著者
箕輪 光博
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.410-412, 1979-11-25

A new sampling technique for deriving stand volume through the estimation of the sum of critical heights by STRAND'S method is proposed. This technique is characterized by double counting based on both KITAMURA'S critical height method and STRAND'S vertical line sampling, the latter of which is modified to something like point sampling in this paper. First, two parallel lines are selected in the stand, each of which has a random point as its center and is perpendicular to the segment formed by the two center-points. Next, double counting (horizontal counting followed by vertical counting) from each center-point is made for all surrounding trees, allowing an unbiased estimate of stand volume to be formed by the average tree count per point-line multiplied by a constant factor associated with a pair of given horizontal and vertical angles. It should be noted that the vertical angle used at each point is not constant but is a variable angle associated with the horizontal angle that is between the corresponding line and the line sighted from the point to the surrounding tree. This procedure, however, offers the possibility of reducing the difficulties encountered in the direct measurements of critical heights notwithstanding the above additional work.
著者
荒木 真之
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.143-149, 1969-06-25

1967年4月から11月にわたって, 3段階の大きさのカラマツ苗を相対照度が100%, 約72%, 約55%, 約33%, 約28%, 約17%の6個の庇陰格子下で育てた。苗の掘り取り調査は4月18日, 6月23日, 8月29日, 11月6日の4回行ない, 各個体の部分絶乾重と根元直径(d), 苗高(h)を求めた。各時期について, d^2hと部分重および個休全重との間の相対生長式を処理ごとに計算した。さらに各部分および全重の相対生長率を各期間について各処理ごとに求めた。これら相対生長率と各期間当初の全重との関係は直線式によくあてはまった。照度および時期が個体の生長におよぼす影響を, 個体の大きさに関連させて解析するため, 生育開始時の大きさをかえて, さきの相対生長式, および相対生長率と全重の関係式をつかって, 生長過程をモデル的に計算した。その結果, 個体重および部分重が最大となる明るさは時期が進むにつれ, 暗い方に移る。これには相対生長率が時期が進むにつれ急激におちること, また時期が進むにつれ, 相対生長率が最大となる明るさが, 暗い方へ移ること, 個体重が大きいほど相対生長率が小さいことなどが関係している。
著者
橋詰 隼人
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.365-372, 1968-12
被引用文献数
1

1)花粉母細胞は11月下旬に減数分裂を開始した。分裂は12月下旬〜1月上旬にオープン・スパイレーム期に達し, しばらく停滞するが, 翌年の2月上旬になると急速に進行し, 2月中旬〜下旬の前半に第一分裂中期像が観察された。四分子は2月下旬に形成された。減数分裂の期間は約100日で非常に長い。花粉母細胞の減数分裂は平均温度が10℃以下の低温の時期に行なわれる。2)花粉母細胞の減数分裂にはしばしば異常が認められた。すなわち, 遅滞染色体, 染色体橋, 隔膜形成の異常, 退行現象などが観察された。このような異常分裂の結果, 巨大花粉が形成された。巨大花粉には円形, 広卵形, ひょうたん形のものがあった。成熟巨大花粉では, 生殖核を1個有するものと2個有するものがみられた。前者は二倍性の花粉である。巨大花粉の平均直径は43.8μで, 正常花粉よりも約10μ大きい。巨大花粉の出現率は個体によりちがいがみられた。3)四分子から分離した未熟花粉は3月上旬に急速に生長して, 飛散の5〜7日前から細胞分裂をはじめた。成熟花粉では生殖細胞と花粉管細胞の二つが認められた。飛散開始期は3月8日〜15日であった。四分子形成から飛散までの所要日数は約15日であった。4)人工発芽試験の結果, 花粉の発芽は飛散の5〜7日前から認められた。発芽率は花粉の発育にともなって急速に増加し、飛散期に最高に達した。以上の結果から, 花粉の採取は飛散時に行なうのが最もよいように思われる。
著者
二宮 生夫 穗積 和夫
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.8-18, 1981-01-25
被引用文献数
4

