著者
高木 正見 緒方 健
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.199-201, 1985-10-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

Saula japonica is a native predator of Unaspis yanonensis in Japan. The seasonal prevalence and spatial distribution of S. japonica on citrus trees were examined in 1984 in an orchard where Coccobius fulvus, an introduced parasitoid of U. yanonensis had been released. The seasonal prevalence of both larvae and adults showed two peaks. The peaks of larvae were well synchronized with those of U. yanonensis, but those of the adults were not synchronized. Abundance of both larvae and adults did not vary with the part of the tree. More larvae and adults were, however, found on the undersurface of leaves as compared with the uppersurface.
著者
兼島 盛吉 山内 昌治 黒住 耐二
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.110-112, 1987-10-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
1
被引用文献数
3 3

スクミリンゴガイ(Pomacen canaliculata)の稚貝を10℃,15℃,20℃,25℃,30℃,35℃の温度条件で集団及び個体飼育を行ない以下の結果を得た。1. 個体飼育した場合には,35℃で39日間飼育しても死亡貝は認められなかったが,集団で飼育すると33日目の生存率は,26%に低下した。これは,温度による影響ばかりでなく,共喰や本種の代謝による水質の悪化も影響していると考えられた。2. 15℃~30℃の温度範囲における発育速度は飼育温度が高くなるにつれ高くなる傾向を示したが,35℃になると逆に発育速度は低くなった。その結果,発育適温は25~30℃と考えられた。3. 稚貝の発育速度と温度との関係は直線的であることが確認されたので,ふ化直後の貝の体重の2倍および4倍になると推定される日を基準として,発育限界温度を推定したところ,2倍を基準とすると10.6℃,4倍にすると10,1℃となり,10℃で飼育した貝には発育がほとんど認められなかったことと考え合わせると,本種の発育限界温度は10℃前後と考えられた。
著者
徳田 誠 湯川 淳一
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.77-81, 2004-11-10 (Released:2009-05-22)
参考文献数
15
被引用文献数
3 5

日本各地の土耕栽培施設バラにおいて,ハオレ状のゴールを形成するタマバエ科害虫(以下,バラハオレタマバエ)が発生した。本種が土着種か侵入種かを検討するため,終齢幼虫の標本を用いて属の同定を行ったところ,Contarinia属の一種であると判明した。したがって,欧米において栽培バラにハオレ状のゴールを形成する害虫として,古くから知られているRose leaf midge,Dasineura rosae(Bremi)とは,上族レベルで異なる別種であると判明した。また,米国においてバラのハオレ状ゴールから採集されているContarinia sp.とも形態的に異なっており,別種であると判断された。国内で,バラ属植物にハオレ状ゴールを形成するノイバラハオレタマバエ,ハマナスハオレタマバエは,いずれもDasineura属の一種であると同定された。したがって,本研究においては,バラハオレタマバエが侵入種であるか土着種であるかは解明できなかった。本種のより詳細な同定を行うためには,今後,本種が多食性であるという可能性も視野に入れ,国内でバラ属以外の植物を寄主としているContarinia属との比較を行う必要がある。また,外国産の種も含めたContarinia属のより包括的な分類学的研究が必要である。さらに,バラハオレタマバエに対する防除手段を検討するため,本種の発生生態および分布拡大経路に関しても研究を行う必要がある。
著者
福永 求 西岡 稔彦 田中 章
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.37-41, 2002-11-20 (Released:2009-05-22)
参考文献数
3

1.鹿児島県東串良町の柏原海岸において,1994年頃から発生しているキバナハウチワマメ栽培地の裸地化の原因を調査した。2.裸地化の一要因として,海岸の松林に生息するウサギおよびカラスの食害が明らかになった。特に,ウサギの影響は大きいと考えられた。3.一方,食害が認められないにも関わらず,発芽後~本葉が数枚展開する頃に生育不良となり,地際茎部が褐変して枯死し,裸地化する場合があることも判明した。4.栽培土壌のpH,EC,NH4-N,NO3-Nおよび線虫相を調査した結果,異常値は認められなかったことから,塩害ならびに土壌線虫は裸地化の要因ではないと考えられた。5.クロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒および各種殺菌剤の灌注処理でも,裸地化を抑制できなかった。6.キバナハウチワマメの栽培管理と生育良否の関係を調査した結果,土作りを含めた栽培管理の不備が,裸地化の一要因であることが考えられた。
著者
今村 幸久 黒木 尚 野崎 克弘 白木 己歳 上米良 壽誕
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.32-37, 2011 (Released:2012-03-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

