著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.55-60, 2021 (Released:2021-06-21)

「ものづくり」のための公共空間を意味するメイカースペースを公共図書館に設置する動きが米国やヨーロッパの国々さらに中国や韓国などアジア諸国で急速に広がっている。2019年年末からの新型コロナウイルスの感染拡大は,開館型サービスである図書館メイカースペースに大きな影響を及ぼしている。新型コロナウイルスの感染拡大下でリモートサービスにより提供されている図書館メイカースペースについて,2020年6月および9月時点と2021年3月時点での経時的な変化を見た。公共図書館が開始したメイカースペースのリモートでのサービスの継続状況から,公共図書館が導入したリモートサービスの今後について考察する。
著者
藤田 節子 戸塚 隆哉 平田 泰子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.49-53, 2021 (Released:2021-06-21)

書籍の巻末索引は、重要であるにもかかわらず、「本の飾り」くらいにしか思われていない傾向がある。INFOSTA分類/シソーラス/Indexing部会では、この巻末索引についての研究の一環として、一般向け書籍3冊を選び、メンバーで分担して索引作業を実施し、その結果を共有して議論した。2冊については、語による索引を付与し、1冊については、段落ごとにUDC(国際十進分類法)の分類番号を振ることにした。その結果、索引における索引語の選択基準や索引語と本文中の語との関係などの多岐にわたる問題について、検討することとなり、一定の知見が得られた。特定の事例に基づく知見であるので、ここで示す考察や結論は、必ずしも普遍性を担保されたものではないが、この知見は、書籍の索引を作成する場合のひとつの指針になることはもとより、論文などの索引付けや文献データベースの索引部分の設計にあたっても、参考にできるものと考えられる。
著者
安藤 聡子 永禮 三四郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.43-47, 2021 (Released:2021-06-21)

調査によると、日本の約1/4の企業が最も重視する外部情報として、「学会に参加」、「外部論文情報の活用」を挙げている。また、企業活動においてもグローバルな情報収集の重要性が増してきている。分野を超えた融合研究がイノベーションの加速には必要であるといわれているが、多様化する研究を俯瞰するのに論文情報の活用は有効であるとして、論文情報を活用した研究が増えている。論文には国際特許分類に相当するような産業的な観点で技術要素を適切に分析可能な分類はない一方で、論文情報を活用して、特定のテーマによる研究トレンドを分析する場合には、研究コミュニティの総合評価ともいうべき引用を活用した、研究分析対象の集合の作成および、分析の解釈が可能である。窒化ガリウムを例に、他社や、イノベーションを加速する情報を取得可能か、過去の事例を基に試みたので報告する。
著者
本田 正美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.37-41, 2021 (Released:2021-06-21)

2016年に、官民データ活用推進基本法が施行された。同法は、都道府県に対して官民データ活用推進計画の策定を義務付けている。この計画の策定義務化に伴い、都道府県におけるオープンデータの取り組みが進み、全都道府県でオープンデータに取組済となっている。本研究は、都道府県で策定された官民データ活用推進計画に着目し、オープンデータの推進が唱導されるなかで、法律で策定が義務付けられたデータ活用に関する計画においてオープンデータはいかなる位置付けが与えられたのか実証分析を行った。その結果、オープンデータの位置付けには二つの側面があり、オープンデータが「データ公開の取り組み」と「データ自体の取り扱い」の二つの側面から定位されていることが示唆された。ただし、都道府県の官民データ活用推進計画において、オープンデータについて政策の指標が設定されず、オープンデータの定位が不十分な事例も一定数あった。
著者
山田 喜道 柏木 秀樹 織田 匡博 北山 智基 小阪 美里 林 貴之 佐久間 幹雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.31-35, 2021 (Released:2021-06-21)

新市場・新商品等の探索・提案を行う手法の豊富化が、IPランドスケープにより提案することのできる新市場・新商品等の多様化に資すると考え、新たな手法「鴨川メソッド」を報告する。本手法は、(1)新規事業に乗り出そうとする会社の要素技術の特許群と、今後の発展が目されている技術分野の特許群の検索母集団を作成して合併し、(2)各特許分類が両母集団でどの程度用いられているかの情報を付加した上で、KeyGraphにより共起関係の繋がりをネットワーク図として可視化するものである。これにより、自社のシーズの要素技術と、今後の発展が目されているニーズの技術分野とがネットワークで連結され、自社のシーズのニーズとなる新用途・新市場の示唆が得られる。
著者
桐山 勉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.25-30, 2021 (Released:2021-06-21)

