著者
野呂 健一
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.31, pp.141-150, 2013-03

現在多くの大学で、日本語リテラシー教育、すなわち、大学での学びや日常生活で求められる日本語能力向上を目指す教育が行われている。日本語リテラシー教育を担当しているのは、日本語学や言語学の専門家であることが多いが、日本語を客観的研究対象とする日本語学の知見は、一般的には外国人学習者を対象とする日本語教育に資するものと考えられることが多い。本稿では、日本語学の知識が日本語表現能力の向上にも寄与することを、日本語表現科目のテキストの例を挙げながら考察する。
著者
山崎 征子 小田 義隆 上村 晶
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.81-90, 2011-03

近年の保育者を目指す学生は、少子化の影響もあり、入学までの間に、職場体験などによる保育所・幼稚園体験以外に、実際に子どもに関わる経験をもつものが非常に少なくなっている。そこで、子ども学科「保育原理」の授業で、学生の子ども理解を深める姿勢を作るべく「子ども発見ノート」の取り組みを2009年度から始め、その効果に関する研究を開始している。本稿は2年間の短大生活における「子ども理解」の成長に関する縦断的研究の1年目の分析にあたる。
著者
池村 進
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.123-132, 2010-03

米国ではノースカロライナ州だけでなく他の州も公立幼稚園は、公立小学校に併設されており一年保育である。私は今夏8月の一週間、ノースカロライナの州立幼稚園で教育実習の機会を得た。この州ではここ数年来、新学期は8月上旬の月曜日となっている。ここでのクラスの定員は16人で、しかも各クラスに常時一人以上のアシスタントティーチャーと専科の教員がついており、園として恵まれた人的環境となっている。学年初めということもあってか、シャイな子どもたちが多かったが、実習が進むうちにだんだんと打ち解けてきた。特に日本の文化には興味を示し、日本の歌や手遊びを嬉々としてまねをしたり、落語に出てくる面白い言い回しを日本語で楽しそうに繰り返したりしていた。しかし、アメリカ人でありながら、英語があまり話せない子どもが少なからずいたのには驚いた。
著者
武川 眞固
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.31, pp.17-27, 2013-03

本稿では、障害のある人の発言保障と参政権保障をめぐって裁判になった「中津川代読拒否訴訟」を素材にして、まず、障害のある人の参政権保障の意義を明らかにしている。次に、地方議会の議員は、発声障害をもつよえに代読拒否された経緯とその判決の検討を通して、発言保障と自己決定権(障害補助手段選択の自由)のあり方を解明し、最後に「障害のある人の権利条約」を踏まえた参政権保障の課題について、明らかにしている。
著者
高木 直人
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.29, pp.165-170, 2011-03

メイヨーは、オーストラリアからアメリカへ渡り、4つの臨床的研究を実施している。この4つの臨床的研究については、日本でのメイヨー研究の先駆者である桜井教授の著書において4つの産業調査として紹介されている。本稿においては、メイヨーがアメリカで本格的な調査として手がけた、フィラデルフィアの紡績工場(ミュール紡績部門)での産業調査を取り上げ、その概要について紹介し、この産業調査から新しく発見された事実について考察しまとめた。
著者
山崎 征子 小田 義隆 上村 晶
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.107-116, 2012-03

2009年度から「子ども理解」を深める姿勢を培う取り組みである「子ども発見ノート」の実践を開始して3年目をむかえた。本稿は、2009年度に入学した学生を対象とした継続的な「子ども発見ノート」の取り組みに関する分析の2年目にあたる。この取り組みを2年間継続したことの有効性を可視的に数値で表わすとともに、学生たちが継続して「子ども発見ノート」を記録し続けたことによって修得した学びの実態(「子ども理解」に関する成長)を考察したものである。
著者
中野 美雅
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-12, 2009-03

「読書離れ」で多くの教育者たちはそれを解決すべく、腐心しており、様々な方策を打ち出しているが、顕著な改善策になっていない。なぜそれらはあまり機能しないのか過去の文献を省みて、その原因分析を行った。その結果、読書行動の出現率を高める操作がなされていない事実を確認し、行動分析学の立場から、読書行動出現率を上昇させるための理論を紹介し、具体的な解決策を提言する。
著者
平田 祐子
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.39-49, 2011-03

中世ヨーロッパから生じた「礼儀」という概念は宗教間の差別化を意味するものから生じ、時代の流れとともに変化して社会状況や人間関係を構築するために自意識を表現するものへと進展していった。日本でも「礼儀、行儀作法、マナー」は中世・近世・近代と歴史的に展開する過程において文明社会を確立するもののひとつとして在してきたのであるが、身分の差別化や普遍性を追求したのち、現代社会におけるマナーは形式だけのものとなり、対人関係におけるストラテジーと化してきたのである。現代人のマナーの捉え方を秘書検定試験から探求し、西洋との融合化について考察したものである。
著者
佐藤 完
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.51-62, 2011-03

平成20年3月28日、厚生労働省老健局計画課の「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)」において報告書が公表された。厚生労働省は、「孤独死」とは表現せず「孤立死」としているが、一般的には「孤独死」である。千里ヶ丘における安心・安全・安寧な地域づくりに向けての経緯・現状・課題を探るものである。
著者
小池 はるか 吉田 俊和
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-9, 2012-03

