著者
唐沢 重考 岩崎 朝生 中島 淳
出版者
東京農工大学農学部附属FSセンター
巻号頁・発行日
no.15, pp.29-34, 2017 (Released:2020-02-03)

九州本土において初めてワラジムシPorcellio scaberを確認した。本研究で採集した標本は,1)第1胸節背板の後縁中央部がほぼ直線であること,2)第1-4胸節背板の側部後縁がS字になること,3)第1,2腹肢外肢が1個の呼吸穴を持つこと,4)腹尾節の先端が尖ること,5)第2触角の鞭部が2節で構成されること,および,DNAバーコードによる類似度検索によりP. scaberであると判断した。また,福岡市内で採集された標本には体色に変異が認められた。
著者
唐沢 重考 金澤 泰人 久保田 耕平
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.11-27, 2014 (Released:2017-07-20)

シンタイプおよび東京大学本郷キャンパスの広葉樹林内で得られた標本に基づきSpherillo obscurus (Budde-Lund, 1885)の再定義を行った.また,横浜国立大学の広葉樹林内で得られた標本に基づきS. dorsalis (Iwamoto, 1943)についての再定義も行った.さらに,種同定用のDNAマーカーを開発するため,ミトコンドリアDNAのCOI, 12S rRNA, 16S rRNA領域,および,核DNAの18S rRNA, 28S rRNA領域の一部の塩基配列を決定した.
著者
井上 沙紀 唐沢 重考
出版者
福岡教育大学
雑誌
福岡教育大学紀要. 第三分冊, 数学・理科・技術科編 = Bulletin of Fukuoka University of Education. Part III, Mathematics, natural sciences and technology (ISSN:0532811X)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.15-18, 2013-02-08

22 種のササラダニ類を対象に,歩行速度と体長および第1 歩脚器の長さの関係を調べた。その結果,歩行速度は,体長よりも第1 歩脚器の長さの影響を受けることが示唆された。
著者
青木 淳一 唐沢 重考
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.5-9, 2007-05-25
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

ササラダニ類イチモンジダニ科フタツワダニ属(新称)Fenestrellaには世界に2種が知られているが,今回沖縄本島から第3の種が見出され,新種として記載し,フタツワダニ(新称)Fenestrella japonicaと命名した.本種は後部背面にある「輪っか」が後方にまで伸びて一連の輪になっていることなどで,既知の2種と区別される.本新種を含め,本属の3種は全てアジアの亜熱帯-熱帯(ベトナム・中国・日本)から発見されている.
著者
久保田 康裕 辻 瑞樹 唐沢 重考 榎木 勉 島谷 健一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

地球温暖化に伴う生態系の応答を評価することは、地球環境科学の大きな研究テーマである。私達の研究グループは、過去10年間にわたる島嶼生態系の維持機構に関する基礎研究を行う過程で、生態系が最近の大型台風で壊滅的に撹乱され、そのインパクトが島嶼生態系の自律的な修復能力を凌駕している可能性を認識するようになった。本研究は、台風撹乱が島嶼亜熱帯林の生物多様性と機能に及ぼす影響を定量化することを目的とし、温暖化に伴う台風の巨大化や頻度変化によって島嶼生態系が転移するリスク及びそのシナリオを予測した。具体的な研究成果は以下の通り:1)台風攪乱の強度や頻度の変化は亜熱帯林の優占種の交代を促して群集の機能的構造を改変し、生産量・物質循環過程のような生態系機能に影響を及ぼす可能性がある;2)台風攪乱による森林構造の改変は、森林性の野生生物(大径木に依存した希少な着生植物やマングース等の外来種)の分布に影響を及ぼす可能性がある;3)亜熱帯林の適応的な森林管理(持続的な木材生産と生物多様性の保全)を考える場合、攪乱体制の変化は重要な要素になる。