著者
矢野 倫太郎 関野 元裕 山下 和範 三好 宏 原 哲也
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.11-15, 2020-04-01 (Released:2020-04-13)
参考文献数
16

68歳男性。スズメバチに70箇所以上を刺され前医に入院となった。意識清明であったが受傷15時間後より,呼吸・循環不全を呈し,受傷24時間後に当院ICUへ収容となった。血液生化学検査では腎障害に加え,肝逸脱酵素とクレアチニンキナーゼの上昇を認めた。重篤な多臓器不全の状態であり,人工呼吸管理,循環管理,持続的血液濾過透析を含めた集学的治療を施行したが全身状態の改善なく,受傷34時間後に死亡した。ハチ毒は生体への直接的な傷害から多臓器不全を生じ,中毒死を起こすことがある。刺傷数が多い場合にはアナフィラキシーショックへの対応のみならず,ハチ毒中毒の合併を念頭に早期の集学的治療が重要である。
著者
三好 宏 前川 拓治
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

生体における臓器虚血再灌流障害は、生命予後を大きく変化させる。臓器保護作用をもつ薬剤として水素の腎保護作用に注目して研究を行った。ウィスターラットを使用し、麻酔施行後、気管挿管・人工呼吸を行い、両側側腹部切開にて腎臓を露出後、腎動脈・腎静脈・尿管を一塊としてクランプする。虚血時間は40分。水素の投与は、低濃度・高濃度群に分けて行った。その後、閉腹し、24時間後、48時間後に採血を行い、血中尿素窒素、クレアチニンを測定した。水素投与により、血中尿素窒素、クレアチニンの上昇が抑えられることが判明した。
著者
澄川 耕二 三好 宏 冨安 志郎
出版者
長崎大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

視覚的に疱疹の程度を評価し、熱または機械的刺激に対する閾値の低下の程度とどのような相関があるのか評価を行った。ヘルペスゾスターウイルスを右下肢に皮下注し(ウイルスは10^6、10^7、10^8 plaque-forming unitを50μlに希釈して用いる)10日後のラットは疱疹の面積と機械的または熱刺激に対する閾値の低下は負の相関を示し、アロデイニアと痛覚過敏状態を呈した。しかし、現在作成している帯状疱疹後神経痛モデルラットは2週間ほど経過すると死に至ってしまい、急性痛の評価は可能であるが臨床的に大きな問題となっている慢性痛に対する評価は難しい。また、ウイルスの投与量が少なかったり、抗ウイルス薬を増量すれば長期生存はするが皮疹や痛覚過敏の発現をみず、疼痛モデルとして不適切なものとなってしまう。今後、現在のモデルにおける帯状疱疹後急性期の疼痛メカニズムを解析するより、現在のモデルを改良して帯状疱疹慢性期のメカニズムを検討できるモデルを作成するほうが臨床的に意義の高いことだと考え、ウイルスの量、抗ウイルス投与量とタイミング、疼痛反応測定の時期等を調整、もしくは何らかの新しい技術を導入し試行の予定である。