2020年は新型コロナ感染症、所謂、COVI-19の災禍に翻弄された1年であった。発表者は高齢者で複数の基礎疾患を持病に持つ身のため、報道ニュースを見て他人事と安易に考えずに自分事と真剣に考えない限り、自分の身を守れないと痛感した。その理由から、新型コロナ関連の医学文献を調べているうちに専門誌情報が広く市民に公開されているOpen Scienceの時代と知った。更に、グローバルの有志活動などからCitizen Scienceの時代でもあることを知った。そして、個人として感染症に全くの素人が6か月間色々な有用な情報を学びながら、得られた非特許情報を特許情報で検証・確認する特許分析の手法を利用して、COVID-19関連に関する特許分析を行った。その結果を報告する。主な内容は、①COVID-19に関する治療薬候補の特許群分析と、②その各種ワクチンの特許群分析と、③人工抗体薬の特許群分析の3点を中心に研究した結果を報告する。自分事として研究を始めた個人研究であるが、その結果が聞き手の利他になれば、幸甚である。
著者
桐山 勉 栗原 健一 藤城 享 川島 順
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.19-24, 2021 (Released:2021-06-21)

地球温暖化のせいか近年、集中豪雨により日本各地で頻繁に河川の氾濫が起こり、ニュースで頻繁に放映されるようになった。2020年は新型コロナ災禍だけでなく豪雨・洪水の災害の年でもあった。自衛隊と国土交通省と総務省の大活躍の年でもあった。一方、新型コロナ関連の医学文献を調べているうちに専門誌情報が広く市民に公開されているOpen ucienceの時代と知った。更に、WikipediaとNPO活動などからCitizen Scienceの時代でもあることを知った。物理的に人が集まらなくても、3密を避けながらオンラインVR会議ができることを1年間にわたり経験した。そこで、SIG-PDG部会の最新の取り組みとして、Citizen Scienceの先駆けとして、当部会が市民勉強グループとして調査主題の研究結果をどこまで価値ある提言として発表できるかに挑戦している。本発表では、官公庁からの資料を分析し、河川の氾濫防止に関する特許分析研究を行い、研究成果として将来を先読みして5つの提言を行うものである。
著者
安藤 俊幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.13-18, 2021 (Released:2021-06-21)

SDI特許調査への応用を目的に教師有りクラス分類について機械学習と特許調査の観点から調査の効率化の基礎検討を行った。SDI特許調査への応用として最初に人が査読/ノイズに仕分けた過去分の公報を教師データとして学習させ、新着公報を同様に2値分類させるタスクを想定し分類性能を検証した。SDI調査検討は、機械学習を組み込んでいる商用のAI利用特許調査ツール2種類とオープンソースソフトウエア(OSS)の機械学習ライブラリを使用した。検討対象として出願件数が多く、SDI調査事例として検証しやすい顔料系インクジェットインクの分野を対象とした。SDI調査結果の性能の指標として正解が分かっている集合の公開年毎の混同行列を集計して正解率、適合率、再現率、F値を算出した。結果は商用のAI利用特許調査ツール2種類とも適切に教師データを設定すれば概ね、正解率、再現率は80%を超え、適合率はさらに良い結果を示した。教師あり機械学習には良質な教師データの準備が重要である。
著者
田畑 文也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2021 (Released:2021-06-21)

中国特許の出願が増大し、日本特許の10倍以上の出願数になっているが、中国特許を精査する際に重要な情報である中国特許庁提供の英語抄録と、日本特許庁提供の新しい翻訳エンジンを用いた機械翻訳について、翻訳精度の検証を実施した。中国特許庁提供の英語抄録については、少なくとも一部の翻訳工程では機械翻訳を用いていると考えられ、例えば”polyethylene terephthalate”と訳されるべきで所について43%が、”polyethylene glycol terephthalate”と訳の湧き出しのように誤訳されなど、機械翻訳で生じたと考えられる誤訳が、そのまま提供されており、翻訳精度的に問題あることがわかった。また、日本特許庁提供の中国特許機械翻訳も、例えば、中国語の”深度学习”は、深層学習等と訳されるべきところが、サンプル調査した100%が、深さ学習、深度学習と誤訳され、訳語としての精度に問題もあることもわかった。
著者
奥村 公人
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.1-6, 2021 (Released:2021-06-21)

SDI*にAIを導入することにより、精査にかかる工数を削減することを目的とする。従来、SDIは要/不要の特許が玉石混交状態となっている膨大な特許母集団を全て査読する必要があり、多大な労力と時間を要していた。これにAIを導入することにより、玉石混交状態の特許母集団を要/不要に仕分けたり、目的の内容に対して関連度の高い順に並べ変えたりすることができれば、大きく労力や時間の削減が期待できる。本目的からAIは、必要な特許は全て必要と判定することが前提となる。それを元にどれだけノイズを除去できるか試行した。対象特許の技術分野は化学反応プロセスである。まず日本語を対象に検討し、次に言語を拡大し、英語と中国語を試みた。結果、全ての言語でノイズのみを高確率で除去できることがわかった。*SDI: Selective Dissemination of Information 指定したキーワードや技術分野などの条件に該当する特許情報を定期的にチェックし、必要なデータを収集・管理すること。
著者
越山 了一 川越 俊次郎 大塚 勝一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.529-532, 1978