名古屋大学構内に植栽された7〜11年生のアイグロマツ(1978年現在)の呼吸速度を1977年10月から1979年3月まで各月ごとに立木密閉法を用いて測定した。単木地上部呼吸速度の夜間の経時変化は夕刻に高く深夜にかけて徐々に低くたる傾向を示した。またその季節変化はほぼ外気温の変化と対応していたが, 8月に乾燥のためと思われる低下が見られた。温度係数(Q_<10>)の値は4月から10月の高温月で1.14〜1.79,11月から3月の低温月で4.27〜9.81であった。単木地上部呼吸量とその大きさとの間にべき乗関係が成立し, とくに地上部乾重との関係ではべき指数が約1となり両者は正比例関係にあると推定された。年間の群落地上部呼吸量は9.22t CO_2/ha yr, 5.66t dry matter/ha yrと推定された。以上のような結果をもとに, 方法論, 呼吸速度の夜間変化, 季節変化, 呼吸速度と現存量との関係, 林分地上部の年間呼吸消費量, 現存量, 現存量増分の相互関係が考察された。
著者
横井 秀一 山口 清
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.15-19, 2000-02-16
被引用文献数
5

積雪地帯では, スギ不成績造林地の発生による経済的な損失と林地の公益的機能の低下が問題となっている。そこで, 既存のスギ人工林の成林状況(成林度)に影響する立地環境を解析し, 造林限界の再検討を行った。調査は岐阜県飛騨地方の最深積雪1.0〜3.0mの地域で行い, 成林度と立地要因の関係は数量化I類を用いて解析した。成林度に最も強く影響した要因は最深積雪で, 積雪深が大きいほど成林度は低くなった。成林度の出現頻度分布を最深積雪深ごとに検討した結果, スギの造林は最深積雪1.5m未満で可能, 2.5m以上では困難であると考えられた。最深積雪1.5〜2.5mの地帯では, 最深積雪とともに斜面の傾斜と縦断面の形状が成林度に影響し, 急傾斜や凹地形の斜面で成林度が低かった。したがって, この地帯でのスギ造林では, このような地形を避ける必要があると考えられた。
著者
中井 裕一郎 坂本 知己 寺嶋 智巳 北村 兼三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.581-588, 1995-11-01
被引用文献数
2

常緑針葉樹林では森林樹冠層の冠雪量が多いことから,降雪期における遮断蒸発量が大きくなる可能性がある。これは水資源としての積雪水量の損失であり,このような降雪の遮断蒸発量を気候条件や森林状態によって評価することが森林管理上重要である。このため,降雪の遮断蒸発量を調べることを目的として,札幌市の密な21年生トドマツ林において冠雪量の収支に関する観測を行った。まず,冠雪重量の連続測定の結果,冠雪量の時間変化から蒸発量の日変化および冠雪量の冬期間を通じた変動特性が得られた。冠雪としての保水量は最大20mm以上になった。真冬日の連続する厳冬期は冠雪が長期間継続して維持されたが,より温暖な時期には降雪中と降雪直後をのぞいて冠雪の完全な消失がしばしばみられた。次に,森林内外の降水量の収支によって1〜2月の8〜14日間ごとの積算蒸発量を求めた結果,各期間の平均蒸発量は0.7〜2.3mm・d^<-1>の範囲にあった。
著者
酒井 昭 高樋 勇 渡辺 富夫
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.412-420, 1963-12-25

寒風害の原因を明らかにする目的で2年間にわたって, 支笏湖に面するアカエゾマツの植栽地で被害調査を行なうとともに, 現地および札幌で2,3の関連実験を行なった。1.寒風害のあらわれる時期は土壌の凍結開始時期, 凍結深度, 外気温, 風の強さ, 積雪量等によって異なるが, 害がもっとも進行するのは厳寒期である。2.アカエゾマツでは害は最初葉に現われ, 葉の色は濃緑色から黄緑色, ついで黄または黄褐色に変わる。葉の変化の度合がすすむにつれて落葉も著しくなる。苗の風のあたる側の枝の裏葉が最初に害を受ける。なお害の度合に対応して葉や枝の含有量が低下するが, 主幹, 根の含水量は著しい害を受けても正常なものとほとんど変らない。3.植栽地の被害調査の結果, 防風帯のない地区では大部分の苗木が枯れているが, 防風帯の風下の地区では害がほとんど認められない。また苗木が雪で埋まりやすい凹地では害が少なく突出部では害が著しい。4.葉や枝に流動パラフィンを塗布して水分の蒸散を抑えた苗では害が少なかった。以上の結果から寒風害は土壌凍結のため水分が地上部に補給されがたい状態にある苗が冬季間の風のために, 水をうばわれやすい葉, 頂芽, 側枝等が耐えうる限界を越えて脱水されるためにおこると考えられる。
著者
薄井 宏
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.332-342, 1958-08-25
被引用文献数
4

