著者
柘植 あづみ 菅野 摂子 田中 慶子 白井 千晶 渡部 麻衣子 石黒 真里 井原 千琴 二階堂 祐子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

女性の妊娠と出生前検査をめぐる知識と経験を把握するために、妊娠と出生前検査の経験について自由記述を含めて詳細に尋ねた首都圏でのアンケート調査(2013年実施、有効回答数 378票、有効回収率39.5%)と、全国の妊娠経験のある女性を対象に妊娠と出生前検査の経験に焦点をあてたインターネット調査(2015年1月~2月実施、有効回答数 2,357、有効回収率26.9%)を実施し、結果を分析した。さらに出生前検査を受検した女性、医師、遺伝カウンセラー、助産師、当事者団体等にインタビュー調査を行い、出生前検査をめぐる情報提供、夫婦の意思決定の過程と要因、医師の検査を提供することの考えなどを分析した。
著者
渡部 麻衣子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.96-105, 2021-05-20 (Released:2022-05-21)
参考文献数
35

本稿では,英国における「医療・医学の女性化 feminization of medicine」をめぐる議論と対策の現状をまとめる.英国では2000 年初頭から,医師に占める女性の割合が男性を上回りつつある状況が,医学界の危機として「 医療・医学の女性化」という言葉を用いて論じられるようになった.2004 年,王立内科医協会の女性代表は,女性医師の増加は,特に激務を必要とする領域で医療の供給不足を招くと同時に,医師の社会的地位の低下を招く,すなわち「女性化は医学界を弱体化させる」と主張した.しかしこの主張は即座に批判され,医師,医学研究者の労働環境の改善を求める主張へとつながった.そして現在,同時期に発展した,学術領域におけるジェンダー均衡化を目指す施策の一環として,医学教育・研究における女性の地位向上を目指す取り組みが行われている.英国における「医療・医学の女性化」の事例は,「女性化」が,「弱体化」ではなく「変化」を促す起点となり,専門家集団が変容する過程を表す.
著者
柘植 あづみ 武藤 香織 洪 賢秀 熱田 敬子 岩江 荘介 八代 嘉美 粥川 準二 小門 穂 仙波 由加里 張 チョンファン 三村 恭子 渡部 麻衣子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

医療技術の開発/応用とジェンダーの関係を検討するために日本、韓国、アメリカ等での遺伝子技術、生殖技術、再生医療研究の患者/利用者、研究者への聞き取り調査を実施し、さらにインド、中国などの情報を収集した。そこから医療技術の開発/応用にジェンダー役割が無批判に受容され、それが技術を要請する根拠になることを示した。その上で新しい医療技術の規制を考える際にジェンダーの視点の必要性を指摘した。
著者
土屋 敦 大畑 尚子 渡部 麻衣子 高田 史男
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.47-57, 2008-09-21

本稿では、全国社会意識調査(N=3402)から、エンハンスメント論の中でも特に主題となることの多い、「体力や身体能力」「頭のよさ(知能)」「老化」の各カテゴリーに対する日々の日常的関心度および遺伝学的エンハンスメント(Genetic Enhancement)に対する意識の度合いを従属変数とし、基礎属性・家族変数、及び遺伝意識変数(遺伝子決定感)の因子分析結果を独立変数とする二項ロジットモデル(比較モデル)を組み立て、遺伝子技術利用のエンハンスメント領域への活用に対する意識の特性を析出した。結果、日常的関心度には性別・年齢・学歴がその意識の形成・規定要因として大きく寄与していた一方で、遺伝学的エンハンスメントには、性別および就業形態の影響が高いという意識の構造的差異が析出された。また、遺伝学的エンハンスメントに対しては、遺伝子決定感に関する「身体・外面性因子(第一因子)」および「医療因子(第四因子)」がその意識の形成・規定要因として寄与している、という、遺伝子決定感内部での効果の差異が明らかになった。