著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.32-39, 2014 (Released:2017-06-09)
参考文献数
21
被引用文献数
1

セイバンモロコシ(ジョンソングラス)は地中海原産の大型イネ科多年草で,熱帯から温帯までの広い気候範囲に分布し,世界中の農耕地,非農耕地で強害雑草となっている.日本では外来雑草として,関東以西に多く発生し,とくに九州の中・北部では河川や道路沿い等に大群落を形成しているが,東北地方での存在も報告されている.輸入飼料への種子の混入が確認されており,畜産団地あるいは上流に畜産施設があるところで発生が多く観察される.河川敷や道路沿いに大発生が目立つので,種子が水に流されたり交通の風圧で飛散して拡散することが推察される.根茎断片も繁殖体となる.本草のバイオマスは生体重で15~25t/haとクズやセイタカアワダチソウよりもかなり多く,刈草の焼却・運搬のコストや環境負荷も無視できない.花粉症の原因になることも知られており,純群落を形成するので生態系の他生物への影響も甚大と予想される.このように日本の都市・市街地における重要雑草であるにもかかわらず,日本における拡散実態や生活史等に関する情報は乏しく,環境省の「要注意外来植物」リスト44種にも入っていない(2014年現在).したがって,本稿では生育・繁殖特性や遺伝的多様性等も紹介しているが,それは主に国外の報告をもとにしたものである.
著者
伊藤 操子 植木 邦和 坂本 修一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.41-48, 1982-05-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3 1

1) 鉄道敷において管理対象となる植生の概要を知るために, 国鉄沿線の問題雑草に関する全国的なアンケート調査を行うとともに, 大阪周辺の線路について優占草種とその分布に影響する人為的要因との関係を調査, 検討した。2) アンケート調査において問題雑草として最も回答の多かった種ススキであり, 北海道から鹿児島までほぼ全域でみとめられた。2~3位はイタドリ, クズで山形以南で広く問題視されており, さらにヨモギ属, セイタカアワダチソウ, ササ葉類, ヨシ, スギナも多かった。北海道における種類は本州以南とかなり異っていた。3) 大阪周辺についての車窓調査の結果, 発生量の多い大型草本は, ススキ, セイタカアワダチソウ, エノコログサ属, チガヤ及びクズであった。これらの発生量と線路側面の形態, 過去の草管理及び周囲の環境との間には関連性がみとめられた。すなわち, ススキ及びチガヤには市街地化の程度が進んだ地域において減少する傾向が, セイタカアワダチソウ及びクズには逆の傾向がみとめられた。クズは特に広い盛土法面に多かった。エノコログサ属の発生は, 明らかに刈取り下で非常に少く, 除草剤処理部分で多くなる傾向を示した。これに対してセイタカアワダチソウ及びチガヤは除草剤処理部分でやや少なかった。
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.35-43, 2012 (Released:2017-06-30)
参考文献数
18

ワルナスビは分布の温度域が広く,北海道から沖縄本島まで分布し,牧草地から飼料畑,非農耕地の随所に発生している.輸入乾草・飼料として畜産地帯(牧草地・飼料畑)に侵入し,種子が堆肥.牛糞に混入して苗木・作物生産地に拡散し,さらに緑化樹の植栽・客土等の土の移動により都市域にも広がった.地下部に長大な横走根と垂直根からなる根系(creeping root system)を発達させ,刈取り後の再生や春季のシュート発生は,ここに形成される不定芽による.繁殖体は種子と根の断片である.種子には休眠性があるが,根断片は通年,不定芽形成・萌芽力をもっている.本草の雑草害は①茎葉の鋭い棘による傷害,②ツツジ等有用植物の強い生育阻害,③ナス科特有の有毒物質ソラニンが家畜に有毒なこと,④同じナス科作物の病気(トマトモザイクウイルス等)や害虫の中間宿主になることなど多様である.防除は困難だが,化学的手段が最も効果的で茎葉処理ならホルモン系の剤が土壌処理ならクロロプロファムが有効と考えられる.米国では,繁茂地からの拡散防止,輸送防止,有用種子への混入防止および防除法の指針が多くの州および国レベルで出されているが,日本にはこれに該当するものはない.
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.2-15, 2018 (Released:2019-02-01)
参考文献数
32
被引用文献数
1

