著者
宮脇 健
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.22, pp.73-89, 2013-03

本研究は新聞、テレビという既存のメディアが行うジャーナリズム活動に対して学生がどのような意識を持っているのかアンケート調査をもとに考察を試みるつもりである。現在、インターネットが普及し、デジタル化による社会を取り巻く環境の変化に伴い、ジャーナリズムは苦境に立たされているといえる。こうした社会環境の変化に対して、新聞やテレビといった既存のメディアがビジネスモデルを再考しなくてはならない、もしくは再考せざるをえないことは多くのジャーナリスト、またはそれに関わる研究者から指摘されてきたことである。では、新聞を読まない、もしくはテレビを視聴しないといわれている若者はジャーナリズムに対して何を感じているのであろうか。本稿では、大学生に実施したジャーナリズムに関するアンケート調査の結果を分析することで、ジャーナリズムの社会に果たす役割や問題点について明らかにし、その結果として次の世代がジャーナリズムに何を求めているのか解決の糸口を探ることを目的としている。
著者
江頭 満正
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-16, 2019-03

日本において音楽フェスティバルへの参加は一般的になり、音楽産業として見過ごせなくなった。しかしその参加動機については、ほとんど知られてない。本研究はVIVA LAROCK(埼玉)を事例に、参加動機を探るものである。訪問者を再来場回数で分け、探索的因子分析を行った。 その結果再来場回数が増えるにつれて、出演アーティストではなく、フェスティバル要素が評価されていることが明らかになった。この結果は、音楽フェスティバルの競合は、ディズニーランドである可能性を示唆している。
著者
川本 勝
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.27, pp.29-52, 2016-03

TOPIX Core30の2013年のデータを用いてNISAの初心者が株式投資するためのポートフォリオについて調査した。その結果、NISAの初心者でも、「局所的な極小値で買い、極大値で売る」手法のみで大きな利益が出せる事が解った。しかし、この結果が東京証券取引所に上場している全ての企業について同様に当てはまるかどうかは、別途、調査が必要である。この結果は、筆者が既に発表している2 本の論文(川本勝2014、2015)の結果とも矛盾しない。
著者
川本 勝
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi-Gakuen University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.34, pp.1-15, 2019-09

前回(川本勝2018b)と同じ条件で、東京証券取引所が公表している2011年度から2015年度までのTOPIX Core30中の銘柄30社について、株式売買のシミュレーションを行った。その結果、平均的には年度毎に109万円ほど投資すれば、シルバーエイジの生活費と年金の差額(月額約4万円)を賄うことができることが解った。
著者
櫻井 準也
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.87-98, 2017-03-31

現代のポピュラー・カルチャー(大衆文化)の一つであるわが国の漫画には、多くの作品に考古学者が登場してきた。その作品数は1980年代になると若干増加するが、その前半ではSF漫画やオカルト漫画に考古学者が登場していたのに対し、後半になるとギャグ漫画・アクション漫画・アドベンチャー漫画などに考古学者が登場するようになる。また、1980年代の考古学者キャラクターは必ずしも従来のような中年男性、スーツ姿、ステレオタイプ化したサファリ・ルックではない。実際の考古学者に近いキャラクターもあれば、映画「インディ・ジョーンズシリーズ」の影響を受けたキャラクターや女性考古学者が登場するなど、考古学者イメージが多様化している。このように考古学者が登場する1980年代の漫画作品には1970年代とは異なる傾向がみられる。
著者
櫻井 準也
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.103-122, 2018-09

現代のポピュラー・カルチャー(大衆文化)の一つであるわが国の漫画には、多くの作品に考古学者が登場する。その作品数は2000年代になるとさらに増加し、そのジャンルも多岐にわたる。また、わが国で起こった旧石器捏造事件の影響を受けた作品がみられることや大学の考古学研究室が舞台となった作品が登場することも2000年代の特徴である。この時期の考古学者キャラクターについては、サファリ・ルックやインディ・ジョーンズ風の服装の男性、さらにはトレジャーハンターのような風貌や服装の考古学者、少女漫画における美形の若い男性考古学者など実際とは明らかに異なるキャラクターもみられる。その一方で、様々なジャンルで考古学者が登場する漫画作品が増加し、実際の考古学者に近い風貌に描かれたキャラクターが多くみられ、大学の考古学研究室が舞台となる作品が登場しているなどの傾向から、わが国の漫画界において考古学者がより身近な存在になったことが窺える。
著者
櫻井 準也 Junya SAKURAI 尚美学園大学総合政策学部
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.24, pp.39-53, 2014-03

