著者
福田 一史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.366-371, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)

ビデオゲームに関わる教育や研究活動が国際的に活発化しており,ビデオゲームの知的情報資源としての側面に注目が集まりつつある。膨大に頒布されるビデオゲーム群を保存し,資料体として共同で管理し運用するためには,目録が必要不可欠である。本稿ではビデオゲームの目録作成とりわけそのデータ構造について着目し,先行研究を概観した上で,立命館大学ゲーム研究センターのゲーム保存の事例を通じて,その記述的特性を踏まえた機能要件の抽出とデータモデルの策定ならびに目録作成や,オンライン目録などによるデータ公開の手法を論じる。
著者
板橋 慶造 石川 正
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.33-39, 1984-01-01 (Released:2017-10-05)

日本原子力研究所技術情報部では,那珂地区核融合研究センター内に「研究情報センター」を設置するにあたり,その業務を効率的に処理するため,オフィスコンピュータによる図書館システムを導入した。このシステムは会計処理を除く窓口業務中心のトータルシステムであり,図書,レポート,雑誌,パンフレットを対象としている。その結果,OCRハンドスキャナーの導入により蔵書点検作業が大幅に軽減されただけでなく,窓口業務も利用者の手書き作業が不要になるなど省力化され,図書館のイメージアップにもつながる等の効果が見られた。
著者
中井 孝幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.228-234, 2013-06-01 (Released:2017-04-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1

公共図書館と大学図書館では,利用者層や利用内容,提供しているサービスも異なるが,アンケート調査や行動観察調査から,利用者が図書館という「場」に何を求めて利用しているのかを整理し,図書館計画への示唆を得ることを目的としている。公共図書館では,図書の貸出が主な利用ではあるが,館内での滞在的な利用も多くなっている。少数ではあるが人ごみに紛れることで匿名性を確保して,落ち着きを求めている利用者も見受けられた。大学図書館では,個人で集中して勉強する場としての利用が多いが,会話を伴う学習形態も増えている。静かな場所とにぎやかな場所,アナログとデジタル資料など,利用者は図書館サービスを適切に使い分けている。
著者
山田 祥恵
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.684-688, 1998
参考文献数
1

弊社は「メッセージを伝えたい人とメッセージを受け取る人を『つなげて』, メッセージを『伝える』」コミュニケーションのコンサルティングを行っている。コミュニケーションの媒体として企業のホームページを制作する機会が増えてきた。1996年に「ウィメンズ・ゲートウェイ」という"世界中で活躍するプロ意識のある女性のためのホームページ"を開設し, 情報提供やオンライン上での交流の場の提供も行っている。その他, 働く女性のネットワーク「NAPW」の運営や国際女性ビジネス会議の開催など, 女性を対象とした活動も多い。それらの活動を通して, 「リンクする」「リンクを作る」ということについて日頃感じていること, 考えていることを述べたい。
著者
末廣 恒夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.457-460, 2016

<p>神奈川県資料室研究会の活動の中心は,8月を除く毎月開催している月例会である。月例会では,講演会,見学会,グループディスカッション等を行っている。理事会が月例会の企画・運営を行っており,年間計画を立てて総会に提案している。講演会では,電子ジャーナル・学術雑誌関連,実務関連,著作権関連などのテーマを中心に取り上げている。毎回詳細な記録を作成し,「神資研ニュース」と年報「神資研」に掲載している。小規模やワンパーソンで運営しているところが多い会員に対して,「泥臭さ」と「半歩先を行く」というモットーの元に月例会を開催しているところに,神資研が月例会を開催する意義がある。</p>
著者
中村 達生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.323-328, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

世の中の事象が指数関数的に変化し,様々な種類の情報が環境化しているデジタルトランスフォーメーション(DX)時代において,レジリエンス(復原力・弾性力)を高める情報解析のあり方を考察した。それは,データの不完全性に対する理解,知財やその他データの融合(データフュージョン),適切なメトリクス作成,インデックスの選択,判断力の醸成を実行することである。さらに,公平性・再現性を担保するには,俯瞰的・客観的なアプローチが必須要件である。これらを実現すれば,争点の少ない創造性豊かな社会の実現に近づける。
著者
田中 裕紀
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.317-322, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

ビジネス環境が急速に変化する中,富士通はDX企業になるとの強い決意のもと,「イノベーションによって社会に信頼をもたらし世界をより持続可能にしていく」といったパーパスを掲げて変革に取り組んでいる。富士通の知財部門は,パーパス実現において重要となる,信頼,共感,挑戦といった循環を構成する各要素での貢献を目指して活動している。本稿では,まず,富士通の知財戦略の進化について触れ,パーパス実現に向けた知財部門の取り組みのうち,特に挑戦について,①新型コロナウイルスに関連する知財貢献,②図書館改革,③新しいサービスIP Insightの3つを紹介する。
著者
小林 英司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.303-309, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

2020年5月,知的財産戦略本部において『知的財産推進計画2020~新型コロナ後の「ニュー・ノーマル」に向けた知財戦略~』が決定された。同計画には,データ利活用促進に向けたルール整備や,デジタル社会における標準の戦略的な活用に向けた取組,企業におけるDX事例の「経営デザインシート」を活用した分析等が盛り込まれた。近年では,機関投資家が知財情報を活用する動きや企業に対する知財情報の開示要請の動きが見られる。本稿では,これら知財を取り巻く環境変化を踏まえた政府の最新の取組の紹介と,知財関係者がこのような非連続的な変化に対応するためのDXの必要性と,その実現手法の解説を行う。
著者
パテントドキュメンテーション委員会
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.289, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

