著者
国田 賢治 藤原 勝夫 渡辺 一志
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、(1)自発性瞬目の出現数の頚部前屈保持に伴う変化の運動経験による差異、(2)頚部前屈保持を伴う眼球運動反応トレーニング後の、眼球運動反応時間および自発性瞬目数の頚部前屈保持による変化、および(3)自発性瞬目及び随意性瞬目時の運動関連脳電位への頚部前屈保持による影響について検討した。検討の結果、以下のような知見を得た。(1)頚部前屈保持を伴う自発性瞬目数の減少は、高速ボール追従群でのみみられた。(2)頚部前屈を伴う眼球運動反応トレーニングを行うと、反応時間短縮効果がみられるようになったが、自発性瞬目数の減少効果はみられなかった。(3)随意性瞬目時のみ運動関連脳電位がみられ、その電位の立ち上がり先行時間は頚部前屈を保持すると短くなり、その電位のピークは大きくなった。
著者
清田 岳臣
出版者
札幌国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

上肢運動時の姿勢筋活動パターン及び下腿筋厚の発達的変化について検討した。被験者は、4-12歳の子ども総計176名からなる。被験者は、視覚刺激に反応して、上肢運動を行った。局所筋と姿勢筋から筋電図を記録し、姿勢筋活動開始潜時を算出した。腓腹筋・ヒラメ筋厚は、超音波スキャナーで計測した。検討の結果から、以下の知見を得た。(1)上肢運動時の姿勢制御において、体幹制御の発達が、大腿・下腿筋制御のそれに先行するが、児童期後半であっても、大腿・下腿筋制御は、まだ発達過程にある。(2)腓腹筋・ヒラメ筋の筋厚は、年齢に伴って増大し、特に、7-8歳群以降で腓腹筋の顕著な発達が認められる。
著者
大月 隆寛 岡田 顕宏 坂梨 夏代 武井 昭也 横田 久貴 飯田 俊郎 菊地 暁 赤川 智保 吉岡 精一
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

メディアコンテンツと「地域」の関係について、従来の人文社会系諸領域からのアプローチを方法的に概括し、激変しつつある現在の情報環境において有効な新たな視角を学際的・領域横断的に模索する考察を行った。文化資源としてのメディアコンテンツの視点から、富良野市および近郊にある「文化資源(文化財資産)」の調査を行い、富良野が持つ文化資源の掘り起こしと、それが町の活性化-町おこしにどう利用されているのかを歴史的に捉え現在の問題点の抽出を試みた。官民連携についての住民の意識についての調査も行い、『北の国から』がどのように記憶されているのか、当時実際に関わった人たちなどへの聞き書き取材もできる限り行った。
著者
林 恒宏 村田 真一 阿南 浩司
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、①スポーツマネジメント教育の分析枠組み(基本的視座)の整理、②大学現場で実際に展開されたスポーツマネジメント教育の課題と成果、③大学教育で図られているスポーツマネジメント教育に対してのスポーツ実践現場の見方の整理であった。今回の研究を通して①「大学側(カリキュラム・教員)」「学生側」「現場側」の3局構造をスポーツマネジメント教育の基本的視座として確認した。②「大学側(カリキュラム・教員)」の取り組みとして「実践の場」の必要性を確認した。③「現場側」の事例としてプロスポーツ球団では資格などより、新卒採用と中途採用の違いに着眼したカリキュラム策定の必要性を確認した。
著者
水野 浩二
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

