2 0 0 0 悪性黒色腫

著者
栗原 浩幸 金井 忠男 金井 慎一郎 金井 亮太 赤瀬 崇嘉 中村 圭介 高林 一浩 神藤 英二 上野 秀樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.996-998, 2018-06-25

疾患の概念 悪性黒色腫(malignant melanoma)は,神経堤起源細胞でメラニン産生細胞であるメラノサイトに由来する悪性腫瘍であり,本邦における悪性黒色腫の罹病率は1.12人/10万人とされている1).消化管の悪性黒色腫は非常にまれであり,大部分は皮膚を原発としたものの転移である.消化管原発の悪性黒色腫の主な部位は,食道と直腸肛門部であり2),肛門部の悪性黒色腫は,全悪性黒色腫の0.2%,直腸肛門部の悪性腫瘍の0.5%と極めて少ない3).好発年齢は50〜70歳代で,女性に約2倍多いとされる4). 症状は肛門出血が最も多く,肛門部腫瘤,肛門痛,便通異常などを訴える5).悪性度が極めて高く,早期からリンパ行性はもとより血行性に肺・脳・骨・肝などに転移を来す.
著者
中村 圭介 石田 浩 佐藤 博樹 仁田 道夫 石田 光男 本田 由紀
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1.ホワイトカラーの業績管理の方法には三種類ある。第一の方法は売上高、利益率・高、費用など経営指標を部、課レベルに分割し、その達成状況を定期的にモニターし、進捗の遅れを発見した場合にその原因を探り、対策を講ずるというものである。第二の方法は経験的に割り出された目標値(たとえば開発にかかる時間等)を実績値と常に比較し、乖離が発見された場合にその原因を探り、対策を講じるというものである。第三の方法は、スタッフ部門などでみられるが、具体的な数字目標なしに定性的目標(定性的な年度計画など)の達成状況を定期的にモニターするというもので、もっとも緩やかな方法である。これらの方法で部門の成果を定期的に測定し、計画の遅れや乖離を発見し、対策を考案、実施している。これが部門別業績管理の仕組みと実際である。いわゆる成果主義的人事管理は、こうした部門別業績管理のありようを前提として設計され、目標達成に責任を負える立場にいる者(課長以上の管理職)を対象にしている場合にのみ、順調に機能する。もっとも、部門別業績管理の仕組みがきちんと出来上がっていれば、それと別の論理によって人事管理制度をつくりあげることは可能であり、私たちの事例でもそうしたケースはみられた。2.成果主義的人事管理はホワイトカラー個々人を評価することにつながり、これに呼応するように自らのキャリアを自らが開拓するホワイトカラーも増えつつある。社会人大学院は彼らにとって貴重なステップをなす。社会人大学院修了者の半数以上が外部労働市場への志向をもち、定着志向の者であっても企業内でのキャリア展開に大学院教育の経験が反映されていることを認めている。3.今後、本を2冊程度、刊行する予定である。
著者
中村 圭介
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3/4, pp.57-75, 2011-03-15

1994年に日本の労働組合員数は1,270万人と戦後最高を記録した. しかし, それ以降, 組合員数は減り続けた. この縮小トレンドは2007年に止まった. それをもたらしたのは, 1つには企業別組合による非正規労働者の組織化である. 非正規に職場を侵食された企業別組合は, 経営不安などをきっかけに, 集団的発言メカニズムの危機, 代表性の危機を察知し, 自らを守るために非正規の組織化に乗り出した. 他方で, 縮小トレンドのストップにはさほど貢献しているわけではないが, 地域に根を張り, 一般組合主義に基づいて, 企業, 産業, 職業, 雇用形態に関わらずに, 小零細企業で働く未組織労働者を組織化する「新しい主体」の活躍が目立つようになってきた. コミュニティ・ユニオン, 地域ユニオン, ローカル・ユニオンなどである. これらのユニオンは, 地域で暮らし働く労働者たちに労働組合というセイフティネットを提供している. そこに重要な機能がある. この2つの新しい動きを推進していくことが, 企業の外への関心の弱きと非正規労働者への配慮の少なさという企業別組合が持つ2つの短所を克服し, 日本の労働組合を再生させる契機となるかもしれない.
著者
末廣 昭 中村 圭介 丸川 知雄 上村 泰裕 株本 千鶴 木崎 翠
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は東アジア7カ国・地域(中国、台湾、韓国、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア)における国家の社会保障制度の仕組みと企業内福祉の実態を比較することを目的とした。国家の社会保障制度については、(1)年金制度、(2)健康保険、(3)労災補償、(4)失業保険の4分野に注目し、企業内福祉については、(1)有給休暇、(2)社宅、食事手当、子弟の学資補助、退職金制度などの福利厚生の提供の有無、(3)労働総費用に占める法定福利と法定外福利の比率、(4)企業内福祉に対する経営側の方針、の4つを主な調査対象とした。企業内福祉に関する国際比較は初めての試みである。平成17年度は文献調査と予備的な現地調査を実施し、その成果として『東アジアの福祉システムの行方:論点の整理とデータ集』(2006年2月、398頁)を刊行した。次いで、平成18年度は企業アンケート調査を実施し、約800社について回答を得た。平成19年度には回収した企業アンケートの集計とデータ・べースを作成し、平成20年2月に、372ページの最終報告書『東アジアの社会保障制度と企業内福祉:7カ国・地域の国際比較』をとりまとめた。調査から得られた知見は以下のとおりである。(1)有給休暇については、各国・地域とも労働法が定める有給休暇の枠内で提供しているが、各国に固有の休暇が存在すること。(2)企業が提供する福利厚生については、モノ志向ではなく金銭志向(補助金の支出)が強いこと、韓国の場合には、子弟の学資補助が際立って高かったこと。(3)法定福利の現金支給に対する比率は、中国、シンガポール、韓国、台湾と続き、タイ・インドネシアが低かったこと。他方、法定外福利の比率は韓国・台湾が高く、シンガポール、中国が低かった。(4)企業内福祉への方針は、いずれの国・地域でも9割以上が重視する意見を示したが、賃金・ボーナスをより重視すべきという質問には国・地域でばらつきが見られた。
著者
中村 圭介
出版者
武蔵大学経済学会
雑誌
武蔵大学論集 (ISSN:02871181)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.p49-87, 1990-07
著者
中村 圭介 前浦 穂高
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.113-136, 2004-11-12

地方公務員(非現業)の労働基本権は制約されている.まず争議権は否認されている.団体交渉権は認められているものの,交渉事項は労働条件などに限られており,また団体協約を締結することは認められていない.しかし,法解釈によれば,組織,政策など管理運営事項について,当局側が任意に労働組合と意見交換を行い,それによって得られる情報を行政の円滑な運営に役立てることはさしつかえないとされている.本稿ではある県と市で生じた組織再編-農業改良普及センターの再編統廃合とワンストップサービス実現のためのグループ制の導入-をめぐる労使協議の実態を探った.主要な発見は次の点である.第1に,労働組合はいずれのケースでも,関係職場の組合員の声を吸い上げ,当局側と協議を行っている.第2に,労働組合のスタンスは建設的である.農業改良普及センターの事例では,自らの普段の仕事を冷静にみつめなおし,独自の組合案を作成し,グループ制導入の事例では,それによる組織機構の歪み,非効率を指摘している.第3に,こうした労働組合の真しな意見を当局側が聞き入れるかどうかが労使協議の成果を左右する.組織再編は組合の意見を聞き入れ当初案を修正した県では成功し,そうすることのなかった市では失敗に終わっている.