著者
猪子 誠人 稲垣 昌樹
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.524-533, 2013-08-01 (Released:2014-08-01)
参考文献数
46
被引用文献数
1

一次線毛(primary cilia)は細胞膜上に生じる小さな不動性の突起物である.しかし一次線毛には細胞増殖を休止させる作用があり,増殖中はつとめてその組立が抑えられていることが培養細胞実験からわかってきた.この新たな仕組みの一つが,われわれの報告したトリコプレイン・オーロラAキナーゼ経路である.さらに一次線毛は,細胞種によっては多彩な機能をもつ.本稿では,一次線毛による新たな細胞増殖制御機構に重点を置きつつ,これまでの関連事項についても概説する.
著者
宮城 妙子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.76-82, 2014-02-01 (Released:2015-02-01)
参考文献数
25

シアリダーゼは糖タンパク質や糖脂質糖鎖から酸性糖であるシアル酸残基を遊離するExo-型糖分解酵素で,糖鎖分子のコンホメーションや認識機構などを変化させ,多くの細胞機能にかかわっている.哺乳動物細胞には,遺伝子構造,細胞内局在や酵素学的性状が相違する4種が存在するが,これらはがん化で互いに異なった挙動を取り,発現異常を示すことがわかってきた.本稿では,シアリダーゼ異常によってもたらされるがんの糖鎖シアル酸制御の破綻とその意義について,筆者らの研究成果を中心に,この変化ががんの発がん過程や進展にいかに深くかかわっているかを紹介したい.

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出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.656-659, 2001-10-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1
著者
上野山 怜子 西川 俊夫 宮崎 雅雄
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.435-440, 2021-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
20

蚊は,人類の大敵である.蚊に吸血されると,かゆみが生じるだけでなく,生命を脅かすさまざまな伝染病,たとえば熱帯地域では,マラリアなどに感染する恐れもある.そこで人類は古くから植物からの抽出物を使って蚊を化学防御してきた.このような生存戦略をとった動物は,人類だけではない.たとえばオマキザルやハナジロハナグマなどの動物は柑橘類の果実の皮を身体に擦り付け,その忌避効果を利用していることが知られている(1).つまりヒト以外の動物も進化の過程で病原体を媒介する蚊から身を守る化学防御術を身に着けてきたようである.本稿では,ネコでよく知られたマタタビ反応も実は蚊の攻撃から身を守る重要な行動であるという予想外の知見が得られたので(2),この発見に至った経緯を紹介する.
著者
浜村 保次
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.7, pp.364-370, 1963-12-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
39
被引用文献数
3 4
著者
亀田 佳代子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.245-251, 2001-04-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
26
被引用文献数
5 3