著者
澤畠 拓夫 瀬口 翔太 黒住 耐二
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = MEMOIRS OF THE FACULTY OF AGRICULTURE OF KINDAI UNIVERSITY (ISSN:21896267)
巻号頁・発行日
no.51, pp.70-74, 2018-03-31

[Synopsis]An exotic terrestrial slug, Limax flavus had been found from Nara park. Their main habitat was an old rock wall and its surrounding in Nara Park. The Limax flavus individuals were living with the other slug species, Meghimatium bilineatum on the same rock wall, but Ambigolimax valentinus was seldom observed in the habitat of Limax flavus.
著者
山崎 真治 藤田 祐樹 片桐 千亜紀 黒住 耐二 海部 陽介
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.9-27, 2014
被引用文献数
2

2012~2013年に沖縄県南城市サキタリ洞遺跡調査区IのII層(約16400~19300 BP[未較正])を発掘し,人骨2点(臼歯1点と舟状骨1点)とともに39点の断片化した海産貝類を検出した。先に報告したI層出土のものと合わせ,計47点にのぼる海産貝類は,人為的に遺跡近辺に運搬され,埋没したものと考えられる。II層由来のマルスダレガイ科(マツヤマワスレ[<i>Callista </i><i>chinensis</i>]・ハマグリ類[<i>Meretrix</i> sp. cf. <i>lusoria</i>]),クジャクガイ[<i>Septifer bilocularis</i>],ツノガイ類["<i>Dentalium</i>" spp.]について組成や形状,割れ方について記載するとともに,微細な線条痕および摩滅・光沢を観察したところ,マルスダレガイ科の破片には定型性が認められ,二次加工と考えられる小剥離痕が高い頻度で見られた。また,特定の部位に使用痕や加工痕と推定できる摩滅・光沢や線条痕が観察できることから,少なくともその一部は利器として使用されたと考えられる。また,クジャクガイの一部にも,使用痕と見られる線条痕や損耗が観察できた。ツノガイ類は,産状から装飾品(ビーズ)として用いられた可能性が高く,その一部には人為的な線条痕が観察できた。以上のことから,II層出土の海産貝類の少なくとも一部は,利器・装飾品を含む道具(貝器)として使用されたものと考えられる。II層出土の人骨と合わせて,こうした貝器の存在は,サキタリ洞での人類の活動痕跡が,少なくとも16400~19300 BP にまで遡ることを示している。
著者
黒住 耐二
出版者
千葉県立中央博物館
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

弥生から古代の真珠採集遺跡の発見のために、文献・資料・現地調査を行 った。その結果、福岡県糸島市の弥生~古墳の天神山貝塚でのみ、真珠貝の一種、アコヤガイの複 数出土を確認し、この遺跡が真珠採集遺跡である可能性を認めた。また、同時期の沖縄諸島では複 数の遺跡が真珠採集遺跡であると考えた。中国広西チワン族自治区の珍珠城とスリランカのマナール で、これまで明らかになっていなかった真珠採集遺跡の状況を確認した。
著者
兼島 盛吉 山内 昌治 黒住 耐二
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.110-112, 1987-10-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
1
被引用文献数
3 3

スクミリンゴガイ(Pomacen canaliculata)の稚貝を10℃,15℃,20℃,25℃,30℃,35℃の温度条件で集団及び個体飼育を行ない以下の結果を得た。1. 個体飼育した場合には,35℃で39日間飼育しても死亡貝は認められなかったが,集団で飼育すると33日目の生存率は,26%に低下した。これは,温度による影響ばかりでなく,共喰や本種の代謝による水質の悪化も影響していると考えられた。2. 15℃~30℃の温度範囲における発育速度は飼育温度が高くなるにつれ高くなる傾向を示したが,35℃になると逆に発育速度は低くなった。その結果,発育適温は25~30℃と考えられた。3. 稚貝の発育速度と温度との関係は直線的であることが確認されたので,ふ化直後の貝の体重の2倍および4倍になると推定される日を基準として,発育限界温度を推定したところ,2倍を基準とすると10.6℃,4倍にすると10,1℃となり,10℃で飼育した貝には発育がほとんど認められなかったことと考え合わせると,本種の発育限界温度は10℃前後と考えられた。
著者
黒住 耐二
出版者
日本貝類学会
雑誌
ちりぼたん (ISSN:05779316)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.67-70, 1990-12-31
著者
山崎 真治 藤田 祐樹 片桐 千亜紀 黒住 耐二 海部 陽介
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.9-27, 2014 (Released:2014-06-24)
参考文献数
8
被引用文献数
2

