著者
結城 敏文 奥村 康 安藤 徹 山川 浩志 須甲 松伸 灰田 美知子 奥平 博一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.557-561, 1990
被引用文献数
9

ダニ(Dermatophagoides farinae)の主要アレルゲンDer f IIをコードする遺伝子を単離することを目的として, ダニ虫体よりmRNAを分離精製し, 対応するcDNAライブラリーを作製した.そのライブラリーから抗Der f II抗体と反応するクローンをコロニーイムノアッセイで検索し, 1600株より2株を分離した.得られたクローンよりcDNA配列部分を切り出しその塩基配列を決定したところ, 二つのcDNAはどちらも128個のアミノ酸をコードしており三つのアミノ酸残基を除いて両者は一致していた.またDer f II蛋白を精製しそのアミノ酸配列をN末端より45残基まで決定した.その配列をcDNAから想定されるアミノ酸配列と比較したところ完全に一致しており, cDNAのコードする蛋白はダニ主要アレルゲンDer f IIであると結論した.
著者
湯田 厚司 宮本 由起子 荻原 仁美 服部 玲子 大久保 公裕
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.124-132, 2009

【背景】花粉症に対する舌下免疫療法は,本邦では試験段階として成人例での有用性が報告されている.本法は痛みがなく,通院回数が少ないので,特に小児例で利点が多いと考えられるが,小児スギ花粉症での検討はない.【方法】スギ花粉症患児10例(男児4例,女児6例,平均8.5±2.2歳)に標準化アレルゲンエキス「スギ花粉」(トリイ社製)で舌下免疫療法を行った.投与方法は成人例と同じとし,2000JAUで週1回維持した.初年度の臨床症状を検討した.【結果】全例で安全に在宅投与ができた.初年度スギ花粉飛散期の症状は,全期間で軽症であり,スコアの最大は鼻閉の1.3点であった.救済薬の使用は少なく,10例中3例が無投薬無症状で,2例が5日以内の頓服服用であった.5cm尺度のvisual analog scaleも1cm程度と極めて良好であった.アンケートによる治療の印象は全例良好であった.【結論】少数例でのpilot open studyであるが,小児スギ花粉症にも舌下免疫療法が有効である可能性が示唆された.
著者
高橋 勇 阿南 貞雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.348-353,392, 1974
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎, 慢性湿疹, 急性湿疹を有する患者および健常人より皮膚生検を行い, 蛍光抗体法により IgE 結合細胞の検索を行つた.IgE 結合細胞は検索例全例において, 真皮上層, 中層にみとめられ, 細胞膜あるいは胞体内に IgE を保有し, 種々の染色像を呈した.蛍光の強さは出現する IgE 結合細胞の数に比例するが, 血清 IgE 濃度とは相関がみられなかつた.トルイジンブルー染色により, この細胞はマスト細胞であることが確認された.そこで, 切片単位面積あたりの IgE 結合細胞および全マスト細胞数を算出しその比をみると, アトピー性皮膚炎54.2%, 慢性湿疹41.2%, 急性湿疹29.6%, 健康人では18.9%となり, アトピー性皮膚炎および慢性湿疹では IgE 結合細胞の増加がみとめられた.
著者
長谷川 眞紀 大友 守 三田 晴久 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.478-484, 2005
被引用文献数
3

【背景】"シックハウス症候群"は室内環境要因-アレルゲン, 病原菌, 揮発性化学物質など-によって惹起される健康被害と考えられているが, その病態, 病因についてはまだ確立していない. また"シックハウス症候群"は微量の揮発性化学物質によって起こる化学物質過敏症と重なる部分が大きいと考えられる. 【方法】我々の施設を訪れた患者の中から, 4つの仮のクライテリア((1)化学物質への曝露歴, (2)多臓器の症状, (3)症状を説明するような他の疾患の除外, (4)慢性の症状)によって, 化学物質過敏症の可能性例を選び出し, その臨床像を調べた. 【結果】130名余りの患者のうち, 50名が可能性例と判定された. 女性が38名, 男性が12名, 年齢は15歳から71歳であった. そのうち42名(84%)の患者がなんらかのアレルギー性疾患の既往, または合併を持っていた. これは本邦一般人口中のアレルギー疾患の有病率よりずっと大きい. アレルギー疾患の中ではアレルギー性鼻炎が最も多かった. 総IgE値は比較的低値で32名(64%)が200IU/ml未満であった. 抗ホルムアルデヒドIgE抗体が陽性の患者はいなかった. 化学物質負荷試験後の末梢血ヒスタミン遊離反応では, reactivityもsensitivityも低下していた. 【結論】化学物質過敏症がアレルギー的機序によって惹起されるとは考えられないが, 化学物質過敏症がアレルギー疾患を持っている患者に起こりやすい, またはアレルギー疾患を顕在化させる可能性が考えられた.