著者
小野 浩
出版者
労働政策研究・研修機構
雑誌
日本労働研究雑誌 (ISSN:09163808)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.15-27, 2016-12

長時間労働の是正は働き方改革の最優先課題である。労働時間を減らし,仕事と生活が両立できるような働き方を実現させるため,国は政策・法律を施行し,企業は報酬制度,インセンティブを改めるなど試みを重ねてきた。しかし日本の正規労働者の総労働時間は1990年代から一向に減っていない。本稿では長時間労働問題の本質は,政策や法制度といった「見える」ところではなく,社会規範や雇用慣行に埋め込まれた「見えにくい」ところにあると考える。長時間労働問題の説明力を高めるには,報酬・評価制度などを取り入れた経済学的アプローチと同時に,社会的コンテクストを考慮したより社会学的な考察が必要だ。長時間労働は日本的雇用慣行の制度補完性とその背景にある文化的特性が生みだした副産物である。問題の原因としては,インプット重視社会,シグナリングに頼る雇用慣行,働き方に組み込まれた集団意識と上下関係,内部労働市場,曖昧な職務内容,男女間性別分業といった要素を明らかにする。最後に,長時間労働を減らすにはどうすべきかを考える。
著者
小野 浩
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.68-76, 1995-05
著者
小野 浩明 高橋 幸利
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.58-60, 2010 (Released:2016-05-11)
参考文献数
10

インフルエンザ脳症では情動異常や行動異常などの側頭葉辺縁系症状が前駆症状として出現することがある. しかし, インフルエンザ罹患に伴う辺縁系脳炎自体の報告例は稀である. 今回, インフルエンザ感染を契機に情動障害, 異常行動を呈した12歳女児例を経験した. 症状が遷延したためステロイドパルス療法を施行し, 以後軽快した. 頭部MRIでは異常を認めなかったが, 脳血流検査において側頭葉辺縁系の血流増加と髄液中抗グルタミン酸受容体抗体陽性を示したことから本例を辺縁系脳炎と診断した. インフルエンザで異常行動が遷延する場合は辺縁系脳炎の可能性も考慮し, 自己抗体の検索, ステロイドを含めた治療法の選択を検討するべきかと思われた.
著者
二宮 隆次 小野 浩幸 高橋 幸司 野田 博行
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.93-104, 2016 (Released:2016-07-07)

本研究では、産学官連携の現場の諸活動について、大量の質的(定性的)データを基に計量的分析を実施し、可視化した情報として提供することを試みた。具体的には、日経産業新聞の連載記事「ベンチャー仕掛け人」を、テキストマイニング手法「KH Coder」を用いて分析した。その結果、①大学の共同研究センター等を中心とした産学官連携活動、②インキュベート施設を中核とした活動、③資金に関するベンチャーキャピタルや金融機関を中心とした活動、のそれぞれの活動において、出現する言葉に特徴があることが明らかになった。また、特徴的な3つのグループにプロットされた語から特定語を選択して共起分析した結果、①の「産学」による分析では、研究、開発、技術および連携の4つ語が強く共起関係を結び、加えてそれぞれの語がほかの関連語とネットワークを結び、産学官連携の活動パターンを形成していることが確認できた。②の「施設」と「入居」による分析では、主たる活動は起業、事業を育成することであることが見て取れた。施設と入居の語の共起分析から、施設には入居タイプと入居がないものがあり、入居は技術、経営の語の共起関係が比較的高く、施設は、地域、開発および相談が高いことがわかった。③の「上場」と「ファンド」による分析では、起業・研究フェーズでの事業の元手となる出資やベンチャーキャピタル、実用化・会社設立フェーズでのファンド・株式、事業経営の維持・拡大フェーズでの銀行等金融機関の融資などが共起していることが確認された。以上のことから、本研究は、産学連携活動を効率的、かつ、効果的に実施するうえで重要な情報を提供しうるものと考えられる。
著者
小野 浩
出版者
城西大学
雑誌
城西人文研究 (ISSN:02872064)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.194-154, 1982-01-10
著者
小野 浩
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.47-67, 2006-05-25 (Released:2017-08-09)
参考文献数
80

This paper aims to clarify the circumstances of the housing problem in Tokyo after Kanto Daishinsai [the Great Kanto Earthquake of 1923] mainly in relation to the supply and demand on the rental housing market. Based on the marked increase in housing demand following the earthquake, excessive housing investments were made in the suburbs of Tokyo city. However, the increase in housing supply in Tokyo city, on the one hand, and the increase in tenants due to intensification of the recession, on the other, widened the gap between supply and demand by area. The focus of the housing problem shifted from an absolute lack of housing into a problem of affordability. By the end of the 1920s, dissatisfaction intensified among low-income tenants who were shut out of the private rental housing market. From 1929 to 1930, rental rates decreased in general under the influence of a decline in prices and a movement for rent reduction.
著者
小野 浩一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.307-313, 1983-12-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
16

The degree of confidence under uncertainty can be described by two aspects: cognitive and behavioral. The present study was designed to examine the relationship between cognition and behavior by measuring confidence scores and conforming responses to cue information in two-choice prediction situation. Probability of cue information being positive was 1.0, .75, .5, .25, and 0. The main results were as follows: (a) Both confidence scores and conforming responses depended on cue information, but while asymptotic confidence scores approximated the probability of positive information under any condition, rates of conforming responses exceeded the probability of positive information except under a 100% condition, (b) in the early stage of trials the pattern of conforming responses markedly differed from that of confidence scores, and (c) confidence scores changed sensitively according to accuracy of cue information. These findings suggest that confidence and behavior result from different sources respectively, and that many biases appear particularly in behavioral aspect.