著者
竹内 さおり 白川 哲郎
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.151-156, 2007-03-20

本稿では、樟蔭学園デジタルアーカイブ構築の一部として、「朝輝記太留氏関連の写真資料」のデジタル化に関する取り組みについて報告し、さらに、「資料整理におけるQRコードの利用」について述べる。 朝輝記太留氏は樟蔭高等女學校の体育教師として、女子学生の体操教育に熱心に取り組んだ。その功績は、学園広報誌『樟蔭學報』における運動会の開催や登山の実施の記事として掲載されている。今回、調査対象とした「朝輝記太留氏関連の写真資料」は1935年にアメリカへ教育視察のために渡航したときの貴重な記録である。資料の状態がよくないので、できるだけ早くデジタル化しておくことが必要と思われる資料である。 これまでの作業で調査と整理が完了した資料は、資料保存箱に収納した。資料保存箱には、資料名を記したラベルを貼付してきたが、小さなスペースのため多くの情報は記入できないことに不便を感じていた。そこで、近頃よく見かけるQRコードを利用して、より多くの情報を付与できる工夫を行った。QRコードが携帯電話のバーコードリーダーを利用して容易に読み取れる点に注目して、ユビキタス環境へ近づけたいと思う。
著者
佐久間 貴士 長谷川 伸三 荒武 賢一朗
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.274-282, 2008-01-31

?珹寺は奈良時代に創建され、平安時代に紀有常が再興したと伝えられている。本尊は女人裸形阿弥陀仏で、五十年に一回衣替えをする時に公開した秘仏といわれている。 この?珹寺で二〇〇五年から地域文化センターと日本文化史学科の共同事業で、?珹寺(紀寺)総合学術調査を実施してきた。 調査は現在古文書調査と発掘調査を行っている。古文書調査は住職下間家に伝来したものを整理しており、近世から近代にかけての宗教史について、貴重な資料が多数見出されている。本論では、?珹寺についてのこれまでの研究を整理し、新史料から下間頼和と石田敬起についての紹介を行った。 また発掘調査では奈良時代の瓦が多量に出土したことから、?珹寺が奈良時代創建であることが確実となった。
著者
小林 政司
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.121-131, 2009-01-31

The effect of color and its combination on the motive of entrance to a clothing store was investigatedby using a computer system with twin display for indication of the storefront model stimulus. Eighttri-color combinations used for the experiment were chosen from the image scale for color scheme proposedby NDC (Nippon Color Design Lab.). It became clear that the explanation of the complicated judgement, such as the motive of entrance to astore, is very difficult by using single variable. It needs to be explained by the compound image of color orcolor combination. It was suggested that, the two dimensional, namely warm – cool and hard – soft,coordinate plane is useful for the explanation. The motive of entrance to a store is effected strongly by theimage of the color combination in order of the image of warm > cool – soft > hard. In addition, the resultobtained by the experiment supports the usefulness of the image scale for color scheme proposed.
著者
竹村 一夫
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.179-189, 2007-01-31

母子家庭を対象とした福祉施策は,「きめ細かな福祉サービスの展開」と「自立・就労の支援」を中心とした施策に転換された。その背景としては,高齢社会化にともなう社会保障費の増大と政策における思想的な背景としての新自由主義,市場主義の影響が指摘できる。母子家庭の経済的な現状としては,国民生活基礎調査では,2003年の母子家庭の1世帯当たりの平均所得は全世帯の平均所得の半分以下しかない。シングルマザーの就業率は非常に高いが,非正規雇用者の割合は一般就労者より高く,近年進行した雇用の多様化は,就労する条件としては不利になりがちなシングルマザーにより厳しい影響を与えている。岡山市のシングルマザーを対象とした聞き取り調査からえられた課題としては,資格があっても残業や夜勤のある仕事には就きにくいこと,パソコンの練習をしたくても購入しにくいこと,転職や就業条件のことなどで相談に行きたくても行きにくいこと,養育費の確保が困難な場合が一定程度含まれると考えられることなどをあげることができ,特に相談機能の弱さを補っていくことと,母子家庭への情報提供のあり方として,情報が単にそのまま提供されるのではなく,必要な情報をその意味するところも含めていかに的確に伝えられるかが課題となるだろう。