著者
三隅 良平 真木 雅之 岩波 越
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.697-704, 2011-08-31
参考文献数
16
被引用文献数
1
著者
真木 雅之 前坂 剛 岩波 越 三隅 良平 清水 慎吾 加藤 敦 鈴木 真一 木枝 香織 Lee Dong-In Kim Dong-Soon 山田 正 平野 廣和 加藤 拓磨 小林 文明 守屋 岳 鈴木 靖 益田 有俊 高堀 章
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.11, 2008

次世代の豪雨強風監視システムとして,防災科学技術研究所が複数の研究機関,大学と連携して進めているXバンドレーダネットワーク(X-NET)の概要について述べた.2007昨年度に準備を終了し,2008年と2009年の試験観測を通じて以下の項目に焦点を当てた研究をおこなう.•首都圏上空の雨と風の3次元分布(時間分解能6分,空間分解能は数100m~500m)の瞬時集約と配信.•上記の情報に基づく豪雨域,強風域の検出と監視.•外そう法による降水ナウキャスト,およびデータ同化した雲解像数値モデルによる降水短時間予測.•局地気象擾乱の構造,発生過程,発生機構の理解.•都市型災害の発生予測手法の高度化.•気象学,防災研究,気象教育,建築,都市,交通,電力,通信,情報,レジャー産業などの様々な分野における基礎的な気象データベース作成.
著者
三隅 良平
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.107-121, 1994-02-25
被引用文献数
1

降水量、地上気温、海面気圧のデータを用いて、1990年以降の梅雨期の降水量の数十年スケールの変動の特徴を記述し、大規模場の変動との関係を調べた。日本全国を平均した梅雨期の降水量は、1924年から1944年(期間I)には少雨傾向を示していたが、1950年頃に増加し、1952年から1972年まで(期間II)多雨傾向を示した。この数十年スケールの変動は、日本の南西部で大きな振幅を持っていた。期間Iと期間IIの間で、つぎの気象要素に有意な変動が見られた;1)日本の西部での南北温度傾度(増加)、2)日本の、30゜Nと40゜Nの間の緯度帯での海面気圧(減少)、3)マニラの降水量(減少)。東日本の南北気圧傾度、及び日本の地上気温のEOF第1主成分は、梅雨降水の年々変動と相関するにもかかわらず、期間Iと期間IIの間で有意な変動は見られなかった。解析結果は、期間Iから期間IIにかけての梅雨降水の増加が、亜熱帯の循環の長期変動と関係していた可能性を示唆する。1950年頃の梅雨降水の増加に関して、仮説的なプロセスを提案する。
著者
三隅 良平
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.101-113, 1996-02-25

1993年8月9日の夜, 台風9307が日本の南部に接近し, 大隅半島に多数の土砂災害を伴う豪雨を発生させた. この豪雨の興味深い特徴は, 降水量が山脈の風下側で著しく多かったことである. 山脈風上側の観測地点では9時間雨量が80mmであったのに対して, 風下側では大部分の観測地点で150mmを超えた. また, すべての土砂災害は山脈の風下側に発生した. この豪雨は, 主として台風の眼の壁雲とレインバンドの間の領域でおこった. 豪雨の期間中, 山脈の上層に強いレーダーエコーが頻繁に出現した. 山脈の風下側で降水量が増加する過程を, 2次元モデルによる数値シミュレーションで調べた. シミュレーションの結果は, 降雨が主としてシーダ・フィーダ機構によって強められていたことを示した. すなわち, 上層の雲から落ちてきた降水粒子が, 地形性上昇流によって形成された雲粒を捕捉することによって成長し, 山脈上で成長した粒子が, 台風に伴う強い風によって風下側に運ばれたと考えられる. また別の機構として, 山岳波に伴う下降流が, 局所的に多量の雪粒子を下層に運ぶことも, 風下側の降雨量の増加に寄与していたと考えられる.
著者
三隅 良平
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.177-188, 1998-08-31
被引用文献数
1

A forecast experiment of landslide is conducted with the use of a mesoscale rainfall model. The rainfall model is physically based, which predicts rainfall at 2 km grid intervals. The predicted rainfall is inputted into an empirical formula and the occurrence of landslide is evaluated. We applied the model to the landslide disaster caused by Typhoon 9307. The model predicted 48% and 82% of the study area as the occurrence regions of severe and non-severe landslides, respectively. Actually two severe and nine non-severe landslides occurred in these regions. The results suggest the possibility of landslide forecasting with the use of a rainfall model. However, some problems were pointed out through the experiments; for example, the predicted landslide regions were too wide compared with the actual ones. We discuss how the problems will be improved.
著者
三隅 良平 圓山 憲一
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.567-580, 2008-07-31

豪雨が発生するとき, 10^<-4>s^<-1>オーダーのメソスケールの収束場がしばしば検出される.下層空気の収束によって積乱雲の降水が強化される過程を理解するため,ビン法雲物理モデルを搭載した2次元軸対称モデルを用いて数値実験を行った.梅雨期に典型的な,下層が湿った対流不安定の環境では,積乱雲とともに,下層空気の収束によって下層雲がつくられる.この下層雲は,積乱雲の降水を強める2つの重要な働きをする. 1つは潜熱の解放によって下層に循環をつくり,メソスケール収束場から期待される以上の水蒸気を積乱雲に取り込むこと,もう1つは積乱雲で生成される雨滴の併合成長を下層で活発にすることである.夏の雷雲発生時に見られるような下層が乾いた環境では,収束場があってもこのような下層雲が形成されず,また流入した水蒸気の多くが大気の加湿に使われるため,積乱雲の降水は梅雨期ほどには強化されない.