焼酎粕加工液の土壌病害抑止効果について,メロンつる割病等の Fusarium 病に絞って,主に土の生物的視点からメカニズム解明のためのポット試験を行った。その結果,抑止効果には焼酎粕加工液の成分の病原菌に対する直接的な影響ではなく,土の中に存在する微生物の関与が推測された。加工液を潅注処理すると土壌の微生物活性が高まるが,微生物活性値と土壌の生菌数および発病抑止効果にはある程度の関連性があることが示唆された。以上の結果から抑止効果のメカニズムの一つは,処理した焼酎粕加工液を増殖源として,ほ場に元々生息する土壌微生物が増殖し,病原菌との競合およびその他の総合的な作用が働くことにより,発病が抑えられると推察された。
著者
田中 章 嶋田 治一 永島田 義則
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.122-124, 1978-10-10 (Released:2009-05-22)
参考文献数
1

鹿児島県奄美群島の喜界島において,1974年侵入時から1977年の間のウリミバエ雄成虫の誘殺トラップによる個体数変動と生息環境の違いを調査した。1.個体数変動調査では,誘殺数は侵入以来増加の傾向にあり,1977年は50トラップ当り10,000頭以上であった。季節的には一般に秋期に多く,冬期に少なかった。現在の喜界島の高密度は野生寄主オキナワスズメウリに依存しているものと考えられる。2.生息環境調査は,環境を5つに分けて誘殺数を比較した結果,部落内は少なく,孤立した林では多く,その差は26倍であった。このことから,本種の密度推定や抑圧防除を行う上に注意を要することと思われる。
著者
安田 慶次 金城 常雄
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.89-91, 1983-10-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
2

Weekly census of nymphs and adults of Leptogrossus australis was conducted over 2 years, from April 1981 to April 1983, in 5 plots grown with a wild host, Diplocyclos palmatus, in a southern locality of Okinawa Is. where the insects were collected. No insects were collected during the period from February to April, but through May to December both nymphs and adult bugs could be recovered. Two peaks of nymphal incidence were recorded in May to June and in October to November, respectively. A long interval with a lower density of nymphs lasted for about 4 months between the two peaks, presumably due to the marked decrease in the number of fruits associated with the drought in the hot summer. The typhoon that struck the area in the early and middle part of fall exerted an effect similar to that of the summer drought resulting in the disappearance of the later (second) peak of nymphal incidence as observed in 1981. Based on the total number of effective day-degrees estimated from the incubation experiments, the period during which the insects could not attack the wild host was approximately 1.8 times longer than that required for the completion of the egg and nymphal stages. This finding suggests that the migration of the adult bugs from the unsuitable wild hosts to cultivated hosts such as bitter cucumber and cucumber is likely to occur and that at least one generation. develops on the cultivated hosts between the two generation peaks on the wild host.
著者
玉嶋 勝範 加藤 徳弘 吉松 英明 小野 元治 岡本 潤 宮崎 英一郎 岡崎 真一郎
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.156-161, 2009 (Released:2010-03-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

イチョウの害虫であるイチョウヒゲビロウドカミキリについて,イチョウの被害地域調査,成虫の発生調査法,果樹類で登録のある Beauveria brongniartii 剤の本虫に対する効果的な使用方法を検討した。大分県の本種によるイチョウの被害地域調査で,1991年報告の28市町村から新たに21市町村(旧市町村)を確認した。成虫は日中枯れた枝葉で静止していることが判明したことから,簡易な成虫の発生調査法として枯れ枝葉トラップを考案した。B. brongniartii 剤上に本種の成虫を 1回歩行させた後,20℃で飼育した結果,接種8~14日後に高率に感染・死亡することが判明した。ギンナン園において B. brongniartii 剤をイチョウのすべての主幹部(地上0.5~1.5m)に設置することによって,殺虫効果が認められた。