1. この報告は奥日光森林植生調査の第二報で男体山を除く全域についての調査をとりまとめた。2. 奥日光は夏雨型の太平洋型気候と冬雨型の日本海型気候とが共に支配する境界域であつて, その境界線はミヤコザサとチマキザサの分布境界と一致する。即ち刈込湖, 湯元, 小田代ガ原, 千手ガ原を結ぶ線である。3. ミヤマハンノキ=オノエガリヤス林は高山帯の崩壊地に発達する二次林で, そのススキ=スゲ型林床は男体山大薙崩壊地の二次林, ヤシヤブシ=トウヒレン群集と同一の植生類型を示す。4. ウラジロモミ林は奥日光においては, 噴出の比較的新しい男体山にのみみられる群落である。第三紀地質の山では, コメツガ林とブナ林とは直接に接続して, その中間にウラジロモミ林はみられない。これは第三紀地質の山では侵蝕作用がすすみ, 地形が急なためにツガ型森林が下降してブナ林と接続することによる。5. 太平洋側に発達するブナ林は, ブナ=スズタケ群集と呼ばれる如く, スズタケを林床にもつ場合が多い。しかし今回の調査によつて太平洋岸内陸部山地のブナ林では, ミヤコザサの勢力が圧倒的に強いことが明らかにされた。その原因は, 雪の少ない寒さのきびしい冬の気候がスズタケの生育地を局所的に積雪の多い山足地あるいは谷すじに限定し, 代つてミヤコザサがその半地中植物的な寒さに有利な形質をもつ故に, 殆んど全域にわたる程の広い分布領域を穫得できたからであろう。なぜならばミヤコザサはその上半部の稈節に芽を欠如しており, この形質が地上冬芽の生活形から半地中植物的な生活形への変化を表示するからである。6. 植生調査の結果は次の如き群集にまとめられる。高山帯 : 1. ハイマツ=コケモモ群集のダケカンバ亜群集 2. ミヤマハンノキ林 亜高山帯 : 3. コメツガ群集 A.アスナロ亜群集 4. ヒメコマツ=シヤクナゲ群集(新称) 5. ウラジロモミ林 山地帯 : 6. ブナ=スズタケ群集のミヤコザサ, フアシース 7. ハルニレ群集 8. オオバヤナギ林 9. カラマツ=シラカンバ林
著者
相浦 英春
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.73-79, 2005-02-01
被引用文献数
2

斜面積雪の安定に必要な林分の条件を, 斜面雪圧によって立木に根返りが発生しないとともに, 林内の積雪が安定していることとし, 各種の森林における積雪の移動量や, 立木に加わる斜面雪圧などの測定を行い, そのような条件を満たす立木密度についてスギとブナを対象に検討した。その結果, 斜面雪圧によって立木の根返りが起こらない限界の立木密度は, 最大積雪深と立木の根元直径によって樹種ごとに決定された。また, 林内の積雪を安定させるためには, 立木がほぼ均等に分布していることを前提として, 立木密度400本/ha以上が必要であった。したがって, 斜面積雪の安定に必要な立木密度は, これらの条件をともに満たす値として求めることができた。
著者
酒井 昭 斉藤 満
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.244-251, 1967-06-25

3〜4年生のスギを用いて幹の基部の凍害がおこるしくみを明らかにするために, 一連の実験を行ない, つぎの結果をえた。1)スギの幹の基部(3〜4年部位)はその上部にくらべて, 秋から冬にかけての耐凍性のたかまる進度がおくれるし, 冬の耐凍性の最高値もかなり低い。2)耐凍性がかなり高まった時期に10(日中)〜-5℃(夜間), 10(日中)〜-10℃(夜間)の温度変化を11日間与えても, また10℃で約10日間連続処理しても耐凍性はほとんど低下しなかった。しかし, 20(日中)〜-5℃(夜間)の温度変化や約13℃以高の温度で約10日間処理したときには耐凍性はかなり低下したが, まだ-12℃以高の温度での凍結には耐えることができた。以上の事実から耐凍性がかなり高まった厳冬期にはかなり大きり日週温度変化があっても耐凍性は低下しにくい。しかしまだほとんど凍結に耐えないか, 耐凍性が低い12月初旬や中旬に零下数度の冷え込みがあるときには, 幹のうちでもっとも耐凍性が低く, しかも温度が下がりやすい地際近くの幹が凍害を受けやすい。