著者
伊豆原 月絵
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.49-54, 2011-01-31

筆者は、神戸ファッション美術館との学館協同事業の一つとして、復元研究を行い、細部にわたって計測をした第一次資料を基に、第二次資料および構成図を作り、実物ドレスの制作を行った。 本論文では、18世紀中葉の衣服制作の技術的な変遷を解明するために、制作時期が、およそ10年離れているとされる2体の復元したドレスについて、裁断と縫製などの衣服制作技術について、比較検討を行った。 ドレスは、布地が手織りの織物で作られているため、縫製段階で、「ねじ曲げる」「折り目をずらす」などの工夫がされていた。例えば、腰の膨らみを強調するために、手織りの織物の特性である独特の打ち込みの甘さを用いて、「ねじり」を入れ縫うことにより、元に戻ろうとする糸の力を用いて、布地を押し上げ膨らみをもたせるなどの技術や、織り布を倹約するための「布テープ」によるほつれ止めの手法の発達などがあげられる。ドレスの復元制作の過程から、18世紀中葉の衣服製作の技術の変遷を考察した。
著者
伊豆原 月絵 高木 麻里 澁谷 摩耶 齋藤 久美子 百武 真友美
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.85-94, 2010-01-29

大阪樟蔭女子大学と神戸ファッション美術館の学館協働事業として、神戸ファッション美術館の収蔵品について、平成19年度より18世紀のフランス宮廷衣装のドレスの織物・刺繍・装飾・縫製の復元を行っている。復元研究の最終目的は、第一次資料を基に、美意識を支えた縫製・構成技術、ドレスのフォルムから身体のフォルムを、また、染織の色彩と紋様から意匠や象徴性などを解明することで、往時の求められていた美意識を明らかにすることである。復元研究では、19世紀末以前の衣装を対象とする服飾美学、服装史、構成学の既往研究のほとんどが、美術館、博物館の展示ボディに着装されたドレス表面の計測結果や図像資料から、また、欧米の文献を基にパターン(構成図)作成を試み、復元製作をしているのが実情である。なぜなら、現存する歴史衣装は少なく、華やかなるロココ時代の宮廷衣裳にいたっては、日本のみならず世界でも数十点に満たない。したがって、第一次資料を基にした復元研究は、少ないのが現状である。このようなことを鑑み本論文では、復元製作において、最も重要な情報収集として、18世紀のドレスの文献調査に併せて、保存状態の優れた神戸ファッション美術館所蔵の18世紀に製作された女子のフランス宮廷衣裳を第一資料とし、計測調査(1着のドレスの計測した箇所は、10,000箇所以上)とその記録方法に重きを置き、第二次資料作成の方法について述べた。

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著者
中塚 裕子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
樟蔭国文学 (ISSN:03898792)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.51-52, 1971-03-20
著者
日比野 英子 萩尾 藤江 タミー 木村 楠本 健司
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.105-117, 2010-01-29

本研究では、唇裂口蓋裂の女性のよりよい社会適応を目標としたプロジェクトの先駆けとなる、実践的活動の検討を行う。医師・臨床心理士・メーキャッパ-からなる治療チームを編成し、対象者に個別的な化粧施術と化粧指導を行ったが、その前後に、自分の顔・医療・化粧に関する質問紙および面接による調査を行った。その結果、対象者は医療や形成手術に満足していると表明したものの、顔の疾患部位である鼻と唇が気になっている人が多く、化粧については抵抗感があることが見いだされた。化粧意識に関しては、本チームでの化粧施術を体験する前は、化粧の否定的・消極的な対人的効果を語る人が多く、体験後は、肯定的かつ積極的な対自己効果を挙げる人が多かった。このような意識の変化から、この体験が、化粧への抵抗感を弱めて、化粧を通して自身の顔と向きあい、積極的に自分の顔を受容していく契機となりうる可能性が示唆された。また、化粧された新しい顔を他者に示すことが、より健康的なペルソナの構築にも役立つ可能性があると考えられ、対象者の社会生活がより適応的なものになり得るものと考察される。
著者
伊豆原 月絵
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.40-48, 2011-01-31

本研究は、1700年代を中心に、1600年代中葉以降のフランス宮廷を中心とした欧州貴族の女性にみられる美意識を明らかにすることを目的とする。往時の女性に対する観察者の「美意識」については、図像資料や文献資料を基に論じた。文献資料からは、1600年代から1700年代初期までは、情感を表現する眼差しや表情を「美しい」としていたが、1700年代の中葉にかけて、次第に女性の外見に重きをおいた記述が増え、「豊かな胸」「見事な肩」「背が高い」などの外見的特徴が主な美の構成要素になっていく。 また、美しさを構成する要素は、「真直ぐ伸びた背中」、「高い胸」のデコルテと「なで肩」であり、それは、姿勢と体型に関係がみられることを、人体解剖学的見地より考察し、新しい視点を示唆した。
著者
伊豆原 月絵
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.3-14, 2012-01-31

