著者
岩江 荘介
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.42-54, 2006-10-24 (Released:2018-02-01)

Genetic information that results from genetic testing reflects the patient's condition, and a part of it is shared with genetic relatives of the patient. Therefore, in cases in which a patient's genetic information indicates the presence of genetic disease, his genetic relatives may suffer (or have suffered) the same disease, as well. The informational consequences of genetic testing cannot be evaded. Thus, in genetic testing, the issue of treatment of genetic relatives is of great importance. The issues of breaching of confidentiality and the duty to warn by physicians have been discussed in accepted theories of bioethics. In such theories, the duty to warn genetic of risk of disease relatives is considered a benefit to them, though this does not take into account the disadvantages to genetic relatives of being informed of disease, e.g.,, distress after being informed that they have the risk of genetic disease. In this paper, I discuss handling of such information from a viewpoint other than that of breaching of confidentiality by physicians. It is important to recognize that genetic relatives have two rights, 'to know' and 'not to know' about their risk of genetic disease. In modern medicine, we accept the principle of self-determination. But, in genetic testing, we must take account of the genetic relatives' rights at the same time. I examine how genetic relatives should participate in genetic testing.
著者
岩江 荘介
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.241-251, 2007-09-20 (Released:2017-04-27)
参考文献数
33

遺伝医療の発展と共に、遺伝子診断など遺伝子情報の用途は拡大の一途をたどっている。これまで遺伝子情報に関する生命倫理研究では、「遺伝子情報は、他の医療情報と明確に区別しなければならない程の特殊な性質を持っているか?」という「遺伝子例外主義」の是非を巡って盛んに議論されてきた。一方で、わが国では、遺伝医療の急速な発展に対応するためのルール整備が非常に遅れている、と指摘されている。そこで、わが国の生命倫理研究においても、遺伝子情報の性質や社会に与える影響を冷静に考察しながら、具体的な問題解決を目指した政策的な議論へと重点を移すべき時期にあると考える。本稿では、政策的な議論をする上で有益な示唆を与えてくれるRothsteinの論文について紹介する。そして、わが国の医療情報の取り扱いに関する規制状況を概観し、その問題点を指摘する。
著者
山中 浩司 岩江 荘介 香取 久之 野島 那津子 樋口 麻里
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究期間中、希少疾患当事者53件(医療費公費負担対象疾患(インタビュー実施時)25件、2)その他希少疾患20件、3)未診断8件)に対して56回のインタビュー調査を実施した。うち、40件については、2017年3月に、病の経験と社会的認知に関係する11項目について中間報告書(162頁)をまとめ、関係者に送付し、概要を協力団体のウェブサイトに掲載した。40件の聞き取りデータ(のべ76時間)から、希少疾患患者における「社会的宙づり状態liminality」を明らかにし、成果の一部については、国内外の学会で報告を行った。また、こうした状態の中核をなす就労問題について、関係者から意見聴取も行った。
著者
柘植 あづみ 武藤 香織 洪 賢秀 熱田 敬子 岩江 荘介 八代 嘉美 粥川 準二 小門 穂 仙波 由加里 張 チョンファン 三村 恭子 渡部 麻衣子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

医療技術の開発/応用とジェンダーの関係を検討するために日本、韓国、アメリカ等での遺伝子技術、生殖技術、再生医療研究の患者/利用者、研究者への聞き取り調査を実施し、さらにインド、中国などの情報を収集した。そこから医療技術の開発/応用にジェンダー役割が無批判に受容され、それが技術を要請する根拠になることを示した。その上で新しい医療技術の規制を考える際にジェンダーの視点の必要性を指摘した。