著者
小山 玲音 出村 幹英 野間 誠司 林 信行 原口 智和 宮本 英揮 笹川 智史 龍田 典子 上野 大介
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.226-232, 2021-07-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
28
被引用文献数
4

気生藻類の一種であるスミレモTrentepohlia aurea (Linnaeus) Martiusは,スミレのような“におい”があることが知られている.スミレモのにおいの有無や強弱には生育地域や場所による多様性の存在が示唆されるが,これまでは定性的な観察が中心であった.本研究ではスミレモのにおい物質を同定することで,スミレモのにおいに関する基礎的な知見を提供することを目的とした.におい物質の同定には,におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)を含む“におい分析システム”を活用した.分析の結果,“良い香り”として特徴的なにおい物質であるα-テルピネンと2-ペンチルフランを同定した(2-メチル-6-ヘプテン-1-オールとβ-イオノンは仮同定).将来的にスミレモ類縁種のにおい物質をデータベース化することで,におい物質を利用した化学分類学の発展に貢献できると期待される.
著者
中野 弘一 坪井 康次 村林 信行 山崎 公子
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.219-224, 1994-03-01

ライフサイクルの観点から中年期の生活を考えてみると, 社会的には職場における適応が大きな問題となっている。本論文では職場での適応について, 1つは不適応の代表として出社困難症例を検討し, もう1つは適応過剰のため心身症を発症し適応が破綻していった症例を考案した。不適応事例については, 東邦大学心療内科を受診し, 継続勤務が不良であった105例につき調査した。受診経路については, 女子では他人に勧められて来院するよりも自ら進んで来院するものの方が多く認められた(p < 0.05)。また初診までの期間別にみた復職状況では, 男子は1年以上たって受診したものは復職できているものが少なかった(p < 0.01)。さらに初診時における勤務状況別の復職者の割合については, 男子は現在の勤務状況に関連していたが, 女子では勤務状況との関連を認めなかった(p〈0.05)。また職場不適応の年代のピークは男女とも20歳代に認められ, もう1つのピークは40歳代で男性にのみ認められた。この現象は, 女性には中年の危機が存在しないのではなく, 社会進出した女性群が40代のピークを未だ迎えていないためと考えられた。さらにVDT障害による不適応の場合は他の職種に比べて不適応が早期に出現するが, これはコンピューターを使っての作業は専門性が高く, 他の人の協力や交替が得にくいためと考えられた。過剰適応については, (1)ライフスタイルの乱れから消化性潰瘍とうつ状態を呈し, 症状軽快後は外来での生活指導を拒否してしまった症例と, (2)過敏性腸症候群とともに肥満, 高血圧, 高脂血症, 高尿酸血症などのいわゆる成人病を呈し, 入院中は節制した生活をし症候全体が軽快していったが, 退院後1ヵ月で治療前の状態に戻ってしまった症例を示した。2症例を通じて, 中年期心身症の生活指導や行動変容は寛解と増悪を繰り返し, 難航するものが少なくないことを示した
著者
小林 信行
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-14, 2020-03-31 (Released:2023-06-01)
参考文献数
24

本稿は、心理学分野の研究倫理における研究協力者への配慮を視座に、評価倫理における基本原則「人々への敬意」に関する論考を行う。そして、その論考を踏まえ、日本評価学会の「評価倫理ガイドライン」で今後反映すべき事項に関する示唆を導出する。心理学分野では、研究は実践活動よりも高リスクと見なされ、研究に先立ち倫理審査が求められる。同様に、評価協力者に著しいリスクが生じる可能性がある場合、類似する審査が望まれ、その要否の判断基準が検討課題となる。「評価倫理ガイドライン」は、評価が介入の割り付けを決定する状況を想定しないため、前記の状況でのインフォームド・コンセント、許容される統制群の設定も検討課題となる。研究倫理の「実践」から、幾つかの課題も明らかとなった。倫理審査が調査手法の選定に影響し、特定の手法を忌避する傾向が見られた。また、「理論」が提示する複数の基本原則どうしが衝突し、倫理的な判断が困難となった結果、倫理面の配慮が研究協力者の負担を重くするケースも生じている。
著者
小林 花神 堀口 高彦 近藤 りえ子 志賀 守 廣瀬 正裕 伊藤 友博 鳥越 寛史 林 信行 大平 大介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1551-1555, 2006-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15