わが国において遺跡は埋蔵文化財として捉えられ、長い間保護すべき対象として扱われてきた。しかし、近年になって遺跡を観光資源や「町おこし」などに積極的に活用しようという動きが出てきている。こうした傾向に対して、本稿では遺跡の活用のあり方の一つであり、現在全国各地で実施されている「遺跡まつり」を取り上げた。まず、全国各地で実施されている「遺跡まつり」の現状について概観し、教育普及型と町おこし型という「遺跡まつり」の類型化を試みた。その後、具体的な事例として町おこし型の「遺跡まつり」である「芝山はにわ祭」(千葉県芝山町)の歴史や催しものについて詳細に検討した。そして、この祭りは行政のバックアップによる「町おこし」としての役割だけでなく、地元の小中学生を古代人として参加させることによって「地域アイデンティティの創出」に寄与していることを指摘した。In Japan, archaeological sites were regarded as a cultural property and have been treatedas an object of conservation for a long time. However, archaeological sites are utilizedfor tourist attractions and "town revitalization" in recent years. In this paper, I picked up "archaeological site festival" and surveyed about the actual condition of the"archaeological site festival" in Japan. And examination was added in detail about"SHIBAYAMA HANIWA(ancient clay figure) FESTIVAL" (Shibayama-machi, Chiba).As a result, I pointed out that this festival had contributed not only the role of the "townrevitalization" but the creation of "local identity" for elementary and junior high schoolstudents by making it participate as the ancients.
著者
川本 勝
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.21-45, 2017-09-30

「手持ち資金は初値の2 倍」という条件で、東京証券取引所が公表している2013年のTOPIX Core30中の銘柄28社について「株式売買のシミュレーション」を行った。その結果、以前の2 論文(川本勝2016a、2017)に比べて売り回数と成功率は大きく改善した。しかし、この結果は、当初の研究(川本勝2014)で求まった「売買を60回程度繰り返せば、その利益は投資した原資の2 倍程度になる」という理想値には遠く及ばない。この事実は、他の改善要素が未だ残っていることを示唆している。これは、今後の重要な研究課題である。なお、この結果が東京証券取引所に上場している全ての企業について同様に当てはまるかどうかは、別途、調査が必要である。これらの結果は、筆者が既に発表している5 本の論文(川本勝2014、2015、2016a、2016b、2017)の結果とも矛盾しない。
著者
木村 啓子 Keiko KIMURA 尚美学園大学総合政策学部
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.77-85, 2017-03-31

大学の英語嫌いの学習者の多い英語再履修クラスで、英語への抵抗感を軽減させ、かつ学習効果を上げる試みとして、絵本からの英語多読と多読本の音読等を取り入れて英語のインプット量を増大させることを目標とした授業を1 セメスター間実施した。学期開始時と終了時に行った英語テストの結果をノンパラメトリックテストにかけた結果、9 名という少人数であったこともあり、統計的有意差は確認できなかったものの、英語力向上の効果量は大であることが判明した。また学期終了時に実施したアンケート調査の結果、英語嫌いの度合いが改善されたことが分かった。
著者
日野 勝吾 Shogo HINO 尚美学園大学総合政策学部非常勤
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.71-84, 2015-09-30

本稿では、大学教授がその使用者から命じられた配置転換命令を拒否したことを理由として、解雇処分を受けたことにつき、同人が解雇無効に係る確認訴訟を提起した事案について検討を図り、配転命令権の合理的範囲を研究するものである。This paper, as reason and that the professor of the University has refused to duties instructions that are instructions from the university, since dismissed, is intended to examine the cases that statute of limitations in search of confirmation such as invalid dismissal the university as the other party.
著者
平 辰彦 Tatsuhiko TAIRA 尚美学園大学非常勤
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.83-105, 2011-12-01

古今東西の演劇における幽霊は、「古典主義的演劇」の幽霊と「バロック的演劇」の幽霊に大別することができる。前者の幽霊は、「三単一」の法則が守られた劇作法で創造された幽霊であり、後者の幽霊は、「三単一」の法則を無視した自由奔放な劇作法で創造された「非古典主義的演劇」の幽霊である。 本稿では、古代ギリシアの「悲劇」と中世日本の能楽の「古典主義的演劇」の幽霊及びエリザベス朝時代のシェイクスピア劇と江戸時代・明治時代の歌舞伎の「バロック的演劇」の幽霊をそれぞれ比較しながら、そこにあらわれた幽霊の民族的特性と演劇的普遍性が、どのようなものかを明らかにする。The present paper is a contribution toward a comparison the characteristics and theatrical functionsof ghosts on the classical theatres and the baroque theatres.Similarities and differences between the ghosts of the classical theatres and the baroque theatres, inconclusion, the result of complex, very different traditions, which differently stress objective versussubjective perception, and realistic versus stylized artistic expression.
著者
大木 啓介
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.27, pp.151-171, 2016-03