2年間の研究成果は、論文3本、翻訳(部分訳)2本、研究発表2本である。まず論文。(1)「倫理的規範と人間的実践-遺稿《倫理と歴史》(コーネル大学講演)についての研究(1)-」では、一九六五年のサルトルの講演原稿をもとに、倫理的規範(日常生活において一貫している命令的構造)の特質、倫理的規範と人間的実践とのかかわり(規範を人間化する可能性)について検討した。(2)「「全体化するものなき全体化」について」では、遺稿『弁証法的理性批判』第二巻を中心に、全体化としての歴史には個人の実践があるのだが、歴史をひとつの集合体としてみた場合、歴史は個人の意識や意志を超えているように見えるところから、いったい誰が歴史を作ったのか、歴史とは、全体化するもの(作る主体)がいない全体化なのではないのか、という問題を検討した。サルトルによれば、ひとつの真理とひとつの可知性を備えたひとつの人間の歴史が存在する、という。ということは全体化するもの(歴史を作るもの)は存在することになる。しかし、それは単なる個人ではない。共同的個人である。(3)「「具体的なもの」とサルトル哲学」では、サルトルにも影響を与えた、ジャン・ヴァールの『具体的なものへ』(1932年)に触発されて、サルトル哲学を「具体的なもの」というキーワードをとおして読み直してみた。その結果、「具体的倫理」、「具体的普遍」、「具体的なものの水準としての歴史」といった言葉をとおして、サルトル哲学が、具体的なものへの運動の流れに沿ったものであることが判明した。次に、翻訳であるが、(1)ヴァールの『具体的なものへ』のまえがきと序論を訳出し、(2)遺稿『倫理学ノート』の一部を訳出した。最後に、研究発表であるが、論文の(1)を仙台の「現象学を語る会」で口頭発表し、翻訳の(2)を日本サルトル学会で口頭発表した。
著者
大山 信義 林 美枝子 森 雅人 玉山 和夫 飯田 俊郎 西脇 裕之
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.〈持続可能な環境〉及び〈コミュニティの創発性〉の条件を探るため平成11年度に引き続き北海道釧路湿原(標茶町・鶴居村・浜中町)、山形県朝日町、宮崎県椎葉村の3地域の調査を実施し、環境保全における地域住民の活動、NPO活動、住民の自然信仰が重要な条件となっていることが明らかになった。2.アイヌ民族の居住地であった釧路湿原では、カムイ伝説や開拓農民のアニミズム信仰が自然環境を保全するうえで重要な意義をもつ。また、自然感性に基づくNPO組織と農民の自主的な活動による保護運動が湿原の生態系を保護する役割を果たしている。3.朝日町ではエコミュージアム建設運動によって地域の歴史的・文化的資源、自然資源の保護するまちづくりを行っている。この運動はナチュラリストの活動と並んでコミュニティが自己組織力を高めながらコミュニティの創発性効果を生み出している。4.椎葉村では過疎化による連帯基盤の弱体化が進んでいるが、山村社会における神木信仰、生活者の土地・環境に対する強いコミットメント(かかわり)が自然環境を守る上で重要な要素となっている。5.地域の環境負荷効果については主観的評価法が有効であり、釧路湿原塘路地区での事例では環境に対する高い価値評価をしている。地元の生活者と観光客とも自然に対する強い共感が価値評価につながっていることが分かった。6.地方のコミュニティは持続的環境を生み出すため生態系保護の要請に応えようとしており、その行動は社会学でいう〈創発的反省〉の精神に立脚しているといえる。
著者
藤沢 法義 梅村 匡史 曽我 聰起
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、授業映像の簡便な撮影・編集・配信用システムを安価に構築することである。平成18年度は、(1)授業映像撮影方法への影響要素による授業分類法の検討整理、(2)ワイヤレスマイクを利用した授業映像撮影法の有効性の検証、(3)編集作業無しでビデオカメラ2台撮影映像のPinP合成を可能にするSMILジェネレータの改良を実施した。ただし、授業中に教室内を広範囲に移動する教員をカメラマン無しで撮影する方法など、適用可能な授業形態範囲を拡大する課題を残した。平成19年度は、先ず授業担当教員一人で撮影できる授業形態範囲拡大のために市販の自動追尾撮影用機材能力を評価した。その結果、超音波送信器の方向にパン動作する自動追尾回転台の性能に良好な結果を得た。ただし、被写体である教員の動作によってはパン動作が不適切になるため授業中の教員が適宜自身の動作で対応する必要があることも判明した。次に、安価、簡便に授業映像を編集してインターネット配信する手段、方法について検討を加えた。Podcastを利用したビデオ配信環境が整備され盛んに利用されている現状とモバイル機器を学習機材として利用できる可能性を重視し、授業映像をPodcast配信する手段、方法などの実証試験を実施した。その成果として、省力化可能なビデオカメラ映像ファイル保存形式やファイルコンバータ、映像編集ソフト、Podcast配信支援ソフトなどの組合せを提示した。近年、OCWやiTunes Uなどで授業映像を組織的に公開している大学が増加している。公開の有無に関係なく、特別な組織や設備が無くても教員が手軽に自身の授業映像を学習支援やFDなどに活用できる手段のひとつを本研究が提供できた。
著者
越塚 宗孝 森 雅人 梅村 匡史
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、パーソナルツーリズムにおける、地域社会と観光の調和ある観光開発に重点を置き、北海道内外の地域社会を事例として研究を進めた。その中で、次の(1)〜(3)のような提言を行った。(1)観光者、観光事業、観光地は「IT化」「環境との調和」「地域文化理解」といった現代社会のうねりを受け止め、新たな観光の姿を提示することが必要であること。(2)持続的観光政策に基づく、観光地づくりの新たな枠組みとプログラムが必要であること。(3)提供した情報によって誘導した観光者への対応は、リアル企業が質を強調して行われる必要があること。さらに、産業クラスター研究会東オホーツクの方々とのコラボレーションによって、「農林漁業者関連施設の観光面における現状及び課題に関する調査」「東オホーツク地域への市場の期待と要望に関する調査」を実施し、以下のような広域連携による自律型経済圏形成推進に関わる課題を析出した。(1)広域連携による持続的アクションプログラムの推進。(2)オンライン・オフラインによる市場とのコンタクト(3)東オホーツク地域における観光対象の質的向上。以上の調査結果と課題を踏まえ、農業や漁業と観光との関わりを基盤とする自律型経済圏形成に向けた実験プロジェクトの検討を行った。