著者
小林 花神 堀口 高彦 近藤 りえ子 志賀 守 廣瀬 正裕 伊藤 友博 鳥越 寛史 林 信行 大平 大介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1551-1555, 2006-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15

80歳,男性.平成16年10月より慢性心房細動に対して抗不整脈薬アミオグロンを内服していた.内服7カ月後の平成17年6月,呼吸困難,発熱を来たし入院となった.胸部レントゲン写真,CT写真にて全肺野にスリガラス影を認め,動脈血液ガス分析にて低酸素血症がみられ,acute respiratory distress syndrome (ARDS)と診断した.アミオグロン内服の中止,ステロイドパルス療法を施行するも病態の急速の進行により入院第4日目に死亡した.剖検にてdiffuse alveolar damage (DAD),肺胞腔内に水腫液の貯留,foamy macrophageを認め,アミオグロンによる薬剤性肺障害と診断した.
著者
信太 隆夫 降矢 和夫 水野 勝之 我妻 義則 松山 隆治 宮田 亮
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.739-751,800-80, 1970-10-30 (Released:2017-02-10)

現代日本で最も普遍的な花粉症の原因花粉はスギ花粉で, 次いでヨモギ, イネ科, ブタクサなどが重要である.スギの抗原としての独立性は高く, イネ科, ヨモギ, ブタクサあるいはシロザなどが時に相互に類似性を示すことと対照的である.いわゆる花粉症と花粉喘息を比較観察し次の結果を得た.1)花粉喘息の発症年令は花粉症より若く, かつ2峰性の分布を示す.2)花粉喘息は花粉症を繰返して生ずるより初めから喘息として発症することが多い.3)花粉喘息のAch感受性は明らかに高い.4)花粉症の発作季節は原因花粉飛散季節と一致するが, 喘息ではしばしば春秋型をとり, 必ずしも花粉季節と一致しない.5)花粉症も花粉喘息も主因外花粉に対する皮内反応はほゞ同様の傾向を示すが, 花粉以外のHDや真菌類に対しては花粉喘息は明らかに高い陽性率を示す.6)花粉喘息のPK価は皮内反応の閾値との関係において花粉症のそれより低い.
著者
平 英彰 庄司 俊雄 寺西 秀豊 剣田 幸子 槻陽 一郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.467-473, 1995-04-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

一般に空中花粉調査ではスギの花粉飛散は, 2月から3月にかけてスギ雄花の開花に伴って観察される. しかし, スギ雄花の花粉飛散状況を直接観察すると, スギ花粉は Durham型花粉検索器でほとんど検索されなかったが, 1月上旬からすでに肉眼的に少量の花粉飛散が認められた. また, スギ花粉症患者の発症は, 1月上旬から認められており, Durham型花粉検索器で観測したスギ花粉数から判定したスギ花粉飛散開始日までに, スギ花粉症患者1,366人の内265人(19.4%)が発症していた. したがって, 少量ながらスギ花粉は1月上旬からすでに飛散しており, 敏感なスギ花粉症患者においては, 1月上旬から, スギ林から飛散した花粉によって症状が誘発される場合があると考えられる.
著者
藤崎 洋子 島瀬 初美 五十嵐 隆夫 山田 康子 小林 收 佐藤 尚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.668-677,692, 1976-09-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
3

マツ花粉飛散の多い新潟市に約20年間居住した後発症したマツ属花粉症の2症例を報告した.2症例はマツ属のほかイネ科, ヨモギ属の複合感作をうけているが, 毎年マツ飛散期に一致した4月より6(7)月まで眼, 鼻症状がおこり, クロマツ, アカマツが主要抗原であると診断し, 各花粉液による減感作両療法で著効をえたものである.症例1の皮内反応はクロマツ10^<-3>液でlateの反応を示し, 症例2の皮内反応陽性閾値はアカマツ10^<-5>であった.症例1のP-K反応は8時間後に最大となる皮膚反応を示し, 症例2のP-K反応は陽性であった.2症例ともマツによる鼻粘膜試験は陽性, 結膜試験は陰性であった.新潟市におけるマツ属花粉飛散期間は4月ないし6(7)月で, 5月初旬に最高飛散となる.新潟県内居住の小児気管支喘息患者について皮内反応を行い, クロマツ1.6%, アカマツ1.7%の陽性率をえた.また両者の共通抗原性は特に認められなかった.これらの結果から, マツ属花粉は抗原性が弱いとはいえわが国における花粉症抗原の1つとして検索をすすめるべきものと考えられる.
著者
山本 哲夫 朝倉 光司 形浦 昭克
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1701-1706, 1993-11-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
7

北海道のシラカバ花粉症とリンゴ果肉過敏症の関連について検討して以下の結果を得た. 1. シラカバ花粉症(症状とCAP陽性<スコア1以上>)83例のうち, 17例(20%)が問診上リンゴ果肉過敏症が合併しており, 他のアレルギーや他の花粉症に比して高率であった. 2. シラカバCAP陽性例は陰性例に比べリンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 3. シラカバ花粉症の中ではCAPによりシラカバの感作の程度が強い方が, リンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 4. 北海道において問診にてリンゴ果肉過敏症が見られた場合, 花粉症の診断の参考になると思われた. 5. 日本においても, シラカバ花粉症のみられる地域ではリンゴ果肉過敏症は稀ではないと思われ, 注意が必要と思われた.