本稿は、二十世紀第4 四半期に比較政治学のなかで「成長産業」と目されるに至った比較民主化論に焦点を据え、この研究分野で際立たされた一般化論者と個性化論者との論戦を吟味する。意図するところは、この論戦を通じて浮き彫りにされた一般化の信奉者と独自性の信奉者との相対立する主張を整序して、比較民主化論の態様を明らかにすると共に、「法則定立- 個性記述」論争の解明に多少とも資する素材を提供することにある。そこで先ず、比較民主化論がいかに展開してきたかを粗描して、移行論者(一般化の信奉者)と地域研究者(独自性の信奉者)との論戦の学説史的背景を概観する。その上で、この論戦がいかに交わされてきたのかを要約的に指摘して、移行論とその批判の輪郭を確認したい。
著者
井口 武夫
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-32, 2001-10

Main purpose of this study is to analyze the concept and juridical nature of collective self-defence under the U.N.Charter and customary international law. The analysis covers the formulation of the right of self-defence prior to the establishment of the U.N.Organization and the drafting process of articles relating to collective self-defence in the U.N.Charter. Also the legal position of collective self-defence in the collective security system of the U.N. is analyzed. Important theories and latest practices of collective self-defence are explained and evaluated, including the function of Security Council and the Judgment of International Court of Justice, in Nicaragua's case. The study extends to the difference between individual and collective self-defence, as well as the controversy on legality and legitimacy of humanitarian intervention and of the use of force on the issues of unilateral intervention and armed reprisal Another major theme of this paper is to study Japan's constitutional and political constraints concerning collective self-defence and attitude of Japanese Government is closely observed. It has touched on U.S.-Japan security cooperation and the latest case of Guideline on defence cooperation..
著者
木村 啓子
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-12, 2007-03

外国語を学習するにあたり、さまざまな学習ストラテジー(方略)を使用することが語学上達に効果的であると言われているが、本研究では2年度に渡る本学のニュージーランド短期語学研修参加者19名を実験群、同研修に参加しなかった本学学生24名を統制群とし、約3週間の英語圏滞在により、参加学生の英語学習ストラテジーの使用度に変化が認められるか、また変化があるとすると、その変化は学生に定着したものなのか、加えて、本学の被験学生はどのようなストラテジーを多く使う傾向にあるのかを言語学習ストラテジー調査(SILL)を用い、統計分析を施して調査した。結果は、研修前には学習ストラテジー使用度において統計的に同質であった両群が、研修後には実験群が統制群に比べ、ストラテジー使用度が有意に高くなっており、3週間の英語圏滞在により学生のストラテジー使用が活発になることがわかった。しかもその変化はある程度定着したものであるという結果が出た。また、本学の被験学生は記憶ストラテジーや情意ストラテジーよりも、補償ストラテジーを有意に多く使う傾向にあることが検証された。
著者
五十子 敬子 Keiko IRAKO 学校法人尚美学園総合政策学部
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.9-28, 2002-11-30

オランダでは、2002年4月1日に、「要請による生命の終結および自殺幇助(審査手続き)法」が施行された。本法は国家の法としては世界初の安楽死法となるものである。オランダは自立して生活するための社会福祉も充実しており、弱者を切り捨てない平等主義が行き渡っている。その社会背景の中で、判例の積み重ねによって安楽死を許容するための基準が形成された。1993年には遺体埋葬法の一部が改正され、安楽死への厳格なガイドラインとなっていたが、本法はさらに刑法と遺体埋葬法を改正し、その要件を満たした安楽死を実施した医師を刑事訴追しないこととした。他方、1994年の英国の「医療の倫理特別委員会報告書」は、オランダの疼痛緩和医療が英国ほど進んでいないこと、また厳格な要件のもとであるにせよ安楽死許容の方向をとっていたことが、疼痛緩和医療を更に進めるための部分的障壁となっていることを指摘している。本論文はオランダの安楽死について疼痛緩和医療との関連のもとで考察するものである。On 1 April 2002, the following act came into force in the Netherlands: Review procedures for the termination of life on request and assisted suicide and amendment of the Criminal Code and the Burial and Cremation Act. This legislation allows patients experiencing unbearable suffering to request euthanasia, and the doctors who carry it out to be free from prosecution, provided they follow strict procedures. The legislation was passed in a society where individual independence and social welfare are well developed. However, the British Select Committee on Medical Ethics, which reported on the state of palliative care in Holland, together with some Dutch doctors, have expressed the view that palliative care is not as advanced in Holland as it is in Britain. One view is that legalization of euthanasia can become an obstacle to improving palliative care. Given this relationship between palliative care and euthanasia, it is impossible to consider one without looking at both. In this paper, I examine this relationship with reference to the effects of the new legislation in the Netherlands.