生活圏において草本植生で被覆されている領域は鉄道,道路等のインフラ緑地,公園,河川敷,空地・耕作放棄地など多岐・広面積に及ぶが,その大半を構成する大型多年雑草(とくに地下拡張型)群は刈り取り管理下でますます勢力を増している.この深刻な事態に対応する雑草管理を策定するなかで,化学的手段の適材適所的採用は不可欠である.とくにセイタカアワダチソウ,イタドリ,セイバンモロコシ等に代表される地下拡張型多年生雑草の的確な制御には,除草剤の特定の機能を活用する以外にない.なぜ,そういえるのか.本稿では,まず,対象であるこの種の多年草の生理・生態,構造上の特徴を紹介し,その生存戦略の中心が地下部の芽からの萌芽・再生にあることを明確にしている.そのうえで,長期にわたってピンポイント的にこの生育反応を阻害することで,最終的に個体全体を死亡させうる一群の除草剤の存在と特性を,さまざまな研究成果をもとに実証している.共通の特性とは地下部への優れた移行性と芽への集積およびその生長点での形態形成・細胞分裂阻害機能である.単なる ‘刈り取り代用’という誤った認識のもとにある化学的手段を,地下拡張型雑草も的確に制御することで植生の質的調節ができる手段と認識し,他手段との時間的・空間的integrationによって緑地植生の改善に活用することの重要性が強調される.
著者
中山 祐一郎 梅本 信也 伊藤 操子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.332-338, 1997-01-31 (Released:2009-12-17)
参考文献数
19

オオバコの種内変異を調査するため, 京都市北東部の8集団かち得た系統を供試し, 同一条件下での栽培実験を行なった。さらに, 生育地の環境を調査して, 種内変異と生態分布との関連を検討した。1) オオバコの形態には著しい遺伝的変異が認められ, 普通型と minima 型の2型が識別された。普通型では, 葉は大きく斜立し, 葉脈数は5で, 花序は長く, 斜立~直立し, 1蓋果は3~7個の大きな種子を結ぶ。minima 型では, 葉は小さく傾伏し, 葉脈数は3で, 花序は短く, 傾上し, 1蓋果は4~10個の小さな種子を結ぶ。2) 普通型は, 畦畔や農道, 路傍, 未舗装の駐車場, 社寺林の林床などに生育していた。minima 型は神社や仏閣の境内に限って生育していた。3) minima 型の生育地である神社の境内は, 薄暗く, 土壌中の窒素とリンの含量が普通型の生育地より低く, 維管束植物の多様度指数が低く, また毎日掃き掃除が行われるなど, 普通型の生育地とは環境条件や管理様式が顕著に異なっていた。そのため, minima 型はストレスや撹乱の質と程度に関して普通型とは異なった環境に生育していると考えられた。オオバコの種内2型はこのような生育地の環境条件の違いに適応し, 住み分けているものと推定された。
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-11, 2016 (Released:2017-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

除草剤の存在は世界の食糧生産を支える上で不可欠だが,生活圏の雑草問題である衛生被害の回避,環境保全,インフラ保護にとっても重要である.しかし,未だに除草剤への拒否反応がはびこる日本の現状に鑑み,今日あるような除草剤がなぜ生まれ,科学・技術としてどう発達し,現在どういう段階にあるのか,世界の流れを振り返る.化学物質で雑草を撲滅するという発想は19世紀中頃から始まり,手取りや機械で防除できない多年草に大量の無機物質の投与が試みられた.一方,本格的な除草剤の発展は,1940年代初頭の選択的有機除草剤2,4-Dから始まった.これは世界の雑草防除自体のありようを一変させた画期的出来事である.その後1080年代にかけて,作物―雑草間の選択性の追求,新規作用点の開発,低処理薬量・低残留性,新規剤型の開発等が世界的に進展し,効果,作物や環境に対する安全性において優れた多くの除草剤が生まれた.しかし,その後徐々に縮小されて今日に至っている.理由は,除草剤のマーケットが成熟し,既剤を上回るものを開発しにくい,安全性試験へのコストの増大,グルホサート抵抗性遺伝子組換え作物の普及で,対抗できるインセンテイブが低下したなどである.化学的防除の著しい発展は,他方で,雑草防除実施者が創意工夫の意思の喪失,簡単に成果が期待できるという思い込みを生んだ.その最も顕著なしっぺ返しは,未だに止むことのない世界的な除草剤抵抗性雑草の増加である.
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.45-52, 2011 (Released:2017-06-30)
参考文献数
12