80歳,男性.平成16年10月より慢性心房細動に対して抗不整脈薬アミオグロンを内服していた.内服7カ月後の平成17年6月,呼吸困難,発熱を来たし入院となった.胸部レントゲン写真,CT写真にて全肺野にスリガラス影を認め,動脈血液ガス分析にて低酸素血症がみられ,acute respiratory distress syndrome (ARDS)と診断した.アミオグロン内服の中止,ステロイドパルス療法を施行するも病態の急速の進行により入院第4日目に死亡した.剖検にてdiffuse alveolar damage (DAD),肺胞腔内に水腫液の貯留,foamy macrophageを認め,アミオグロンによる薬剤性肺障害と診断した.
著者
韓 雲哲 真谷 歩 ンキヤ エリーネ 林 信行 藤田 修二
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.275-281, 2006-11-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
21
被引用文献数
1 6

ゴボウの抽出液の褐変反応中のスペクトルの特徴からクロロゲン酸或いはその同族体の酸化反応が酵素的褐変の主原因であることが示唆された。クロロゲン酸を基質としてゴボウのポリフェノール酸化酵素 (PPO) は16.6倍に精製され, その回収率は約21%であった。精製酵素のPAGEおよびSDS-PAGEにおいて, 1本のバンドを示した。精製酵素の分子量はゲル濾過法とSDS-PAGEによりそれぞれ41,000と40,000と算出された。精製酵素はクロロゲン酸およびエピカテキンを速やかに酸化した。酵素のクロロゲン酸 (pH5.0, 20℃) とエピカテキン (pH 8.0, 20℃) に対するKm値は0.4と2.7mMと算出された。クロロゲン酸酸化酵素 (ChO) 活性の最適pHは5.0, エピカテキン酸化酵素 (EpO) 活性の最適pHは8.0に認められた。本酵素を4℃で22時間処理した結果, pHs5.0-8.0範囲で安定であった。両活性の最適温度は20℃に認められた。45℃, 30分加熱を行った結果, 両活性の約50%が失活した。両活性は, 5 mMのL-アスコルビン酸, L-システインによって強く抑制された。
著者
村上 周三 小林 信行 鎌田 元康 加藤 信介 内海 康雄 吉野 博 赤林 伸一
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.はじめに省エネルギーを実現すると同時に清浄な空気環境の維持と快適性の向上を図るためには、従来の一様拡散の仮定ではなく、気流・濃度分布を考慮した換気効率の概念に基づく換気設計や換気システムの評価が必要である。そこで本研究は、換気効率を考慮した空調換気設備の評価方法の確立を目的として、文献調査、実験、数値計算、用語集の作成、測定マニュアル等の作成を行った。2.研究方法と結果(1)研究の現状調査国内外の文献と関連の規格、国際会議の研究動向等を調査し、換気効率の概念や評価法の実測例、実験例をまとめた。その結果、換気効率に関しては様々な概念があって、未だ確立されていない現状が明らかになった。(2)換気効率の概念について関連する用語集と一般的な換気システム図を作成し、各国での換気効率に関する用語の定義を整理した。(3)各種建物を対象とした換気効率の実測・セントラル換気システムを備えた住宅給気系ダクト入口にCO_2ガスを注入し、各室における濃度履歴を測定した。・実大居室模型空気齢を基にした各種測定法の精度・実用性などを実験的に検討した。・3室の縮小居室模型各室の換気効率を測定した基礎的なデータを得た。・事務所ビル単一ダクト方式を採用した事務所ビルの換気効率を実測した。(4)空気齢の測定方法に関するマニュアルの原案作成各種の実験や実測を基に、主要な換気効率指標である空気齢の測定法のマニュアル(原案)を作成した。(5)数値シミュレーション乱流計算プログラムによる空気分布に基づいて各種の換気効率指標の予測手法を検討した。3.まとめ換気効率の概念についての各国での研究の現状を明らかにし、関連用語集を作成した。また、各種建物について実験や数値シミュレーションを実施し、換気効率指標を計算した。これらに基づいて、主要な換気効率指標である空気齢の測定マニュアル案を作成した。
著者
小林 信行
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.39, pp.97-115, 2006 (Released:2009-09-16)
参考文献数
28