目的は,共感性・社会考慮と公共の場における迷惑認知との関連を検討することである。その結果,社会考慮の高い者は,一部迷惑行為をより迷惑と認知していることが明らかになった。また,共感性の低い者は,行為を受けた場合には自己の視点から判断をするという結果が認められた。一方,共感性の高い者は自己の視点のみを取ることはしないものの,自分以外の被害者の視点を取得する場合と,行為者の視点を取得する場合があることが確認された。
著者
武川 眞固
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.25-35, 2012-03

本稿では、障害のある人の権利保障実現のための前提作業として、「障害」分類などの国際レベルの到達点をふまえつつ、憲法学レベルでの「障害」把握の位置づけ、あるいは障害のある人の権利保障とその体系化の問題を検討している。次に、憲法や障害者基本法および障害者権利条約における障害への差別禁止規定とその実効性を問うかたちで、差別禁止と「合理的配慮」の意義を検討し、最後に障害のある人の権利保障と差別禁止法等の憲法学的な課題を提示している。
著者
佐藤 完 織田 紀代子 長岡 さとみ
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.27, pp.37-42, 2009-03

人間は、必ず死を迎える生き物である。明解な事実であるが、老いを生きる高齢者にとっては避けたい事でもある。お釈迦さまが言われたように私たちは、死ぬ身を生きているのである。介護に係わる人材養成を行っている私たちは、人の生きた証としての終末期を次の世代に紡ぐ視座を模索している。社会福祉法人高田真善会・特別養護老人ホーム報徳園園長の千草は、「生まれた時にその人の死ぬ時は、約束されている」と語る。報徳園では、亡くなると本人の身近な人たちが集い、御院さんによる「枕経」が営まれる。遺族の都合に合わせ、利用者及び職員一同で「お別勤め」を行い、正面玄関より合掌・礼拝を受け見送られる。報徳園に暮らす一人ひとりにとって真に「終の棲家」となっている。一身田寺内町近隣地区における住民の生活に関する意識調査を通して老いのよそおいについて概観する。
著者
佐藤 完 織田 紀代子 長岡 さとみ
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.26, pp.51-59, 2008-03

私たちは、いつの日か人生の役割を終わる。老人福祉施設の利用者の生活を概観しながら「老いのよそおい」ついて考察をする。高齢者福祉について学ぶ学生、大学周辺に住む地域住民、老人福祉施設利用者をトライアングルの関係性について考えを深める。
著者
山本 敦子
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
no.29, pp.141-152, 2011-03

本論では高齢者の音楽療法に関する文献の中から、音楽が専門でない介護職の方や家庭で高齢者を介護されている方等、広く高齢者介護に携わる方々に向けて書かれた実践書をもとに、その内容と方法を分析することを通して、高齢者の音楽療法の実践について基本的な理解を図ることを目的とした。季節ごとの特徴を踏まえた12か月分のプログラムをもとに、「各月のテーマ例」「曲目の傾向」「回想を促す話題」「活動内容(種別、効果、活動例、留意点等)」「実践者に求められること」という視点から考察を進め、介護福祉士をはじめとする身近な介護者が高齢者の音楽活動を支援していくための方法の開拓に向けて、有用な示唆を得ることができた。
著者
小池 はるか 吉田 俊和
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-6, 2011-03

目的は、共感性・社会考慮と公共の場における迷惑行為実行との関連を検討することである。調査の結果、社会考慮の高い者は、目の前に被害者となりうる人物が少なくても、「社会」に迷惑をかけることを好まない傾向があることが示された。また、共感性の高い者は被害者が多い場合には迷惑行為を抑制するが、被害者が少ない場合には迷惑行為を実行すること、共感性の高い者が被害者の視点をとるとは限らず、別の他者の視点をとり迷惑行為を実行する場合があることが示唆された。
著者
山田 亮一
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.47-56, 2010-03

EU(欧州連合)は欧州の27ヶ国、人口5億の地域共同体として政治・経済・社旗の統合を推進している。その中で各国が独自の手法で進めてきた社会保障制度を融合しようとする動きがある。社会保障制度は各国の国民・文化・歴史によって形成されてきたものであり多様な形態で営まれてきた。比較的新しい「ソーシャルケア」についても同様に多様な制度の下で生み出されたこともあり、複雑で統一性のないものとなっている。ところで、巨大な地域共同体となってしまったEUにおいても、人口の高齢化に対応した社会保障の制度化を早急に取り組まなければならないのは日本と同様である。現在、ソーシャルサービスの供給サイドからの制度改革が進められている。その一つがソーシャルケアにおけるECL(ヨーロピアンケアライセンス)の制度化である。これはEUでの労働政策的な意味を含むものだが、ECLは2008年9月から開始されている。ここにおいてはEUの現状とECL導入の持つ意味を考察しながら制度化の持つ意味を考察したい。
著者
畠山 義啓
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.141-148, 2010-03

ワイヤレスLANをいかに有効に教育現場で活用することができるのかをAppleコンピュータのiTouchを使用して検証した。iTouchは携帯音楽プレイヤーやブラウザとしてだけでなく、専用のアプリケーションをインストールすることで、英語学習教材、英語辞書などの利用、大学の講義聴講と英語学習に活用できる可能性は高いといえる。また、ワイヤレスLANを使用するにあたってのセキュリティ上の問題は発生していない。しかし、iTunesを使ってファイルを取り込み保存するには学内PCの保存ファイル容量制限があり、本格的に導入するにはこのあたりの改善が必要である。