フランス宮廷では、18世紀になると、宮廷晩餐会用の女性の衣裳は、華やかさを増し、花紋様の重厚なブロケードに刺繍の装飾を重ね、さらにレースをあしらった豪華で装飾的な衣裳が好まれていた。一方、私的なサロンによる交流が広がるにつれ、公の衣裳の重厚さに対して、私的な衣装の美意識は、軽やかさが求められ、その美意識は、宮廷の衣裳にも反映していった。往時は、中国風庭園、家具、陶器、織物、衣裳など、アジア風のデザインが流行し、様々な事象にシノワズリーの影響がみられ、インド製の木版捺染や手描き更紗とともに、アジアから舶載された絣織の「シネ」は珍重され、フランスのみならず、欧州各国に染織技法とともにその紋様表現は、伝播していく。18世紀になると絣は、需要の拡大とともに発展し、宮廷女性衣裳の生地としてフランスで盛んに織られるようになった。 本論文では、神戸ファッション美術館の所蔵品のローブ・ア・ラ・フランセーズに用いられた絣織「シネ・ア・ラ・ブランシュ」の織物を復元することを目的に、往時のシネの製作技法について、アジアの絣の技法の調査を踏まえ比較検討を行う。
著者
飼原 壽夫
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.215-223, 2013-01-31

ウェブサイト開設に関して、今や、ネットワークには、道具も情報も十分に提供されているにもかかわらず、組織の方針としてトップダウン方向で推進されない限り、まだまだ、敷居を高く感じさせる面が多くある。本稿では、サイト立ち上げに伴う問題解決の視点や手順を、具体例から幾つか紹介した。先ず、現状調査に始まり、ウェブサイト構成の検討、CMSの機能検討、開発ツールの選択、運用体制の検討の必要性を示した。続く制作では、動画ファイルや、PowerPointファイルの取り扱い方、ページ遷移をせずに多くの情報を盛り込む工夫(jQueryの活用)、統合開発環境のソフトで利用できる便利ツール、翻訳サービスによる国際対応と翻訳の改善手段、SEO対策ツール、サイト内検索ボックスに至るまで、一般によく目にする機能の実現に際してヒントとなるように、実施手段の選択時の視点を紹介した。
著者
武田 雅子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.31-43, 2010-01-29

「詩はその言語の精髄」と言われる。英語を習ったからには、英語の詩を味わうようになりたいものだが、しばしば「詩は難しい、ましてや英詩なんか」という反応に出会う。これは実にもったいない。英詩は英語の特徴の詰まった宝箱のようなものだから。しかし、難しいという反応があるからには、これを解きほぐさないといけないだろう。それは、毎年詩の授業を担当してきたので、常に課題としてきたことだった。授業は最初1年の通年ものであったが、今では、半期ものとなっている。そこで、年に2回、英詩の全くの入門から始まって、何とか個々の作品に出会うというところまでもっていくという作業をしていることになる。毎年そのためにプリントを作成し、それに改正を加えているのだが、それを形にしようと、「大阪樟蔭女子大学論集第44号」に、概要をまとめた。次に実際の執筆に入ろうとすると、「詩とは何か」の書き出しはなかなか困難で、ためらっているうちに、別のプロジェクトにかかっていてそれを掲載したこともあり、2年が経ってしまった。このたび、根本問題は、他から攻めていくことにして、まず詩形について取り上げることにした。リマリック、ハイク、ソネット、コンクリート・ポエム、自由詩を例となる詩と共に取り上げた。
著者
岡野 均
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
文化研究 (ISSN:09158227)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.121-128, 1996-09-30
著者
豊嶋 幸生
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.153-168, 2012-01-31

モダンデザインが普及する前の、ヨーロッパの都市の主要建築は、多くの装飾を持った古典的な様式建築である。開国によって、日本でも、明治維新直前から、昭和の初期まで、多くの西欧風様式建築が建設された。こうした建築の、明治初期の主な設計者は、明治政府によるお雇い外国人建築家で、外国人から建築を学習した日本人建築家が、その跡を継いでいく。その中の、代表的な人物が、英国人のジョサイア・コンドル、片山東熊、辰野金吾等である。この論文は、これらの建築家による作品の装飾についての研究をするためのもので、目的は、日本で、洋風建築に多く使われてきた装飾要素を抽出し、どのような装飾スタイルが、日本人に受け入れられてきたかを確認し、分析することである。西欧の装飾文様と、日本の伝統的な装飾文様との関連性についての考察も、目的の一つである。
著者
小林 政司
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.225-230, 2013-01-31

迷彩(camouflage)柄は、自然の環境を象徴する優れたデザイン性と色彩調和を有しているものが多く存在するものの、残念なことに、しばしば戦場で使用されるためにマイナスのイメージが非常に強いというのが現状であろう。今回は、そのような迷彩柄の平和利用の一環として、デザイン作業の背景として用いることを提唱する。こうした柄と色彩を有する背景は、特に実践的なカラースキームの決定を行う場面で効果的であると予想される。実践的な試みとして、本報告では太子山向原寺(明日香村)において行われた芸術祭Soul of Asuka 2011に使用する提灯のデザイン作業時に迷彩柄の背景を応用した。また、屋外での展示を前提とした作品を屋内で展示する際の背景用に迷彩柄のデザインを行った。
著者
湯浅 愼一
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.47-52, 2009-01-31

