著者
三原 博光
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.133-143, 2003-09-30 (Released:2019-04-06)

本論文の目的は、高齢者に行動変容アプローチを適用し、その方法の効果を検証することにある。そこで、在宅で生活する高齢者の被害妄想的表現が問題行動として取り上げられ、治療介入が行われた。その結果、8か月間、治療介入が実地された。面接場面においては一時的に被害妄想的表現が減少したが、治療介入の効果が維持されず、被害妄想的表現が再び増加した。高齢でしかも痴呆性が伴う高齢者の場合、行動変容アプローチの適用も困難になることが本ケースを通して示された。
著者
三原 博光 松本 耕二
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.108-118, 2012-08-31 (Released:2018-07-20)

本研究は障害児の年齢(18歳以下・19歳以上),出生順位,妻の仕事の有無に着目して障害者の父親の生活意識の検証を目的とする.方法は質問紙調査が採用され,341人(34〜81歳)の父親から回答が得られた.その結果,18歳以下の障害児の父親が学校・施設行事に積極的に参加し,妻と会話をよくしていたが,障害児をもったことでつらい経験をし,その理由として,子どものしつけを挙げていた.また,これらの父親は,障害者の働く場所の確保を行政に期待していた.出生順位は,障害児が第1子(長男・長女)の場合,その父親は社会的問題をよく考えていた.障害児が第2子(次男・次女)以降の場合,その父親は社会が障害者に対して親切であると感じていた.妻が仕事をしていない場合,父親は子どもの障害について妻とよく話をしていた.一方,妻が仕事をしている場合,父親は母親の働く場所のさらなる確保を行政に期待していた.全体として障害者の父親は,わが子の障害にショックを受けながら,母親の育児に協力をし,仕事に励んでいた.
著者
三原 博光
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.35-42, 2012-11

本研究の目的は,ドイツと日本のきょうだいの個別事例の比較研究を通して,わが国のきょうだいの支援を検討することにある.ドイツのきょうだいは,障害者自身にも独自の生活があり,障害者の存在によって自分の欲求を抑えるとは考えておらず,障害者が入所施設で生活することには否定的ではなかった.日本のきょうだいは,親が障害者の世話に時間を取られ,子どもの頃,孤独な時間を過ごしていた.きょうだいは,障害者が入所施設で生活するには否定的であり,親亡き後の障害者の世話を考えていた.日独のきょうだいは,障害者の影響から医療福祉関係の職種を選ぶ傾向にあった.日本のきょうだいは,ドイツのきょうだいに比較して,障害者のことで自分の欲求を抑え,親亡き後の障害者の世話をする傾向にあった.そこで日本のきょうだいが自分の欲求を抑えずに自由に生活ができるような福祉サービスの提供が必要とされる.
著者
三原 博光 松本 耕二 豊山 大和
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学大学院論集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.81-87, 2005-03-31

本研究の目的は、障害児の両親の育児意識を明らかにすることで、18歳以下の障害児の両親達に対して、アンケート調査を実施し、障害児とそのきょうだいに対する意識を比較することであった。その結果、73名の両親達から回答が得られた。そのなかで、両親達は、子どもと一緒にいるときの楽しさなどの子どもとの交流については、障害児ときょうだいに対して大きな相違を示さなかった。しかし、両親達は、きょうだいよりも障害児に対して悩み、特に重度の障害児の両親達は、そのような傾向を示した。子どもの将来については、両親たちは、障害児よりもきょうだいに強く期待を持ち、やはり重度の障害児の両親達にそのような傾向が見られた。
著者
三原 博光
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.153-162, 2011-02-28

本研究の目的は,学生による障害者およびその家族の余暇支援の実践例を紹介することである.方法として,県立広島大学でのビーチバレーボール・食事交流会の取り組みが取り上げられた.2009年,学生,障害者とその家族,施設職員など約100人がこの交流会に参加した.ビーチバレーボールは大学の体育館,食事交流会のカレーの調理は調理実習室で行われた.ビーチバレーボール終了後,参加者全員でいっしょに食事を行った.アンケート調査が学生,障害者家族,施設職員に対して実施された.障害者には,聞き取り調査が行われた.これらの調査から,参加者のほとんどが交流会に満足をしていたことが示された.満足した理由として,参加者同士の交流や知り合いになれたことが挙げられていた.福祉行政関係者もこの交流会へのボランティアとしての参加の希望を示し,大学,障害者家族,行政が一体となって,今後も交流会の継続が期待された.
著者
三原 博光
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.133-143, 2003-09-30

本論文の目的は、高齢者に行動変容アプローチを適用し、その方法の効果を検証することにある。そこで、在宅で生活する高齢者の被害妄想的表現が問題行動として取り上げられ、治療介入が行われた。その結果、8か月間、治療介入が実地された。面接場面においては一時的に被害妄想的表現が減少したが、治療介入の効果が維持されず、被害妄想的表現が再び増加した。高齢でしかも痴呆性が伴う高齢者の場合、行動変容アプローチの適用も困難になることが本ケースを通して示された。
著者
三原 博光
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-44, 1999-03

本研究の目的は, 行動変容アプローチによる老人の言語訓練を実施し, その介入効果を検討することである。具体的にいえば, 特別養護老人ホームで生活する87歳の女性の老人の言語的表現の増加を目標に行動変容アプローチによる介入を行なった。この老人は, 過去, 8年間, その施設に入所していた。施設で生活を始めた頃は, 他の入所者や施設スタッフと日常的会話もみられたが, 最近, この老人には, 言語的表現がほとんどみられなかった。原因として, 老化に加えて施設の限られた生活環境, 例えば, 入所者の重度化や施設スタッフの多忙さなどによって, 他の人々と話をする機会が減少したことが考えられる。そこで, 介入の目標行動として, この老人の言語的表現の増加が目標とされた。もしも彼女に言語的表現がみられたとき, 介入者は言語的賞賛と身体的接触を行った。その結果, 6か月の介入後, 以前よりも, 彼女の言語的表現数が増加した。