著者
角田 幸太郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.54, pp.137-148, 2013-02

人的資源のマネジメントがより重要性をもつ日英プロサッカークラブを研究対象として、人的資源としての選手やチームスタッフに関する価値評価の現状についてインタビュー調査を実施した。また、価値評価情報の一種として公表されている報酬額(会計上の人件費)が、クラブの営業収入や営業利益、チームの順位や勝ち点などの財務的・非財務的な組織業績とどのような関係を有しているのか、実証的検証を行なった。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.56, pp.53-63, 2015-02

慶長3年8月の豊臣秀吉の死去以降、五大老(徳川家康・前田利家〔利家死去後は前田利長〕・毛利輝元・宇喜多秀家・上杉景勝)・五奉行(石田三成・前田玄以・増田長盛・長束正家・浅野長政)の集団指導体制によって政権運営がおこなわれたことは周知である。これまでの研究史では、五大老・五奉行について日本側史料をもとに考察されてきたが、本稿では『十六・七世紀イエズス会日本報告集』における五大老・五奉行に関する記載を検討することにより、新しい視点を提示しようと試みるものである。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学大学院紀要 = Bulletin of Beppu University Graduate School (ISSN:13450530)
巻号頁・発行日
no.17, pp.17-28, 2015-03

これまで関ヶ原の戦いに至る政治状況と関ヶ原の戦い当日の実戦の状況については、日本国内の史料(日本側の史料)により検討されてきたが、イエズス会宣教師が当該期の日本国内の政治状況などを報じた『十六・七世紀イエズス会日本報告集』には、関ヶ原の戦いに至る政治状況と関ヶ原の戦い当日の実戦の状況などが詳しく記されているので、本稿では『十六・七世紀イエズス会日本報告集』の記載内容の検討をもとに、関ヶ原の戦いに至る政治状況と関ヶ原の戦い当日の実戦の状況について考察する。
著者
林 眞帆
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.52, pp.55-65, 2011-02

ソーシャルワークにおいては,クライエントの「主体性」ということが常に重要視されてきた.主体性の形成は,一方ではパターナリズムからの脱却,他方では近代的市民としての自立・自律に向けて意味をもったものである.しかし,臨床場面ではクライエントの「主体性」を保障できにくい条件が多く,クライエントの「主体性」に価値を置く理論と実践との乖離や葛藤が生じている状況がある.本稿は,ソーシャルワークにおける「主体性」概念をソーシャルワーカーの実践の中で検討することを通して,「主体性」を単に「個の尊重」として捉える従来の考え方を再吟味し,個人が社会的存在であるという点に着目して「主体性」概念の再構築を図ろうとするものである.
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.57, pp.113-123, 2016-02

関ヶ原の戦いに関する諸史料を検討する場合、関ヶ原の戦いに関係した部将が発給した書状などの一次史料(同時代史料)の内容検討が重要であるが、それと同時に、当時、在京していた公家・僧侶などの日記における関ヶ原の戦い関係の記載について検討することも重要である。よって、本稿ではこうした視点から慶長5年3月から同年12月までの公家・僧侶などの日記における関ヶ原の戦い関係等の記載を筆者(白峰)が現代語訳して時系列データベースとしてまとめ、それを見ていくうえでポイントとなる箇所について、若干の説明を小論として加えた。
著者
段上 達雄
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.54, pp.21-37, 2013-02

佐伯市米水津宮野浦や色利浦に伝わる盆の傘鉾は物故者の遺品を吊り下げたりするが、地元では傘鉾に故人の霊を憑依させるためと考えられている。同様なものは、三重県志摩地元や高知県宿毛市沖の島にも見られ、志摩の漁民による伝播の可能性が考えられる。
著者
矢島 潤平 長谷 真 岩永 弘 甲斐 みゆき 志賀 二郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学大学院紀要 = Bulletin of Beppu University Graduate School (ISSN:13450530)
巻号頁・発行日
no.16, pp.81-88, 2014-03

研究ノートコーヒー作業成績内田クレペリン検査主観的ストレス反応本研究では,コーヒー摂取によって,作業成績の向上やストレス反応の軽減効果が認められるかについて検証した。大学生を対象として,コーヒー摂取後に急性ストレス(クレペリン検査)を負荷した際の心理学的ストレス反応と作業量を検証した。対照群に比べコーヒー摂取群は,作業量が多くエネルギー覚醒の低下を抑制した。ストレス課題によって引き起こされるポジティブな気分の低下をコーヒー摂取することで抑制する可能性と作業成績が向上する可能性を示唆している。
著者
段上 達雄
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学大学院紀要 = Bulletin of Beppu University Graduate School (ISSN:13450530)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-19, 2013-03

祭礼の神幸行列で用いられる錦蓋の中には、垂下式で周囲の幕の丈が長いものがある。京都下鴨神社の御蔭祭における神霊を載せた神馬を覆う錦蓋が始まりと考えられ、それ自身が神輿と同様の役割を持ち、大嘗祭の菅蓋に祖型を求めることができる。この垂下式の錦蓋は各地に伝播するが、近世に伝えられた福岡県直方市の多賀神社のもの以外は神輿に随伴する威儀具となっており、その多くは近代になって導入されたものと考えられる。
著者
角田 幸太郎
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.179-188, 2014-02

著者の名字の角は中のたて棒が突き抜ける人的資源会計、無形資産会計、intangible、イングランドプレミアリーグ、移籍金1990年代以降の英国において、人的資源に関わって支出した金額を実務上、資産計上している稀有な事例がある。英国プロサッカークラブでは、他のクラブから選手を引き抜く際に支出した金額を無形固定資産として貸借対照表に計上しているのである。この事例については複数の文献で紹介されているが、その経緯は明らかではない。そこで本稿では、先行研究や当時の実務を検証することを通じて、起源や目的を明らかとすることを目的とする。
著者
中野 明德
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学大学院紀要 = Bulletin of Beppu University Graduate School (ISSN:13450530)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-61, 2019-03

