構築していくため,環境保全に関する技術開発も進んでいます。九州大学 藤井秀道氏には,特許情報を活用した環境保全技術の評価についてご執筆いただきました。遠いように感じる問題も,すべて私たちの生活に繋がっています。様々な「環境問題」に対して情報の視点から構成したこの特集が,読者の皆様の環境問題に対する理解を深め,より主体的に関わっていく契機となることを期待しています。(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),大橋拓真,池田貴儀,中川紗央里)
著者
小林 哲雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.276-281, 2011
参考文献数
2
被引用文献数
1

特許サーチャーと研究者・開発者の間の意思の疎通がうまくいかない場合の原因は何であろうか?知的財産部門において調査が重要な役割を果す業務である,(1)無効化文献調査,(2)特許クリアランス調査,(3)発明発掘を支える特許調査,(4)萌芽期の研究支援活動を支える特許調査,を題材にして問題の所在を検討する。そして本稿では,同じ知的財産部門に属する権利化担当と特許サーチャー(調査担当)がより効率的に協業作業を行うための方法として,権利化担当が調査業務のスキルをある程度まで習得し,研究者・開発者と特許サーチャーとの『通訳』としての役割を果すことを提案する。
著者
棚橋 佳子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.25-29, 2018

<p>本稿ではユージーン・ガーフィールド博士の追悼行事の一環として昨年9月15日-16日2日間にわたり米国フィラデルフィアにて行われたシンポジウム "Commemoration and Celebration of the life of Eugene Garfield 1925-2017"について報告する。シンポジウムで登壇者のスピーチに共通していたのは,ガーフィールド博士の創造力,チャレンジ精神,そしてアイデアに対して決して諦めない心が彼の成功を導いたと強調されていたことである。加えてガーフィールド博士が来日した1970年代80年代の旧本誌での引用分析に関する論文を紹介し,ガーフィールド博士と日本の接点を概観する。</p>
著者
マクヴェイ山田 久仁子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.28-33, 2021

<p>2020年3月にパンデミックとなった新型肺炎の影響で,ハーバード大学では3月23日から全ての授業がオンラインに切り替わり,図書館の全職員が自宅勤務となった。春学期途上の突然の移行を経て,9月の新学期はオンライン授業のみとなったが,大学図書館は,この新たな教育形態の支援を最優先として取り組んできた。本稿では,ハーバードのオンライン教育における電子資料活用の実際を,日本語資料専任ライブラリアンである筆者の職務を交えながら,報告,考察する。</p>
著者
北 克一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.211-218, 1992
参考文献数
6
被引用文献数
1

書誌ユーティリティNACSIS-CATの書誌検索等の機能を活用したオンライン自動登録方式について述べる。同機能は,自動登録の部分のみをマニュアル操作で行う方式と,バッチ・オート機能とローカル・ホスト制御により検索キーの切りだしから,OPACへの反映までを全自動で行うモードがある。今回は,この全自動モードについて触れた。また,同機能の拡張バージョンの最新版について簡単に述べ,今後の展望に言及した。
著者
平川 雅彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.47-52, 2017

&emsp;自動車に搭載する自転車認識技術を特許情報から解析する。特許情報の課題と解決手段を記述している文章を抽出し、トピック分析を行った。分析にはLDA法を用い特徴キーワード群を抽出する。信号灯、道路種別などの複合語は抽出できなく、このため、形態素3-gramの頻度で解析した。その結果、衝突の可能性などの特徴語を把握できるようになった。また、特許間の距離は潜在的意味解析により3次元の図形表示し、最も正確な位置関係のものを選定した。<br>今後は、解析精度をさらに向上できる手法を検討する。