著者
辻 泉
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.119-145, 2002-03-20 (Released:2020-03-31)
参考文献数
35

In Japan, in the last 20 years, there have been several booms in consumption of sexual symbols. I have observed the last and biggest one (“The secondary high-school girl boom”) and intend to reveal the mechanisms behind these booms.On this connection, there have been two explanations. The first one is criticism of commercialism in mass media and the second one is criticism by essentialistic feminism. These two can explain why the booms arose, but cannot explain why they ended. Therefore, I have introduced a new concept of “eroticism for taboo.”Today, the older generation regards the sexual behavior of adolescent girls as taboo, in contrast with that of adolescent boys. This phenomenon is the so-called “double-standard of sexual norms.”I surmised that the booms arose from “eroticism for taboo”. But, as the booms arose, the behavior (consumption of sexual symbols regarding adolescent girls) became acceptable. So, I think that the booms ended also by “eroticism for taboo”.I have confirmed these facts by the content-analysis of weekly magazine articles.
著者
神野 由紀 辻 泉 山崎 明子 溝尻 真也 中川 麻子 飯田 豊 塩谷 昌之 塩見 翔 松井 広志 佐藤 彰宣 今田 絵里香
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

大量生産の既製品が安易に購入できるようになった20世紀半ば、自己表現としての手作りが大衆化していく。本研究では雑誌調査などから、女性の手芸に対して男性は工作と呼ばれる手作り趣味が興隆した背景を明らかにした。男女の手作りは近代的なジェンダーの枠組みの中で、それぞれの領域を発展させていった。両者の関係は女性解放運動の影響、あるいは男性の家庭生活への接近などにより揺れ動きつつも、それを完全に越境することが困難な時代が続いた。しかし今日、こうしたジェンダーの枠組みを超えるような新たな手作りの文化も生まれてきていることも明らかになった。
著者
吉井 博明 松田 美佐 羽渕 一代 土橋 臣吾 石井 健一 辻 泉 三上 俊治
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

日韓台の携帯電話及びインターネットの利用実態を調査した結果、日韓台ともにほぼ同じ頃に急速に普及したという点では同じであるが、その利用形態には大きな違いがみられることを実証することができた。また、これらの通信メディアの使い分けは、各国・地域のコミュニケーション文化を色濃く反映する「通信文化」と呼ぶべきものが存在し、それに強く規定されていることがわかった。たとえば、韓国では、携帯電話を通話に使うことが非常に多く、日本では通話よりメールがよく使われている。この背景には、親しい人への連絡手段の選択に際して、相手が置かれている状況への配慮をどの程度すべきかというコミュニケーション文化の違いがある。韓国の場合は、「ウリ」と呼ばれる親しい集団の間では、遠慮をすることがあってはならないという文化があり、通信手段の選択に関しても遠慮しないことが求められ、その結果、リッチネスが高いメディアである、通話が積極的に使われる。これに対して日本では、親しい人への連絡に際しても、相手への配慮を欠いてはいけないとする「抑制」のコミュニケーション文化があり、このためメールが多用されるのである。また、日台の携帯電話利用の比較をしてみると、もっとも大きな違いは、利用の効用として「家族とのコミュニケーションが増えた」ことをあげる人の割合が日本では少ないのに対して、台湾では非常に多いことがあげられる。携帯電話利用がその社会でもっとも親しい集団の凝集力を強化する働きがあるという点では共通しているが、それがどの集団化ということになると、台湾では家族であり、日本ではふだんよく会う友人集団、韓国では「ウリ」という仲間集団ということになるのである。以上述べたように、日韓台の比較調査により、それぞれの国や地域に固有な通信文化が存在し、それが携帯電話を含む通信メディアの使い分けを規定していることがわかった。
著者
浅野 智彦 川崎 賢一 羽渕 一代 岩田 考 辻 泉 川崎 賢一 岩田 考 羽渕 一代 辻 泉
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

韓国・ソウル市および東京都杉並区において16 歳から29 歳の男女を対象にパーソナルネットワーク、自発的集団への参加状況、社会的参加、政治的参加の各領域について量的調査を行った。その結果を統計的に分析した結果、集団所属の多元性および親密な友人関係が社会的参加・政治的参加を促進すること、ソウルとの比較において東京の若者が学校外の活動において不活発であることが明らかにされた(なお高校段階での部活については、社会的参加・政治的参加との関連がみられなかった)