著者
大川 信子
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = TOKOHA UNIVERSITY FACULTY OF EDUCATION RESEARCH REVIEW
巻号頁・発行日
no.38, pp.37-53, 2017-12-31

和歌の音声化について考察する。新学習指導要領に継承される我が国の言語文化に関する事項中、音声化の対象の一ジャンルである和歌は、韻律をもちそのリズムが音声化に適すると考えられる。和歌史を概観するに、文字の変遷の和歌の変容に与える影響は大きい。そこで、万葉仮名から一字一音式の仮名文字への展開の中で、『古今和歌集』に発達が認められる掛詞に注目する。『古今和歌集』の五十余年後に催された天徳内裏歌合に、発達を遂げた掛詞を含む和歌が、どれほど出詠されたのか。声に出して鑑賞・評価される場における音声としての和歌の姿を、対象歌合に確認し、音声化される和歌の特性について考える。それは、仮名文字に記され視覚的に鑑賞される和歌と、音声化され聴覚により享受される和歌の差異にも通じる。授業で古典を音読すること、音声化することで響きやリズムに親しむことを身に付けさせることの背景にあるものに目を向け、その一端を確認する試みである。
著者
大森 貴弘
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = Tokoha University Faculty of Education research review (ISSN:2188434X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.409-425, 2017-12

ドイツでは、かつては日本と同じく離婚後単独親権を民法で定めていた。しかし、1982 年に連邦憲法裁判所は、離婚後の例外なき単独親権を定めた民法1671 条4 項1文の規定が、親の権利を定めた基本法6 条2 項1 文の権利を侵害すると判示した。これ以後、ドイツでは離婚後の例外なき単独親権は違憲となり、個別事例での対応が続いていたが、1998 年に親子法改正法(1997 年制定)が施行され、離婚後共同親権(共同配慮権)が法制化された。
著者
戸塚 麻子
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = TOKOHA UNIVERSITY FACULTY OF EDUCATION RESEARCH REVIEW
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-9, 2017-12-31

『東亜新報』は日本占領下の北京で一九三九年から一九四五年まで発行されていた日本語新聞である。北支軍と興亜院が出資する同盟通信社系の新聞であり、北京発行の唯一の日本語新聞として機能した。しかしながら、文芸・文化記事を見ると、時局と連動するような戦意高揚の記事と同時に、国策とは無関係の実にのんびりした記事も少なくない。また、しばしば日本の国策を批判的に見るような言説が紛れ込んでいるのを目にすることもできる。少なくとも太平洋戦争開戦前のこの時期においては、比較的自由な言説が許されていたように思われる 。本稿では、創刊期『東亜新報』の中から文芸・文化記事を中心に取り上げ、その内容紹介を試みたい。
著者
鈴木 守
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = Tokoha University Faculty of Education research review (ISSN:2188434X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-13, 2017-12

本研究は、図書館法上の司書や学校司書の養成課程において学校図書館におけるレファレンスサービス等の情報サービスの演習の際に必要となると考えられる児童向けの参考図書等について、特に司書課程と司書教諭課程の両方を設置している大学・短期大学の図書館における所蔵状況を明らかにすることを目的とした。研究方法は、全国書誌として国立国会図書館のNDL-OPAC を使用することによって児童の参考図書等のチェックリストを作成し、リストに掲載される図書の検索に国立情報学研究所のCiNii Books を使用することによって、児童の参考と書等の大学図書館における所蔵状況を調べた。調査結果からは、司書課程と司書教諭課程の両方を設置している大学の図書館において、必ずしも児童の参考図書が十分に所蔵されていないことが明らかとなり、特に将来的な学校司書の養成の可能性を考慮するならば、今後児童の参考図書を充実させる必要があることを指摘した。
著者
鈴木 守
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = Tokoha University Faculty of Education research review (ISSN:2188434X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-18, 2016-03

本研究では,大学図書館の蔵書評価として,教育分野の図書の所蔵状況を明らかにすることを目的として調査を行った。蔵書評価の方法はチェックリスト法を用いた。国立国会図書館の全国書誌をもとに教育分野の文献リストを作成し,国立情報学研究所のCiNii Books を検索して全国の大学図書館等の蔵書との照合を行った。また,特にT 大学図書館の蔵書について教育を主題とする図書の所蔵状況の分析を行った。
著者
谷 誠司 内田 智子 吉田 広毅 増井 実子 中山 晃
出版者
常葉大学教育学部
雑誌
常葉大学教育学部紀要 = Tokoha University Faculty of Education research review (ISSN:2188434X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.343-354, 2016-03-31

本稿は、済州大学校(韓国)と常葉大学(日本)との間で、2012 年10 月~ 12 月にかけて行った国際交流学習の実践報告である。済州大学の日本語クラスと常葉大学の韓国語クラスで、両校混成グループを作り、オンライン上で交流をしながらグループ課題を達成するまでのプロセスを紹介すると同時に、両校における問題点の把握から交流の結果の検証までをアクションリサーチの手順1で示した。また、学生に対して行った事前・事後のアンケート調査の分析を行うことで、今回の交流学習の意義や成果、問題点等を明らかにした。