著者
中嶌 道靖
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.1-11, 2011 (Released:2017-04-17)

マテリアルフローコスト会計(MFCA)によるコストマネジメント情報において,社内リサイクル材のコスト評価方法が課題となっている。MFCAは果たして製品原価計算手法なのであろうか。伝統的な原価計算とMFCAの本質的な相違はどこにあるかを検討し,直面する社内リサイクル材のコスト評価方法の問題を,MFCAにおいてどのように解決できるのかについて論じる。
著者
細田 雅洋 松岡 孝介 鈴木 研一
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.122-134, 2013

本稿では,CSR促進のためのマネジメント・コントロール・システム(MCS)の実態を明らかにすることを目的として日本企業12社とインタビュー調査を行い,その結果を考察した。調査結果から,CSRと財務的成果の両立を図るためのMCSのアプローチについての示唆が得られた。
著者
足立 洋
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.68-78, 2010 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
1

近年,擬似プロフィット・センターのケースを中心として,製造部門の利益中心点化による原価改善へのインパクトが報告されている。これに対し,セーレンの工場は,真性プロフィット・センターの形をとることによって,営業部との価格交渉において実施される原価低減案の調整を通じ,製品ごとに市場環境の変化に応じた原価改善を自律的に実施していた。
著者
佐久間 智広 新井 康平 妹尾 剛好 末松 栄一郎
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.76-86, 2015 (Released:2017-04-17)

財務・非財務指標のそれぞれで投資とその効果の因果関係をマネジャーに明示することが,複数の投資案への資源配分の意思決定にどのような影響を与えるのかを検証した。学部学生を被験者とした実験室実験の結果,非財務指標による因果関係の明示が,投資から効果発現までのタイムラグがある投資案への資源配分の意思決定を改善することが示された。一方で,財務指標では意思決定は改善されなかった。
著者
加登 豊 石川 潔 大浦 啓輔 新井 康平
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.52-62, 2007 (Released:2017-04-17)

経営企画部門は,管理会計組織としての重要性が提唱されているにも関わらず,管理会計の視点からの経験的研究は少ない。そこで本論文では,郵送質問票調査から得られたデータをもとに,わが国の経営企画部門における業務にはどのような特性がみられるのか,そして同部門は,中期利益計画,予算管理の実務にどのように取り組んでいるのかについて探索的に検討する。
著者
堀井 悟志
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.37-48, 2016 (Released:2017-04-14)

本研究では,企業内アンケート調査をもとに,Adler and Chen(2011)の提示した自己決定理論と文化的自己観に基づく動機づけへの影響に関する概念モデルの検証を行った。その結果,マネジメント・コントロールが内発的動機づけ,同一視的動機づけ,そして相互依存の自己観に正の影響を与えることが検証された。
著者
渡邊 章好
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.98-109, 2016 (Released:2017-04-14)

予算と実績との間に差異が生じる場合,非効率な資源配分による損失が生じる恐れがある.本論文では,経営者がこのような損失を意識して実現性の高い予算の編成を望む場合,予算達成度に応じて管理者に支払われる報酬に上限を設ける必要があり,かつ,緩やかな水準に予算が設定される点を明らかにする.
著者
新井 康平 梶原 武久 槙下 伸一郎
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.58-67, 2012

本論文では,スタートアップ企業における予算管理システムの有効性について,経験的な調査を実施している。先行研究が限られたサンプルでしか調査を実施していないことに対して,本論文では,ひろくスタートアップ企業からデータを収集した。結果として,スタートアップ企業における予算管理システムの採用は早期の黒字化に有意に影響するという証拠を得た。
著者
坂口 順也
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.48-58, 2014

本研究では,サプライヤーの視点から組織間での情報共有,取引相手の特徴,取引の特徴が組織間協働に対して与える影響について検討したものである。検討の結果,情報共有が組織間協働の基礎となっていることや,取引相手への信頼が相互浸透を促進し,取引相手の能力が問題解決を促進していることが観察された。
著者
濵村 純平
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.167-177, 2016 (Released:2017-04-17)

本研究では,価格競争下で限界費用を下回る振替価格が選択されることを理論的に示す。過去の研究では,価格競争下では振替価格が限界費用を上回ることが示されてきたが,本研究では需要量と発注量の差が企業にとってのコストとなることを仮定し,逆の結果を証明する。
著者
谷 武幸 窪田 祐一
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.107-118, 2012

M&A後に,買収企業は被買収企業にマネジメントコントロール・パッケージとしての管理会計システムを導入することがある。新たな戦略の実施には組織変革を必要とし,このために管理会計システムが役立つ可能性がある。本研究は,京セラミタのアメーバ経営導入のケースにより,戦略実施や組織統合に対する管理会計システム導入の有効性を明らかにしたい。
著者
妹尾 剛好
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.51-61, 2011

本稿では,機能部門を事業戦略に方向づけるためにバランスト・スコアカード(BSC)が果たす重要性について仮説を構築することを目的に,キリンビール株式会社を対象とした事例研究を行った。その結果,戦略的事業単位(SBU)と機能部門間および機能部門内の上下の組織階層間のBSCの下方展開,BSCによる機能部門間の調整の問題について,複数の仮説を提示することができた。
著者
園田 智昭
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.139-149, 2010

共同配送は,企業グループが異なる数社が実施するシェアードサービスの1形態である。北海道地区における酒類企業の共同配送にキリンビールが追加的に参加したケースについては,追加的な受注の意思決定という既存の管理会計理論で説明可能である。さらに,ベンチマーク効果による知の移転が生じ,業務品質が向上することなども確認された。
著者
趙 婷婷
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.133-143, 2016 (Released:2017-04-14)

原価企画の定義や体系は,論者によって微妙に異なり,多様に存在している。本論文では,原価企画の定義に着目して,多様かつ膨大な先行研究を,網羅的かつ客観的に分析する。原価企画に関する大量な文献から原価企画の定義を取り出し,それらに対して,テキストマイニングという手法を適用することで,原価企画の「基本モデル」を明らかにする。
著者
山田 義照 伊藤 和憲
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.47-57, 2005

本稿は,バランスト・スコアカード(BSC)と方針管理の関係を,戦略の策定と実行の観点から考察する。考察の結果,BSCは戦略実行のために戦略を現場へ落とし込む仕組みが必ずしも確立されていないことが明らかとなった。そこで,戦略的マネジメント・システムを機能させるために,方針展開によって戦略を現場に伝達する仕組みを持つ方針管理とBSCを補完的に連結することを提案している。
著者
清水 孝
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.10-18, 2012-03

わが国企業が実施している原価計算実務は,『原価計算基準』の原則的な規定に依拠するものばかりではない。例外的な規定を積極的に使用したり,規定にはない方法を採用することで,変化していく生産環境に対してできるだけ適切な価値移転計算を実施しようと努力している。本稿では,調査に基づき,こうした企業の取り組みについて明らかにする。
著者
小沢 浩
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.28-39, 2002-03

従来,JITは,工程の工夫や部品メーカーの努力に焦点を当てて紹介されてきた。しかし,生産キャパシティは中期的に固定されているため,短期的な需要変動には対応できない。そこで,本稿では販売店にまで視野を広げて考察し,販売店による需要安定化が工程間在庫の低減に貢献していることを指摘した。