著者
須藤 誠 喜多 一馬 田村 由馬
出版者
日本保健医療福祉連携教育学会
雑誌
日本保健医療福祉連携教育学会学術誌・保健医療福祉連携 (ISSN:18836380)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.153-163, 2021 (Released:2021-12-07)
参考文献数
24

【目的】新型コロナウイルス感染症禍(コロナ禍)の昨今,交流は厳しく制限され,教育・医療の状況は一変した。教育には専門職教育と多職種連携教育(IPE)があり,双方とも欠かせない。そこで,コロナ禍以前のIPEに関する文献レビューを通して,コロナ禍におけるIPEの課題を整理した。 【方法】医中誌を用いて「(他分野共同学習/TH or 多職種連携教育/AL) and (PT=原著論文)」で検索した(検索日:2020年8月20日)。研究デザイン別の課題について考察した。 【結果】検討対象は88件,文献研究7件,観察研究26件,介入研究4件,尺度研究3件,活動報告18件,質的研究21件,記述研究8件であった。著者は教育機関所属が多く,在学生対象の調査が主であった。 【結語】IPEは卒前教育で留まり,卒後教育にリーチできていなかった。コロナ禍では,オンラインツールを活用したIPEを学習できる場が必要である。
著者
藤﨑 万裕 竹田 香織 武田 賢 鈴木 貴 大森 純子
出版者
日本保健医療福祉連携教育学会
雑誌
日本保健医療福祉連携教育学会学術誌・保健医療福祉連携 (ISSN:18836380)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.164-173, 2021 (Released:2021-12-07)
参考文献数
22

【目的】医学部保健学科3専攻4年次学生を対象とする「チーム医療実習」を実施し,学生の自己評価を用いて教育効果を評価する。 【方法】実習後に「チーム医療実習」の目的と目標の到達度を測定した。また,実習前,中盤,実習後に,Interprofessional Competency Assessment Scale for Undergraduates(以下,ICASU)を用いて多職種連携能力に関する学生の自己評価を収集し,3時点間の比較をカイ2乗検定で行い,傾向性の検定としてMantel-Haenszal test for trendを実施した。 【結果】132名から有効回答を得た。実習の目的・目標到達度を肯定的に答えた者は94.7~98.5%だった。ICASUのほぼすべての項目で,実習前,中盤,実習後の順に「できる」と答えた者の割合が増加した。 【結論】「チーム医療実習」の内容は,学生が実習目的・目標に到達でき,多職種連携能力を短期間で段階的に高められる内容であった。
著者
丹野 克子 照井 孫久 遠藤 和子
出版者
日本保健医療福祉連携教育学会
雑誌
日本保健医療福祉連携教育学会学術誌・保健医療福祉連携 (ISSN:18836380)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.21-28, 2016

【目的】本研究では,訪問リハビリテーションサービスを提供する理学療法士および作業療法士(訪問リハ職)の連携の様態について,介護支援専門員(ケアマネ)との関係を中心に明らかにする。【方法】訪問リハ職10名に対するフォーカスグループインタビューの逐語データを質的統合法により分析した。【結果】セラピストの連携の様態は,「ケアマネとの人間関係側面」,「ケアマネとの業務の進め方側面」,「情報交換の機会」に困難さを抱える一方で,「ケアマネ側からの働きかけ」,「訪問リハ職側からの働きかけ」をお互いに行ないながら,「サービス提供過程におけるやりとり側面」「サービス提供過程における検討内容側面」を順調に行なっていた。【結論】訪問リハ職は,連携上の不満や困難感を潜在させつつ,業務上必要な連携のほか,配慮ある情報交換や調整に努力し,必要な業務やサービス提供を順調に進めているという構造が見出された。
著者
見城 道子 今福 恵子 大杉 紘徳 山下 香枝子
出版者
日本保健医療福祉連携教育学会
雑誌
日本保健医療福祉連携教育学会学術誌・保健医療福祉連携 (ISSN:18836380)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.50-60, 2011 (Released:2019-09-26)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究の目的は,在宅における行動障害および精神症状(以下BPSD)を有する認知症高齢者へのケアについてIPWの観点から,看護,介護,リハビリテーションを中心に各分野のアプローチの実際を文献検討から明らかにすることを目的とした。国内で発表された日本語文献を医学中央雑誌にて検索した。検索語は「認知症」「BPSD」「連携」を組み合わせた語と「看護」または「リハビリテーション」または「介護福祉士」「ケアマネジャー」「社会福祉士」を連結させて行い,施設内のケアに関するものを除いた。 BPSDを有する在宅の認知症高齢者のケアにおける「連携」に関する論文は,看護学とリハビリテーション学分野においては,2006年から発表されており,増加傾向であった。すべての分野の論文に共通して「専門職の専門領域の確立」と「目標の共有」に関する記述が確認されたことから,多職種連携と協働による支援の必要性は認識されており,IPWの推進が重要である。
著者
石橋 みゆき 吉田 千文 雨宮 有子 木暮 みどり 樋口 キエ子
出版者
日本保健医療福祉連携教育学会
雑誌
日本保健医療福祉連携教育学会学術誌・保健医療福祉連携 (ISSN:18836380)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.19-28, 2017 (Released:2019-09-26)
参考文献数
17

【目的】退院支援過程における退院調整看護師(以下DCN)とソーシャルワーカー(以下SW)が用いる,それぞれの職種に特有な専門性を反映した技術の性質や特徴を明らかとする。 【方法】同一施設で働くDCNとSW5組10名を対象に退院支援実践について半構造化面接を実施し,その内容を質的帰納的に分析した。 【結果】DCNとSWの退院支援の意図は共通であっても,家族支援,目標設定や課題のアセスメント,他職種との協働,院内の退院支援の質向上への働きかけ等において,用いる技術に専門性を反映した特徴や性質の違いが見られた。DCNは,療養者の予測される状態を自らアセスメントして他職種にその内容を確認し,SWは療養者の現在のニーズを多職種との連携・調整を行う中で把握するという特徴が明らかとなった。 【結論】退院支援過程におけるDCNとSWが用いる技術の性質や特徴は「支援対象の捉え方」と「多職種との関り方」を中心に専門性が反映されることが明らかとなった。
著者
田中 結香 望月 宗一郎
出版者
日本保健医療福祉連携教育学会
雑誌
日本保健医療福祉連携教育学会学術誌・保健医療福祉連携 (ISSN:18836380)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1_2, pp.2-10, 2013 (Released:2019-09-26)
参考文献数
25

【目的】 本研究は,介護療養型医療施設の円滑な退院促進に必要な要素と専門職連携の在り方を検討するための基礎資料として,退院調整に携わる看護師とMSWの業務に関する認識を明らかにすることを目的とした。 【方法】 全国の介護療養型医療施設の退院調整に携わる看護師250人とMSW250人の計500人を対象に,無記名自記式質問紙郵送調査を行った。 【結果】 有効回答数は335人(67.0%)であった。看護師はMSWよりも「業務量が多い」,「医師と連携を取ることが困難である」と認識しており,MSWは看護師よりも「看護師と連携することが困難である」,「経営者が業務内容を理解してくれている」と認識していた。また,看護師,MSWともに,日常業務の中で「社会的入院」について考えていた。 【結論】 日頃の業務の多さや互いの業務内容の認識不足から「専門職連携」が上手に機能していない実態が明らかとなり,今後,保健医療福祉の専門職が協働して相談援助に関わり退院調整を図ることが重要であることが示唆された。