著者
細矢 剛
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.209-214, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

地球規模生物多様性情報機構(Global Biodiversity Information Facility、GBIF)は、地球規模で生物多様性情報を収集・提供する機構である。GBIF は、国、研究機関などの公式の機関が参加者となり、意思決定は、年に1 回開催される理事会においてなされる。実質的な運営は執行委員会と事務局が担っている。各参加国からのデータは、ノードと呼ばれる中核機関を通じてGBIF に提供されており、現在5.7 億件の標本情報、観察情報をだれでもホームページからダウンロードして利用できる。日本国内の活動は日本ノード(JBIF)が担っており、国立科学博物館(科博)・国立遺伝学研究所(遺伝研)・東京大学が拠点となって、GBIF への情報提供のほか、普及活動、アジア地域での活動への対応がなされている。GBIF の活動は世界6 地域に地域化し、日本はアジア地域で最多のデータ提供国であるが、アジアからのデータ数はGBIF 全体の3%に過ぎず、いっそう活発な活動が求められる。今後、データの統合・利用の互換性を維持のための技術的な問題の他、コピーライトの問題など、解決しなくてはならない課題が多数あるが、生物多様性情報学的な常識・基礎知識の普及や、オープンアクセスなど、オープンマインドな知識共有の文化醸成が今後の課題である。
著者
中江 雅典 細矢 剛
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.345-349, 2019-06-24 (Released:2019-08-30)
参考文献数
5

日本国内における自然史標本コレクションの電子化の進捗状況を把握するためのアンケート調査を行った。その結果、節足動物、維管束植物および魚類のコレクション規模が大きいこと、藻類、無脊椎動物化石および鳥類コレクションで電子化の進捗率が相対的に高いこと、標本の画像化はどの分類群のコレクションでも進捗率が低いことが明らかとなった。また、多くの機関がコレクション全体を徐々に電子化させる方針であるが、電子化の作業は主に非常勤職員が担い、職員の時間がなく、資金もなく、必要作業量が膨大であるため、電子化の遂行に苦労しているとの傾向・状況が明らかとなった。
著者
大澤 剛士 細矢 剛 伊藤 元己 神保 宇嗣 山野 博哉
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.215-220, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

要旨: 2013 年、生物多様性情報学の世界的な現状と課題をまとめた地球規模生物多様性情報概況(Global Biodiversity Informatics Outlook: GBIO)が公開された。これは地球規模生物多様性概況(Global Biodiversity Outlook: GBO)の生物多様性情報分野版に相当するもので、生物多様性情報学という分野の趨勢を確認し、今後を見据える重要文書である。筆者らGBIF 日本ノードJBIF では、本文書を意訳し、オープンデータライセンス(CC-BY)で公開した。さらに文書の公開に併せて公開ワークショップを実施し、国際的な状況と日本の現況について議論を行った。その結果、生物多様性情報の分野において、国際的な課題と日本の課題の間にはギャップがあることが見えてきた。本稿は、GBIO 翻訳版の公開に併せ、2014 年12 月15 日に開催された第9 回GBIF ワークショップ「21 世紀の生物多様性研究ワークショップ(2014年)「日本と世界の生物多様性情報学の現状と展望」」における議論をもとに、日本における生物多様性情報の現状と課題について論じる。
著者
佐藤 豊三 埋橋 志穂美 細矢 剛
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.59-160, 2010-03

Approximately 1,000 taxa of fungi found and/or collected in the Bonin Islands were listed based on previous reports, collection data of dried specimens and background dataset of living cultures. Five hundred 6 (50.8%), 203 (20.4%) and 180 (18.1%) of them belong to Basidiomycota, Deuteromycota (Mitosporic Fungi) and Ascomycota, respectively. The others (total 10.7%) are mixomycetous (56 taxa), zygomycetous (24 taxa), chytridiomycetous (14 taxa), oomycetous (12 taxa) and blastocladiomycetous (1 taxon) fungi. About 100 taxa containing texts, "bonin", "munin", "ogasawara," "chichi", "haha", in their scientific and/or common names were found in the list. It indicates that at least 10% of taxa reported from the islands have type localities there and/or endemic. More taxa new to the islands will obviously turn up if various mycologists repeatedly place the full weight of their effort on collecting and identifying materials there, because those found are merely ca. 8.3% of known species of fungi in Japan.小笠原諸島で採集・発見・同定された菌類のうち文献として公表され、あるいは標本や分離菌株が公的機関に保存されている約1,000 学名(分類群)を網羅した。その主な内訳は担子菌類506 種(50.8%)、不完全菌類203 種(20.4%)、子のう菌類180 種(18.1%)で、残りの10.7%は変形菌類56 種、接合菌類24 種、ツボカビ類14 種、卵菌類12 種、コウマクノウキン類1 種である。学名や和名のローマ字表記の中に"bonin"、"munin"、 "ogasawara"、 "chichi"、 "haha"の語を含む種等が100 以上あることから、少なくとも10%の分類群が同諸島をタイプロカリティーとしており、また、その中には特産種も含まれているものと思われる。リストアップされた菌類は国内既知種の8.3%に過ぎず、今後、様々な菌学者が繰り返し同諸島の菌類を採集・同定することにより、さらに多くの種が明らかになると予想される。
著者
出川 洋介 勝山 輝男 田中 徳久 山岡 裕一 細矢 剛 佐久間 大輔 廣瀬 大 升屋 勇人 大坪 奏 城川 四郎 小林 享夫 原田 幸雄 松本 淳 勝本 謙 稲葉 重樹 佐藤 豊三 川上 新一 WALTER Gams
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

労力と時間を要すために研究が遅れてきた菌類のインベントリー調査を、博物館を介して専門研究者と市民とを繋ぐ3者連携体制を構築して実施した。多様な世代の70名以上の市民により5千点を超す標本が収蔵された10年に及ぶ事前調査を踏まえ、約50種の菌類を選定し、研究者の指導のもとに市民が正確な記載、図版を作成し菌類誌を刊行、デジタルデータを公表した。本研究事例は今後の生物相調査の推進に有効な指針を示すと期待される。
著者
小松 孝彰 前田 克彦 池本 誠也 細矢 剛 小松 孝彰 小川 義和 細矢 剛 久永 美津子
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

国内外の博物館を調査した結果、人々の科学リテラシーの涵養に資する展示を実現するために、多くの場合、展示評価が活用されており、それを展示開発に組織的・継続的に取り入れ、効率的・効果的に実施していくことが重要であることがわかった。また、これまで諸文献において扱われていなかった展示評価の各調査手法の効果的・効率的な実施方法に関して、調査の試行・実践を通して多くの具体的な知見を得ることができた。