D・W・ウィニコットは小児科医と精神分析医の2つの立場を堅持した臨床家である。彼は子どもと母親とを一つの単位として捉え、幼児期早期の「依存」を情緒発達理論の中心に据え、精神障害は幼児期の「環境の失敗」に関連するという立場を取った。幼児が全面的に依存している「絶対依存期」では、発達促進的環境は母親自身であり、抱え環境の失敗は「偽りの自己」が組織化させて「本当の自己」は隠蔽されるとした。彼は「相対的依存期」にみられる、クラインのいう「抑うつポジション」が、「思いやり」という重要な情緒発達にいたる正常な過程であり、罪悪感をもつ能力の起源とした。ウィニコットは独自の情緒発達理論に沿って、退行が必要な患者や反社会的傾向をもつ治療困難な患者の治療論を展開した。
著者
浅野 則子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.60, pp.1-7, 2019-02

大伴家持と妻大嬢は大伴家として望まれた婚姻であり、幸せな関係を維持したとされている。しかしながらそれを証明するのは歌のみである。二人の関係が安定したものとなる時期以前の「二人の空白期」とされる時期に家持は「亡妾」への挽歌を作っているが、この挽歌により万葉集において大嬢との幸せな関係が強調されている。
著者
工藤 邦彦
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.55, pp.137-149, 2014-02

図書館パスファインダー情報資源情報探索司書および司書教諭養成本稿では、司書・司書教諭課程と司書講習で試みた図書館パスファインダーの作成演習を考察した。受講者は作成過程で図書館が所蔵する多様な情報資源の存在を認識し、主題に則した情報探索手順を理解したことが分かった。有能な新規司書・司書教諭養成のために、ビブリオグラフィック・インストラクションを意識した図書館パスファインダーの作成指導が必要である。
著者
佐藤 敬子
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.56, pp.151-160, 2015-02

「男女共同参画基本法」が公布・施行されて15年が経過した。その中で定義されている「男女共同参画社会」とは「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会」(第2条)としている。各自治団体においても「男女共同参画基本計画」を策定してその基本理念のもと様々な取り組みがなされているところである。そのような中、大分県日田市では平成23年から「男女共同参画女性育成事業」として「ひた女性人材育成倶楽部"キアラ"」を立ち上げ、地域や社会で活躍する女性リーダーの育成を始めた。本研究は第4期生の育成に関わり、コーチングの手法をもとに女性のエンパワーメントのための研修の記録をまとめたものである。
著者
松田 美香
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.56, pp.11-22, 2015-02

大分と首都圏の高年層・若年層(同性同士)のペア計4組の談話調査を行い、依頼の談話において依頼者の働きかけを比較した結果、大分談話のほうが、より積極性が見られることがわかった。大分方言談話には非依頼者の都合に介入する例が多く見られ、特に高年層ペアには「アンタ」「オマエ」のフィラー的使用が顕著に観察された。これらは実質的な二人称代名詞でもあり、対人関係に関わる機能を見出すことができる。
著者
白峰 旬
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.65-77, 2012-02

慶長5年9月15日の関ヶ原の戦いに至る政治的・軍事的動向を把握するうえで、同年6月~9月における徳川家康の軍事行動について検討することは重要であり、必要不可欠な考察であると言えよう。本稿では、当該期に家康が発給した多くの書状を中心にその内容分析をおこない、昨年(2011年)3月に刊行された『愛知県史』資料編13、織豊3の所収史料など新出史料の分析もおこない、新知見を得ることを目指すものである。
著者
瀬戸口 昌也
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.53, pp.109-119, 2012-02

本論文は、ディルタイの「体験」概念の特徴である「体験の実在性」と「体験の有意味性」の関係について考察したものである。ディルタイにとって体験とは、心的状態の「知覚化」と、事物や人物、出来事の「内面化」という2つの相反する方向を持つ態度として現れる。両者の相互関係を通して体験は形態化されるが、形態化の際の素材の抵抗経験により、体験の実在性が意識されるとともに、意味カテゴリーが生じることを明らかにした。
著者
山野 敬士
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.45, pp.13-24, 2003-12

The aim of this paper is to explore how we can interpret the subjects employed in Tennessee Williams's Kingdom of Earth (1968). First, we will observe the racial representation of Chicken (the only black character in williams's plays) and examine the paradoxical situation in which his function as a black makes the will to reverse the social hierarchy possible but the representation of his sexuality makes the reversal ambiguous. Second, we will suppose that the play has an aspect of meta-psychology, analyzing the three characters by comparing them with the psychological theory. Last, we will consider the image of "Freak Show" that the author put in the play and inverstigate how the subjects we have discussed in the other sections will affect the relationship between the audience and the play as a Freak Show.
著者
中野 明德
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学大学院紀要 = Bulletin of Beppu University Graduate School (ISSN:13450530)
巻号頁・発行日
no.19, pp.49-67, 2017-03

ジョン・ボウルビィの愛着理論は、マターナル・デプリケーションの研究から始まり、精神分析学に比較行動学を取り入れて提唱された。愛着行動とは乳幼児が母親に接近する本能的行動であり、ボウルビィは愛着人物との分離に伴う不安や恐怖、それに愛着対象喪失によって起きる悲哀の過程を精神病理学的に追究した。子ども虐待が急増する今日、愛着理論は母子臨床に貢献するであろう。母子を結ぶ絆は「愛着」だけではなく、バリントの「一次愛」や土居健郎の「甘え」などの概念もあり、こうした精神分析理論と繋いで治療論を展開することが今後期待される。