2012~2013年に沖縄県南城市サキタリ洞遺跡調査区IのII層(約16400~19300 BP[未較正])を発掘し,人骨2点(臼歯1点と舟状骨1点)とともに39点の断片化した海産貝類を検出した。先に報告したI層出土のものと合わせ,計47点にのぼる海産貝類は,人為的に遺跡近辺に運搬され,埋没したものと考えられる。II層由来のマルスダレガイ科(マツヤマワスレ[Callista chinensis]・ハマグリ類[Meretrix sp. cf. lusoria]),クジャクガイ[Septifer bilocularis],ツノガイ類[“Dentalium” spp.]について組成や形状,割れ方について記載するとともに,微細な線条痕および摩滅・光沢を観察したところ,マルスダレガイ科の破片には定型性が認められ,二次加工と考えられる小剥離痕が高い頻度で見られた。また,特定の部位に使用痕や加工痕と推定できる摩滅・光沢や線条痕が観察できることから,少なくともその一部は利器として使用されたと考えられる。また,クジャクガイの一部にも,使用痕と見られる線条痕や損耗が観察できた。ツノガイ類は,産状から装飾品(ビーズ)として用いられた可能性が高く,その一部には人為的な線条痕が観察できた。以上のことから,II層出土の海産貝類の少なくとも一部は,利器・装飾品を含む道具(貝器)として使用されたものと考えられる。II層出土の人骨と合わせて,こうした貝器の存在は,サキタリ洞での人類の活動痕跡が,少なくとも16400~19300 BP にまで遡ることを示している。
著者
木下 尚子 黒住 耐二 新里 貴之 高宮 広土 中村 直子 安座間 充 石丸 恵利子 鐘ヶ江 賢二 神谷 厚昭 川口 陽子 岸本 義彦 新里 亮人 樋泉 岳二 中村 友昭 松田 順一郎 宮城 弘樹 盛本 勲 山崎 純男 山野 ケン陽次郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は伊江島ナガラ原東貝塚の8回の発掘調査をもとに、沖縄貝塚時代中頃の変化を伊江島において明らかにした。すなわち、遺跡の時期が5世紀から7世紀であること、この時期の沖縄諸島の土器は伝統的な形状を大きく変化させるがその変化は内在的なものであると同時に南九州や奄美地域の影響によって生じたこと、遺跡が南九州や種子島と貝殻を交易するために断続的に使われたキャンプ地であった可能性の高いことを明らかにした。
著者
新里 貴之 中村 直子 竹中 正巳 高宮 広土 篠田 謙一 米田 穣 黒住 耐二 樋泉 岳二 宮島 宏 田村 朋美 庄田 慎矢 加藤 久佳 藤木 利之 角南 聡一郎 槇林 啓介 竹森 友子 小畑 弘己 中村 友昭 山野 ケン陽次郎 新田 栄治 寒川 朋枝 大屋 匡史 三辻 利一 大西 智和 鐘ヶ江 賢二 上村 俊雄 堂込 秀人 新東 晃一 池畑 耕一 横手 浩二郎 西園 勝彦 中山 清美 町 健次郎 鼎 丈太郎 榊原 えりこ 四本 延弘 伊藤 勝徳 新里 亮人 内山 五織 元田 順子 具志堅 亮 相美 伊久雄 鎌田 浩平 上原 静 三澤 佑太 折田 智美 土肥 直美 池田 榮史 後藤 雅彦 宮城 光平 岸本 義彦 片桐 千亜紀 山本 正昭 徳嶺 理江 小橋川 剛 福原 りお 名嘉 政修 中村 愿 西銘 章 島袋 綾野 安座間 充 宮城 弘樹 黒沢 健明 登 真知子 宮城 幸也 藤田 祐樹 山崎 真治
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

徳之島トマチン遺跡の発掘調査をもとに、南西諸島の先史時代葬墓制の精査・解明を行なった。その結果、サンゴ石灰岩を棺材として用い、仰臥伸展葬で埋葬し、同一墓坑内に重層的に埋葬することや、装身具や葬具にサンゴ礁環境で得られる貝製品を多用することが特徴と結論づけた。ただし、これは島という閉ざされた環境ではなく、遠隔地交易を通した情報の流れに連動して、葬墓制情報がアレンジされつつ営まれていると理解される。