In 1903, Hirata was sent to go to England for three years as a student of the Department of Education in order to study “English and a Method of Teaching English”.On the 21st of Fubruary, he left Yokohama for England, taking with him words of encouragement and farewell gifts presented by his teachers and his students. He arrived in London at the end of April. While staying in Japanese Cosulate, he saw the sights of London and sometimes visited the museums. He also frequented the theaters with his friends to see the plays such as “Much Ado About Nothing, ” “Dante, ” “Sapho, ” “Tristram and Iseult”.He met Mr. Osman Edwards again whom he had maintained a close friendship with in Japan five years before. When he was in Japan to study Japanese plays and actors, he was accompanied by Hirata to the plays (Noh and Kabuki) and sometimes translated his essays of “On Japanese Plays” into Japanese so that Edwards could contribute to Japanese magazines.This time, Edwards welcomed Hirata warmly, showing him around London to see the art museums and theaters. He often took Hirata to the Playgoer's Club.Hirata also visited Hogetu Shimamura. Shimamura had been staying in England for a year as a student from Waseda University and began a friendship with him in London. Before long Hirata decided to go and study at Oxford University and moved there. Hirata's association with Hogetu in Oxford continued until he left for Germany at the end of July in 1904. The state of their association can be seen in “Diary from March 8, 1902” written by Hogetu himself. Hirata associated with Japanese students in Oxford with an introduction from Hogetu. In October he began to present himself at the lectures of Dr. H. Sweet, Prof. Walter Raleigh, Prof. A.S. Napier, Lecturer E.de Selincourt at Merton, Magdalen, Balliol College and so forth.
著者
林 信行 前刀 禎明 外村 仁
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.9, no.18, pp.132-135, 2010-11-02

外村 それにしてもiPhoneはうますぎた。「アップルが電話を再発明する」というコピーも良かったけど、そこにいく流れが見事。「今日は革命的な製品を1つではなく3つ紹介する。1つ目はタッチ機能があるワイドスクリーンのiPod。2つ目が革命的な携帯電話。3つ目は画期的なインターネット機器だ」と。
著者
大場 正昭 伊藤 一秀 小林 信行 倉渕 隆 菊池 世欧啓 菊地 世欧啓
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、様々な風向時における建物内外の乱流構造について風洞実験と数値シミュレーションにより検討し、局所相似モデルを提案し検証するとともに、開口部到達全圧の推定方法を提案した。得られた知見は次のとおりである。(1)アプローチフローが建物開口部に正対する条件では、建物前面下部に形成される循環流と開口部直上面を下降する気流との相互作用により、下向きの運動量輸送が開口部直前で増大し、流入気流が開口部を急激に下降しながら室内に流入した。開口部の圧力損失係数は流入角と風向角に依存した。(2)建物内外の乱流構造の把握を自的とした風向正面の場合の通風気流に関する乱流モデルの予測精度検証を行った。LKモデル,LK改モデルは、標準k-εモデルでは困難である建物前面下部の大きな循環と流入気流の下降をある程度再現し,流入乱流エネルギーの過大評価を緩和できた。LESモデルは通風量,風速ベクトル,乱流エネルギー,風圧係数等の統計量に関して風洞実験結果とよく対応し,k-εモデルに対し大きな改善が見られた。(3)開口部の流管形状解析から、開口部付近の短い区間での加減速の影響により,この区間の流管形状に大きな変化が生じていることが明らかになった。(4)様々な風向における通風時の乱流構造の把握において,風向角変化に伴う圧力変化について考察し,風向45゜まで全圧が概ね一定,以後低下する原因は風上コーナーでの気流の剥離に伴う乱流エネルギー生産でことが判った。(5)通風の局所相似性の仮定に基づく通風量予測モデルを提案し,妨害気流の横風成分が強い通風気流に対して.局所相似モデルは風向角に依らず一意的に開口部の流入特性を表現できることを示した。(6)壁面近傍の動圧測定値を風圧に加算して、開口部到達全圧を簡便に推定する方法を提案した。今回のケースでは開口部長辺の1/4程度壁面から離れた地点の動圧を用いることが適当であり,全圧の簡易測定結果は直接測定結果とよく対応した。
著者
内海 航介 野々村 善民 小林 信行 平原 裕行
出版者
社団法人日本建築学会
雑誌
学術講演梗概集. D-2, 環境工学II, 熱, 湿気, 温熱感, 自然エネルギー, 気流・換気・排煙, 数値流体, 空気清浄, 暖冷房・空調, 熱源設備, 設備応用 (ISSN:1341450X)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.649-650, 2007-07

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