著者
鈴木 彬
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, 2003-01-01

この基調発表は,日本数学教育学会の研究活動の1つとして,本学会の前年度までの全国大会での研究発表や協議内容を中心にして,数学教育研究の基調となる課題や指針について研究部中学校部会で考察検討したものです.項目・内容は,各分科会の研究発表・協議の課題を明確にするという立場で,1. 本分科会の位置(性格) 2. これまでの研究経過 3. 問題点と今後の課題として述べてあります.大会の分科会構成はその都度便宜的に区分けするもので,この基調発表の領域とは必ずしも一致していない場合もあり,研究の内容等はいくつかの領域に関連共通したり重複したりしているものもあります.新学習指導要領での教育課程がはじまり,各学校現場で創意工夫と自主的で意欲的な実践活動が一層期待されます.特に,「数学的活動を楽しむ.」という目標を踏まえて,これまで以上に生徒が自ら学び,自ら考える力を育てることが期待されています.さらに,21世紀に向って,これまでの数学教育をどう改善していけばよいか,問題提起や提案が活発になり,一層研究が深まることが期待されます.新学習指導要領の特徴は,授業内容,授業時数の削減,総合的な学習の時間や選択教科の時間の設置,絶対評価の導入など承知のことですが,さらに,学習指導要領の枠組の基準は最低とされ,選択の内容を現場に委ね,内容の上限撤廃なども挙げられ,新しい教育改革が進んでいます.そして,選択の内容が現場に委ねられたということから,選択でどのような数学の内容を取り扱うのがより効果的であるかの研究も大いに期待されます.評価については,絶対評価の実施により評価規準をどう作っていくか.毎日直面することに対しての評価規準の研究も,より一層取り組んでいくことが期待されます.国際交流も年々盛んになる昨今,数学の学力や学び方など数学教育について国際的視野に立った研究も望まれます.本学会が,日本の数学教育研究の根幹をなす学会であり,研究大会はその成果や進むべき方向を確認し,数学教育の在り方を追求していくものです.この基調発表は,学会誌「数学教育」(原則として毎年毎卷の第1号)と全国大会総会特集号に掲載します.日頃の研究活動や全国大会の分科会で,ここに示した当面する課題を十分に念頭に入れて,先行研究や研究の積み上げに留意して,広くかつ継続的な視点を失わないよう実践的な追求をしていくように期待するものです.
著者
松村 宗治
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.544, pp.172-175,359, 1932
被引用文献数
1

頭部頭状、帽状或ハ鞍状ヲ呈シ有柄ニシテ、唇状ニ開ロスル子嚢ヲ有スル子實體ニ限定セラレタル昇龍菌科所屬トシテ從來約12屬ノ發表ヲ見タリ。内4屬、のぼりりよう屬 (<I>Helvella</I>), あみがさたけ屬 (<I>Morchella</I>), すきんかぶり屬 (<I>Verpa</I>) 及ビしやぐまあみがさたけ屬 (<I>Gyromitra</I>) ハ廣ク且ツー般ニ使用セラレツ、アル處ナリ。著者ハ本科ノ本邦産菌類ヲ研究スルニ際シ、各種類ノ性質ト既設屬ノ特性トヲ考慮シテ最良ナリト思考スル分類様式ヲ得タルヲ以テ本文ニハ其様式ト併セテ本邦産種類トヲ報告セリ。<BR>昇龍菌科ヲ子實層ガ帽部表面全汎ヲ被ヘル昇龍菌亞科 (Helvelleae) ト子實層ガ子嚢ナキ褶縁ニヨリテ多數ノ小室ニ分タレタル網笠菌亞科 (Morchelleae) トニ分テリ。<BR>昇龍菌亞科ハ胞子橢圓形或ハ紡錘形、平滑ニシ頭状鞍状、洋傘状或ハ不正球形ヲ呈スル昇龍菌屬(<I>Herpa</I>)、胞子楕圓形或ハ紡錘形平滑ニシテ頭部帽状ヲ呈スル頭巾被屬(<I>Verpa</I>)、胞子平滑球形ナルまるみのぼりりよう屬 (<I>Helvellella</I>) 及ビ胞子頂尖状紡錘形、大形ニシテ熟後膜ニ彫刻ヲ生ズルおほしやぐまたけ屬 (<I>Neogyromitra</I>) トニ分テリ<BR>昇龍菌屬中莖部及ビ頭部裏面ニ絨毛アリ其胞子ガ紡錘形ニシテ大一個、小二個ノ油胞アルモノヲ毛昇龍菌亞屬 (<I>Villihelvella</I>) トナシ本邦産ニー種、長柄毛昇龍 (<I>H. ephippioides</I> IMAI) アリ、本種ハ毛昇龍 (<I>H. Eoguoouym</I>) ニ比シ胞子長大ナル点ニ於テ異り長柄茶椀茸 (<I>Macropodia Macropus</I>) ニ對シテ頭部鞍状ヲ呈スル點ニ於テ區別サル。昇龍菌屬中體ニ絨毛ナク、胞子ハ稍紡錘形ニシテ小油胞ニ個ヲ有スルモノヲ波帽昇龍菌亞屬 (Gyrornitra) トナシ更ニ共莖ノ性質ニヨリテ平滑莖區ト有溝莖區トニ分チ前者中ニ本邦産鳶色昇龍或ハしやぐまあみがさたけ (<I>Helvella esculenta</I>)、後者ニ大笠昇龍 (<I>H. discinoides</I>) アリ、鳶色昇龍ニ關シテハ鳶色昇龍 (<I>H. infula</I>) トしやぐまあみがさたけ (<I>H. esculenta</I>) トノ異同ニ尚論議アルベキモ著者ハ同一種ト認ムルコトニ賛スルモノナリ。