「Society 5.0」や「第四次産業革命」とともにDX(Digital Transformation)という言葉を目にし,耳にする機会が増えたと感じています。「DXで第四次産業革命を推し進める」,「DXでSociety 5.0を実現」と言われますが,多くの人にとって政府が掲げる中長期目標,大学の先生の近未来予測,一部先端企業の取り組みといった,どこか遠くの動きだったのではないでしょうか。ところが,COVID-19の感染拡大をうけて,テレワークだ,リモート会議だと言われ,それに伴ってDXという言葉が頻繁に使われるようになりました。図らずも世の中が一気に「DX化」したという印象を持ったのは,私たちパテントドキュメンテーション委員会メンバーだけではないはずです。DXには「デジタル技術やデジタルデータを活用して業務の効率化を目指す」という側面と,「データを活用した新しいソリューションの創造」という側面があると思います。では,DXで言う「データ」とは誰が生み出し,誰のもので,それはどこで管理され,利用に際してはどのような制限や留意点があるのか,ニューノーマルと言われる新しい社会で,自分(自社)をどうDX化していくのか,これらの問いに自分事(自社の事)として答えられる人は少ないと思います。この特集号は,意識レベルや置かれている状況にばらつきのある受け手に向け,知財活動におけるDXの観点から,「DX」をご紹介したいという思いで企画しました。はじめに日本イノベーション融合学会の岸和良氏に,初心者向けにDXについて解説していただきました。第二稿は,マスクドアナライズ氏に,知財DXの観点から豊富な例を挙げて,解説していただきました。第三稿は,内閣府の小林英司氏に,知財DXを政策面から「官」の取り組みとしてご紹介いただきました。続く第四稿,第五稿は,「民」の立場から,知財DXの先端企業と言われる,旭化成株式会社の佐川譲氏(共著者中村栄氏)と,富士通株式会社の田中裕紀氏に,知財DXのフロントランナーとして,取り組みの様子をご紹介いただきました。そして最後にVALUENEX株式会社の中村達生氏に,知財の解析の観点から知財DXの未来を展望していただきました。この特集号が,読者の皆様の新しい興味への動機付けや,DXへの取り組みをインスパイアするものとなればうれしく存じます。パテントドキュメンテーション委員会(江口佳人,大島優香,桐山 勉,佐藤秀顕,清水美都子)知財担当理事(中野 剛,山中とも子)
著者
岩谷 宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.145-150, 1995

複数の章〜節等から成る比較的長い論文等の執筆を支援する,アウトラインプロセッサと呼ばれるソフトウェアを紹介するとともに,それにほぼ相当する機能を,ワードプロセッサやエディタなどの一般的な執筆用ソフトの使い方の工夫により実現できる,と主張。また,執筆活動を支援する個人用データベースは,カード型など一定形式を遵守するものよりは,任意のメモなどから成る非定型な原文データベースと最新の情報検索テクニックを併用するほうが,自由度や柔軟性があってよい,と説く。
著者
坂本 泉 開本 亮 高石 静代 近成 涼香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.7-12, 2020

<p>本研究では、「睡眠の質」に着目し、現状の睡眠ビジネスにおける課題を分析し、今後期待されるサービスを予測することを目的とした。</p><p>まず現状の睡眠ビジネスにおける課題について、睡眠ビジネスに関する市場、睡眠ビジネスの全体像、睡眠ビジネスのプレイヤー、睡眠ビジネスの具体例を把握し、睡眠に影響を与える要因マップの作成をして、調査および分析を行った。次に、新聞記事を中心とした市場調査、睡眠分野でトピックになっている論文の抽出、特許調査を行い、さらに中央官庁の関連する政策から課題を分析した。</p><p>その結果、睡眠の質の測定は向上してきており、病院や介護施設等を対象とするBtoBのソリューションはすでに実用化されているものの、個人にフォーカスするBtoCのソリューションが不足していることが分かった。したがって、将来においては、そのソリューションを加味したデバイスをパーソナルで使用できる睡眠ビジネスが普及すると考えられる。</p>
著者
三輪眞 木子 佐藤 正惠 山下 ユミ 磯部 ゆき江 阿部 由美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.67-72, 2021 (Released:2021-06-21)

高齢者のヘルスリテラシーと健康寿命の関係を探求するため、医療者計10名を対象に、2020年1月~6月に、対面、Web、電話により半構造化インタビューを実施した。健康維持に前向きな高齢者は家族との関係が良く、健康への関心が高く、食事や規則正しい生活に気を付け、趣味等の楽しみや目標を持ち、話し好きで仲間がいる。ヘルスコミュニケーションがとれている高齢者は治療がうまくいっており家族のサポートがあり、テレビや新聞等で健康医療知識を得ている。治療に関する意思決定に積極的に参加する高齢者は、主体的に健康医療情報を獲得する。高齢者には、かかりつけ医を作る、運動する、家族と親密につきあう、自分の健康に関心を持つ、趣味や目標を持つ、栄養バランスの良い食生活を心掛ける、外に関心を持ち仲間とともに取り組むことが求められる。健康維持への取組に男女差があり、仕事を辞めた後、地域と関連しない孤立男性に課題があることが示唆された。
著者
佐藤 正惠 北澤 京子 渡邊 清高
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.61-66, 2021 (Released:2021-06-21)

COVID-19流行により、信頼性に乏しい医療・健康情報インフォデミックへの関心が高まっている。メディアドクターは医療に関するメディア報道のあり方を検討する活動である。豪で始まり、日本では2007年にメディアドクター研究会が発足した。定例会での多職種によるディスカッションを通じて、メディア&ヘルスリテラシー向上につながっている。COVID-19の影響で2020年はオンラインのみで開催した。その成果と課題を報告する。