著者
神野 由紀 辻 泉 山崎 明子 溝尻 真也 中川 麻子 飯田 豊 塩谷 昌之 塩見 翔 松井 広志 佐藤 彰宣 今田 絵里香
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

大量生産の既製品が安易に購入できるようになった20世紀半ば、自己表現としての手作りが大衆化していく。本研究では雑誌調査などから、女性の手芸に対して男性は工作と呼ばれる手作り趣味が興隆した背景を明らかにした。男女の手作りは近代的なジェンダーの枠組みの中で、それぞれの領域を発展させていった。両者の関係は女性解放運動の影響、あるいは男性の家庭生活への接近などにより揺れ動きつつも、それを完全に越境することが困難な時代が続いた。しかし今日、こうしたジェンダーの枠組みを超えるような新たな手作りの文化も生まれてきていることも明らかになった。
著者
中川 麻子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

「美術染織」とは、明治から大正時代にかけて制作された絵画的な染織作品であり、近代染織を語る上で重要な存在である。本稿では明治時代初期から1893年(明治26年)頃を対象にし、国内外の博覧会に出品された染織作品について検討を行った。1876年(明治9年)フィラデルフィア万博出品の成功を受けて、内国勧業博には多くの絵画的な染織作品が出品された。また業者によって積極的に新しい技術の開発が行われ、1882年(明治15年)前後にはますますこの傾向が強まった。1886年(明治19年)京都色染織物繍纈共進会の出品分類に現れた「美術色染」「美術織物」の語は、染織分野に初めて「美術」の語が持ち込まれた例であり、はじめて《美術染織》概念が誕生した。1889年(明治22年)パリ万博では染織作品が「美術」とは認められなかった。しかし1893年(明治26年)シカゴ万博において、平面的かつ大型で、観賞用の性質が強い作品が美術部出品を果たし「美術的織物」と呼ばれ絶賛された。このシカゴ万博を機会に《美術染織》の概念と「平面」、「大型」、「鑑賞用」という作品形式が確立した。
著者
中川 麻子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.6_51-6_60, 2012 (Released:2012-05-30)
参考文献数
33

「美術染織」とは、明治から大正時代にかけて制作された絵画的な染織作品であり、近代染織を語る上で重要な存在である。本稿では明治時代初期から1893 年(明治26 年)頃を対象にし、国内外の博覧会に出品された染織作品について検討を行った。1876 年(明治9年)フィラデルフィア万博出品の成功を受けて、内国博には多くの絵画的な染織作品が出品された。また業者によって積極的に新しい技術の開発が行われ、1882 年(明治15年) 前後にはますますこの傾向が強まった。1886 年(明治19 年)京都色染織物繍纈共進会の出品分類に現れた「美術色染」「美術織物」の語は、染織分野に初めて「美術」の語が持ち込まれた例であり、はじめて《美術染織》概念が誕生した。1889 年(明治22 年) パリ万博では染織作品が「美術」とは認められなかった。しかし1893 年(明治26 年) シカゴ万博において、平面的かつ大型で、観賞用の性質が強い作品が美術部出品を果たし「美術的織物」と呼ばれ絶賛された。このシカゴ万博を機会に《美術染織》の概念と「平面」、「大型」、「鑑賞用」という作品形式が確立した。
著者
中川 麻子 森田 舞 嶺野 あゆみ 浅田 晴之 前田 明洋 大澤 清二
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.26, pp.535-541, 2016 (Released:2016-11-26)
参考文献数
9

女性の選好からみたオフィス環境およびアメニティ空間における家具に関して,「かわいい」の語をキーワードとし調査研究を行った.326脚の椅子のサンプル写真から,印象・形態・所有意識に関する37項目を設定し女子大学生による評価を行い,結果を統計的手法によって分析した.その結果,評価項目「かわいい」と「座りやすそう」の双方の評価が高い椅子は見ることはできなかった.またサンプル写真の評価を集計し,クラスター分析したところ,6つのクラスターを構成することが明らかとなった.「くつろぎ感」と「ボリューム感」の2軸を用いて,椅子の位置付けをポジショニングマップに示すことができた.