大笠昇龍ハ短大ナル子實體ニシテ其莖部ハ著シキ深溝ヲ呈スル點ニ於テ明カニ認識サル。昇龍菌區中體ニ絨毛ナク胞子ハ橢圓形ニシテ大油胞、一個ヲ有スルモノヲ眞正昇龍菌亞屬 (<I>Euhelvella</I>) トナシ、本亞屬ヲ更ニ莖ノ性質ニヨリテ不滑莖區ト有溝莖區ニ分チ前區ニ脚細昇龍 (<I>H. elastica</I>) アリ。本種ノ色彩ハ白色ヨリ暗灰色ニ至ル多様ヲ表ハス、有溝莖區ニアリテハ體ノ暗色ヲ呈スル黒昇龍 (<I>H. lacunosa</I>) ト白色又ハ淡黄色ナル昇龍 (<I>H. crispa</I>)アリ、共ニ本邦各地ニ産スルモノ、如シ。<BR>頭巾被屬ニアリテハ子嚢内ニ通常八個ノ胞子ヲ有スル眞正頭巾被亞屬 (<I>Euverpa</I>) ト子嚢内ニ通常ニ個或ハ四個ノ大形胞子ヲ藏スル大頭巾被亞屬トニ分チ、前亞屬ニハ頭巾被 (<I>V. digitaliformis</I>) 後者ニ大頭巾被 (<I>V. bohemica</I>) アリ、前種ハ其頭部表面殆ンド平滑ナルニ、後者ハ縦ノ皺襞アリ且ツ大形ナルヲ以テ肉眼的ニモ容易ニ區別サル。<BR>まるみのぼりりよう屬 (<I>Helvellella</I>) ハ共タト形稍昇龍菌屬中波帽昇龍菌亞屬ノ有溝莖區ノ種類ニ類似スレ共共胞子ノ球形且ツ小形ナル點ニ於テ區別サル、本邦ニハまるみのぼりりよう (<I>H. sphaerospora</I>) アリ。<BR>おほしやぐまたけ屬 (<I>Neogyromitra</I>) モ亦其外形波帽昇龍亞屬ノ平滑莖區ノ種類ニ稍類似スレ共其胞子ハ大形ナル紡錘形ニシテ其表面に彫刻アルヲ以テ區別サル、本邦産ハおほしやぐまたけ (<I>Neogyr. cmliniana</I>)ナリ<BR>網笠茸亞科ハ唯一屬網笠茸屬アリ。本屬ヲ頭部ト莖部トノ關係ニヨリテ僧帽歌區(Mitrophorae)、離生區(Distantes)及ビ着生區(Adnatae)トニ分チ、本邦産種類トシテ僧帽状區ニ小網笠茸(<I>M. semilibera</I>)アリ、本種ハ頭部ノ下面ガ其約半分迄灣入シテ莖ト連絡スル點に於テ區別サル。離生區ハ莖ノ頂部少シク外方に擴張シテ頭部ト連絡スルモノニシテ小尖網笠茸(<I>M. angusticeps</I>)、尖網笠茸(<I>M. conmca</I>)脚細網笠茸(<I>M. deliciosa</I>)アリ、第一ノ種類ハ頭部ノ直徑莖ノ太サト殆ンド同大ニシテ然カモ頭部圓錐形ヲナスモノニシテ、第ニノ種類ハ頭部ガ3-4糎以上ノ長サヲ有シ、第三ノ菌ハ2-3糎以下ノモノナリ。直生區ハ頭部ガ莖部に直チニ連絡スルモノニシテ本邦産トシテハ第一ニ通常頭部ガ莖部ヨリ長キ網笠茸(<I>M. esculenta</I>)莖部ガ頭部ヨリ長大ニシテ然カモ下方に漸細スル視棒網笠茸(<I>M. Miyabeana</I>)、莖部長大ニシテ其基部膨大シ頭部圓錐形ナル脚太網笠茸(<I>M. cmssipes</I>)及ビ頭部球形ナル大網笠茸(<I>M. Smithiana</I>)アリ。
著者
礒田 正美 野村 剛 柳橋 輝広 岸本 忠之
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.2-12, 1997-01-01
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究は,数学的コミニュケーション力育成という今日的教育目標に対して,一斉指導の場面で二人教師が対立意見を闘わす討論を常設したティームティーチングの新たな方法を導入することで,生徒がいかに二人教師の討論に関係を持ち,授業への参画の仕方を変化させていったかを1年にわたり記録し,分析したものである.,生徒は,教師の討論に耳を傾けることにはじまり,自然に討論に口を挟むようになり,やがて,自由に意見を言うようになった.,そして,生徒が自ら教師の討論を代弁し,さらには生徒どうしが自ら討論を起こすようになっていった.,その分析から,教師が討論の見本を示せば,生徒も漸次討論に加わるようになり,やがて自ら討論できるようになること,自ら討論に加わることにこそ価値を認めた数学の授業観が生徒に育つことが確認された.,そして,適切な見本を示し,生徒の討論への参画の仕方が漸次進化するように年間指導計画を構成し,日々の学習指導を工夫すればすれば,討論は指導可能であることが示唆された.,
著者
片桐重男
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
数学教育学論究
巻号頁・発行日
pp.21-36, 1961
被引用文献数
1
著者
田端 輝彦
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.22-29, 2002-08-01
参考文献数
13
被引用文献数
4
著者
山口 雄仁 川根 深 澤崎 陽彦
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.239-247, 1996-09-01
参考文献数
5
被引用文献数
11