人間の本質を単に植物や動物等という他の存在者から区別して考察しようとするとき,人間という概念の非規定性ないし多義性ゆえに人間の本質の考察は迷路でその指針を見失う。それに対してハイデッガーは人間を世界の内に在って自らの存在の可能性に向けて自らを投企する存在,すなわち 現存在として捉え,それを分析することを彼の課題とする。後期に至ってハイデッガーは現存在の分 析から存在そのものの意味の解釈に移行し,ここで20世紀の形而上学及び経験科学の徹底した主観主義化と人間主義化を指摘し,烈しく糾弾する。
著者
石川 義之
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.139-159, 2003-01-31

筆者たちは、1999年〜2000年に関西圏に在住の女性を対象に無作為抽出法による性的被害の実態調査を実施した。この調査データの統計分析によって有意であることが確認された諸変数間の関係は次のようであった。(1)性的被害と5つのデモグラフィック原因(回答者の現在の年齢、現在の配偶者との同居状況、現在の母親との同居状況、回答者が育った地域、回答者の現在の雇用形態)との関係。(2)性的被害と心理的損傷(=客観的トラウマ変数)との関係。(3)性的被害の頻度、加害者のタイプ、被害継続期間と主観的トラウマ変数との関係。(4)性的被害とPTSD症状(=客観的トラウマ変数)との関係。(5)心理的損傷とPTSD症状との関係。(6)性的被害経験と「否定的」生活経験(=客観的トラウマ変数)との関係。(7)心理的損傷と「否定的」生活経験との関係。(8)PTSD症状と「否定的」生活経験との関係。以上の諸関係から性的被害のもたらす影響の流れを抽出すると、その影響の流れのメイン・ルートは、性的被害→心理的損傷→PTSD症状→「否定的」生活経験、と定式化できる。この連関から、PTSDの発症や「否定的」生活の発生を防止するためには、より前の段階での専門家等による治療的・福祉的介入が必要であることが示唆された。
著者
森田 園子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.195-204, 2015-01-31

日本の雇用において中小企業は重大な役割を果たしている。本稿は、その中小企業における女性役員・取締役のあり方が大企業と異なっているのか、異なっているとすればどのように異なっているのか、又その要因は何かを明らかにする前段階として、この課題を見るべき論点を明らかにするためのものである。そのため、ヒアリング調査は経営者であると同時に周辺企業を俯瞰する立場にあり、自らもまた働く女性として経験を積んで来た女性を対象とした。ヒアリングを通して得た知見により、今後検証を進めるにあたっての論点は以下のとおりとした。第1は、「役員・取締役に至る経緯」、第2は「システム整備」である。第1点は、女性管理職・役員にまで至った要因は何であったのかである。第2点は具体的な就業環境のシステム整備に力点をおくものである。そこには、育児休業などの制度整備が重要であることは言うまでもないが、ここではそのような制度を補完するものとして、もっとも具体的な人事管理システムとしての「業務の配分」や「働き方」のシステム整備を取り上げることとした。
著者
和田 利政
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
樟蔭文学 (ISSN:02862905)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.51-65, 1956-10-20
著者
塚口 眞佐子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.137-149, 2007-03-20

デザイン史を観るに1860年代から1930年代までの70年間とそれ以降の70年間を比較した場合、前者がいかに劇的な展開を果たしたか驚くばかりである。歴史様式の混乱状態からモダンデザインへの胎動期、そして誕生、成長まですべてを包含している。それだけに関係が複雑に交差し、過去の様式史とは異なる多元的な理解が必要となる。また、担い手もこれまでとは異なり、勃興する中流階級がデザインの潮流を支えた点も注目に値する。本稿ではこの期間のうち19世紀のデザインをリードした英国のヴィクトリアン期、中でも中流階級のインテリアに照準を当て、様相の背景を探ることで、デザイン史が展開した必然性に迫り解明することをねらいとしている。 建築やインテリアは社会状況や時代精神、生活意識の反映である。デザインのあり方にはこれらの理解が欠かせない。第1章では、モダンデザインの胎動期となったヴィクトリアン期のインテリアの概観とともに、時代精神、特に階級意識とジェンダーをからめてこの様相に迫ってみる。第2章では、装飾品の実態を詳述することで、装飾品に仮託された生活意識を浮かび上がらせる。第3章では、第1章と第2章で明らかにした過剰な装飾の様相から発生した改革運動とその展開を取り上げる。ここではモダンデザインへの移行に大きな役割を果たした日本の影響を軸に述べている。いずれの章も具体的事項を語ることで全体像を浮かび上がらせたいと考える。
著者
吉田 守男
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
文化研究 (ISSN:09158227)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-23, 2001-03-20
著者
西畑 実
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
樟蔭国文学 (ISSN:03898792)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.61-93, 1970-03-20