著者
佐々木 周作 明坂 弥香 黒川 博文 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.100-105, 2015 (Released:2016-05-07)
参考文献数
24

社会的地位の上昇は長寿や健康を促進するだろうか.両者の相関関係はよく知られているが,前者から後者への因果効果を検証することは難しい.本研究では,日本で最も権威ある文学賞として知られる芥川賞と直木賞のデータを使用して,因果効果の有無・方向性・程度を分析した.具体的には,受賞者と非受賞候補者の同質性が高いと考え,受賞による社会的地位の上昇が余命にどのような影響を及ぼすかを検証した.純文学の新人賞である芥川賞では,初回候補時点から30年を経過するまでの受賞者の死亡確率は,候補者よりも67.5%程低い.予測値から算出した受賞者の平均余命は,候補者よりも3.3年程長い.一方,大衆小説作品の賞で中堅作家を主な対象とする直木賞では受賞者の死亡確率は35.4%程高く,平均余命も3.3年程短い.これらの結果は,受賞には平均余命の延命効果と短縮効果の両方が存在すること,社会経済的基盤の不安定な時には延命効果が相対的に大きいが,安定後には短縮効果の方が大きくなるという可能性を示唆している.

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

Twitter (20 users, 20 posts, 24 favorites)

https://t.co/TeEu1nxFzz 芥川賞と直木賞が寿命に与える影響が興味深い。
冒頭で参照されている論文は https://t.co/mdrBagPa30 だと思われるが、受賞時年齢も調整されたCox回帰だった。同じ方法論で受賞者と非受賞候補者を比較して直木賞と芥川賞で受賞効果が逆なのが肝だから良いのだろうが、二重対数プロットなどによる比例ハザード性の確認をしたか気になった。 https://t.co/a4OZR2gyYl
「作家の又吉直樹氏,西加奈子氏からは作家の労働実態に関して実体験に即したコメントを頂戴した.」 大竹文雄教授の番組出演時に意見を貰ったのだろうか? 佐々木ほか 2015. 芥川賞・直木賞受賞が余命に与える影響:プログレス・レポート 行動経済学 8 (0), 100-105. https://t.co/ek8g6a74BT https://t.co/Catp6my59B
J-STAGE Articles - 芥川賞・直木賞受賞が余命に与える影響:プログレス・レポート https://t.co/40l80Q131T
@tonton1965 芥川賞作家が芥川賞候補者に比べ長寿なのに対し、直木賞作家は直木賞候補者に比べ短命である、という研究が『行動経済学』誌に出ています。https://t.co/64ZN39qsRj
“行動経済学 第8巻 (2015) 100-105” https://t.co/75eSm3RImx
芥川賞の受賞は寿命を伸ばし、直木賞の授業は寿命を縮めるらしい。(受賞=社会的地位の上昇の影響を見る行動経済学的研究)因果効果の有無・方向性・程度も考慮している、この分析プロセス自体が勉強になった。 https://t.co/5r2Xp8G0Ts
母校の卒業生、川越宗一さんが直木賞を受賞されたようでとてもめでたい。
@kawauSOgood 芥川賞・直木賞を受賞するか候補者どまりかで余命が変わるという研究もございます 芥川賞は受賞で平均余命が約3.3年長く、直木賞は逆に3.3年短くなります アカデミー俳優賞は3.9年長く、脚本賞は3.6年短い MLBの殿堂入りは5年短く、ノーベル化学・物理学賞は1.6年長くなります https://t.co/UDY803I6M9
第156回芥川賞・直木賞の受賞者が発表されましたね!おめでとうございます!我々の研究によると、芥川賞受賞者は長生きできるかも(^^) https://t.co/dXnOQw1QSH
芥川賞では初回候補時点から30年を経過するまでの受賞者の死亡確率は,候補者よりも67.5%程低い.予測値から算出した受賞者の平均余命は,候補者よりも3.3年程長い.直木賞では受賞者の死亡確率は35.4%程高く,平均余命も3.3年程短いhttps://t.co/ygMb0Bauwi

収集済み URL リスト