著者
森 恵美 前原 澄子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.22-32, 1991-06-10 (Released:2012-10-29)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

産婦の不安の軽減のために, 分娩準備教育のプログラムの1構成要素であるRelaxationの技法に関して, 自律訓練法を教授することにより, その効果を検証することを目的として研究を行った.自律訓練法習得群(11名), 自律訓練法未習得群(21名), 自律訓練法未訓練群(12名)の3群について,分娩経過に沿って, 状態不安・産痛・血圧・脈拍数・神経筋コントロール力・ラマーズ法評価を測定し, 評価した. その結果, 自律訓練法習得群と他の2群との間には, 分娩第1期の終わりである極期において, 状態不安・産痛の感覚的評価指数・神経筋コントロール力判定結果・ラマーズ法評価得点に, 明らかな差がみられた.陣痛間歇期の血圧・脈拍数においては, 自律訓練法習得群の平均値が他の2群より低かったが, 有意差はなかった.以上により, 産婦の不安の軽減や産痛の緩和のために, 分娩前からRelaxationの技法を教授することにより, 産婦の不安の軽減や産痛の緩和に有効であることが明らかになった.
著者
江守 陽子 前原 澄子 工藤 美子 森 恵美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

母子相互作用において、近年もっとも注目されているのは母子の行動心理学的な作用であろう。見つめあい、タッチング、抱いて揺するなどは効率よく子供の注意を喚起する効果が認められている。こういった相互作用によって母と子がしっかりと結ばれ、また、それによって子供の成長が促進されるのであれば、看護者はできるだけ長く、かつ有効にその機会を持つような援助を考えるべきであろう。本研究では母親が子どもを抱いてあやすという行動に着目し、それが児にどのような影響を及ぼすのかを観察した。その結果は以下の5点に要約できた。1.抱くという刺激は児を泣きやます効果が認められる。2.たて抱きは、刺激直後の児の覚醒状態を急激に下げ、その後、穏やかに下降させる。すなわち、児を泣きやますには即効性があり、敏活な状態にする効果が認められる。3.横抱きは、刺激直後の児の覚醒状態は穏やかに下降し、その後(40〜80秒後)、さらに下降する。4.抱き上げずに布団を掛けるだけでは児の覚醒レベルの変化は認められなかった。5.啼泣の中止や敏活性を高める目的では運動感覚に対する刺激が有効である。
著者
三隅 順子 前原 澄子 森 恵美 Misumi Junko Maehara Sumiko Mori Emi ミスミ ジュンコ マエハラ スミコ モリ エミ
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.16-22, 1996-06-28

本研究では,夫付き添い分娩において産婦の不安の軽減に効果のある夫の関わり方を明らかにすることを目的とした。対象は,研究協力の得られた25組の夫婦であり,医学的に問題のない18歳から35歳までの初産婦とその夫であった。産婦の不安を測定するために分娩中に主観的な不安と痛み,そして生理的指標として血圧・脈拍について測定し,また夫の関わり方については,極期において約90分の観察とコード記録を行った。その結果,夫の「手を握る」関わりの割合と産婦の状態不安の変化には相関(r=-0.66, p<0.05)があり,夫が産婦と共に過ごし「手を握る」ことは産婦の不安の軽減に役立っていたことがわかった。また,産婦の不安には産婦の性格や夫との関係が影響していることが考えられた。The purpose of this study was to evaluate the effects of husband's attendance attitude to reduce maternal anxiety in labor and delivery. The subjects who expressed informed consents were 25 married women and their husbands. Women were 18 to 35 years old primiparas, with no complicating medical or obstetrical conditions, and no physiological and psychosocial ploblem. In order to measure maternal anxiety, the self reported anxiety and labor pain were provided during labor and delivery. And also blood pressure and puls were measured. Husband's attendance attitude was observed and coded about 90 munites at labor room. Finding was that husband's attitude as ""taking wife's hand"" was beneficial effects to reduce maternal anxiety. This means that it's very important that husband stay with wife with feeling the sympathy of her experience. And characters of women and marital adjustment were produce effects on maternal anxiety.