神奈川県資料室研究会(神資研)では,京浜地区にある専門情報機関のうち,82機関を収録した「情報源マップ-首都圏版-」を作成した。"マップ"というのは地図入りだからである。これまでも専門情報機関のリストはあったが,地図入りのものはなく,この点が本書の最大の特徴である。収録した82機関は,神資研の会員がこれまで主として利用した機関である。それぞれが特徴を持ち,全体として広い分野をカバーしている。ほとんどが無料で利用できる公開機関であることも特色の一つである。その内容は,道順,複写の可否・価格まで記載してある。本書は作り方が簡単な割には有用度が高い。首都圏版以外の情報源マップの作成が望まれる。
著者
下川 公子 安藤 敏 岡 紀子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.5-9, 2010

日本FARMDOC協議会(JFA)での「検索報告書研究会」の研究結果を発表する。特許庁は1989年から、審査処理効率の向上を目標に「工業所有権に関する手続き等の特例に関する法律」に基づき、先行技術調査の検索外注を開始した。医薬系分野では、(1)工業所有権協力センター(Fターム検索)と、(2)化学情報協会(2005年開始、化学物質の構造検索)の2箇所が主な外注先であり<SUP>[1]</SUP>、外注検索の結果は「検索報告書」<SUP>[2]</SUP>として全て公開されている。本発表では、社団法人 化学情報協会の「検索報告書」を対象に、化学物質関連特許出願を抽出し、審査のための先行技術文献調査としての深さと広さを検討した。特に、「検索報告書」と特許庁の拒絶理由通知書を比較し、外注先検索者のスクリーニングサーチの結果へ特許庁審査官による拒絶理由通知書の引例の追加がある場合について、部分構造検索式の作成、サブセット構造検索による絞り込み、キーワードの選定と絞り込み、などについて精査した。その結果、特許庁の新規性調査および進歩性調査の考え方を確認できたことにより、今後の自社内での特許出願前調査、特許出願戦略に生かすことができると思われる。さらには、化学物質の調査で見落としがちな問題点を認識することができた。<SUP>[3]</SUP>
著者
加納 信吾
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.263-268, 2021-06-01 (Released:2021-06-01)

グラントメトリクスは,論文によるビブリオメトリクスや特許によるパテントメトリクスに対し,助成金プロジェクトを分析単位とするメトリクスの総称である。近年,国内の主な助成金提供機関の助成金データベースが整備され,網羅的な助成金検索が可能となったことから,グラント情報を利用した,先端医療分野における新規製品の実用化レベルの時系列なトレンドの変化を分析するアプローチを紹介する。また,トレンド変化と製品の薬事審査ガイドラインの整備のタイミングとの関係についても分析し,Regulatory Horizon Scanningにおける定量的なアプローチとしてのグラントメトリクスの利用可能性についても検討する。
著者
入江 満
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.258-262, 2021-06-01 (Released:2021-06-01)

バイオインフォマティクスやマテリアルズインフォマティクスといった「X-インフォマティクス」分野および計算化学や計算物理学といった「計算-X」分野が,人工知能(AI)技術の応用により発展してきた。また,AI技術の普及により,インフォマティクスにおける計算科学や,計算科学におけるインフォマティクスというように,分野の垣根を超えた取組みが増えてきた。本稿では,ともに「自然科学×情報科学」の枠組みの中にあるこれらの分野について概念を記述すると共に,関係性を整理する。また,それぞれの分野においてAI技術がどのように応用され,発展しているのか,従来の統計手法との比較も交えて議論する。
著者
阿久津 達也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.247-251, 2021-06-01 (Released:2021-06-01)

バイオインフォマティクスは生物学と情報学の学際領域であり,1990年代から2000年代前半にかけて実施されたヒトゲノム計画や,他のゲノム計画の進展に伴い大きく発展した。本稿ではバイオインフォマティクスにおける代表的な研究課題を紹介する。具体的には,配列アラインメント,配列検索,遺伝子発見,進化系統樹推定,ゲノムワイド関連解析,タンパク質立体構造予測,遺伝子発現データ解析,生体ネットワーク解析などについて簡潔に説明する。日本におけるバイオインフォマティクス研究の歴史や発展についても紹介するとともに,近年における新たな展開や今後の展望について議論する。