トクサ属(Equisetum)はシダ植物トクサ綱に属しているが(1綱1属),雑草とみなされているにはスギナとイヌスギナのみである.作物への雑草害だけでなく,家畜への障害もある.スギナの最大の生物的特徴は,他の雑草類に例を見ない地下器官系の大きさであり,発達した集団では現存量の70~90%を占める.地上部については早春に胞子茎(つくし)が発生し,続いて栄養茎(すぎな)が秋季まで(本州中部以西では4月~11月)次々発生・生長する.地下部は横走根茎とその一部の節に付着する塊茎ならびに地上茎につながる垂直根茎からなる.根茎分布はむしろ30 cm以下に多く,1 mに及ぶことも稀ではない.根茎には地上茎と同様に5~9本程度の稜と溝があり,これらと同数の維管束とともに通気孔がよく発達しており,地下深くまでの生存に適応している.シダ植物であることから,繁殖は本来有性生殖(胞子の発芽により形成された前葉体につくられた精子と卵子の受精で栄養茎ができる)もあるはずだが,野外ではめったに起こらず,栄養繁殖が主体である.繁殖体は根茎断片と塊茎であり,10℃前後の比較的低温でもよく萌芽する.定着した集団の一般的防除法は除草剤による以外になく,比較試験からはアシュラムの6月処理が最も有効であった.
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.2-12, 2017 (Released:2018-02-15)
参考文献数
12
被引用文献数
2

生物は外部からの化学物質に対して様々な生体反応を示し,これは医薬と人間・病原菌等と同様に除草剤と雑草にも当てはまる.除草剤の最終的に効果である雑草の死亡に至るまでには,薬剤の植物体(茎葉,根,種子)へ吸収,体内の作用部位への移行,作用点での特定の生化学反応の阻害,これらの過程中での薬剤の代謝・分解といった,様々なプロセスが関わっている.そして,この各プロセスは植物の種類,生育段階等による差異が大きく,このことが望む効果を決定づけたり,ときには薬害の原因になったりしている.“雑草がなぜ枯れるか”については,緑地雑草管理の関係者も日頃あまり気にかけないか,その必要を感じていないのではないかと思われる.しかし,実際は望ましい結果を得るためには,枯れるまでの各プロセスへの正確な知識は非常に重要であり,少なくとも米国の雑草管理事業者はこれらを身に着けているようだ.そこで本稿では,1)除草剤はどのようにして植物体内に入るか,2)どのようにして作用部位にたどりつくのか,3)どのような作用によって雑草を枯死させるのか,および4)除草剤の精緻な作用機構が生んだ深刻な問題である除草剤抵抗性変異について,現場関係者の理解を目標に,できるだけ分かりやすく解説することを試みた.
著者
中山 祐一郎 梅本 信也 伊藤 操子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.332-338, 1997-01-31
被引用文献数
1

オオバコの種内変異を調査するため, 京都市北東部の8集団から得た系統を供試し, 同一条件下での栽培実験を行なった。さらに, 生育地の環境を調査して, 種内変異と生態分布との関連を検討した。1) オオバコの形態には著しい遺伝的変異が認められ, 普通型とminima型の2型が識別された。普通型では, 葉は大きく斜立し, 葉脈数は5で, 花序は長く, 斜立〜直立し, 1蓋果は3〜7個の大きな種子を結ぶ。minima型では, 葉は小さく傾伏し, 葉脈数は3で, 花序は短く, 傾上し, 1蓋果は4〜10個の小さな種子を結ぶ。2) 普通型は, 畦畔や農道, 路傍, 未舗装の駐車場, 社寺林の林床などに生育していた。minima 型は神社や仏閣の境内に限って生育していた。3) minima型の生育地である神社の境内は, 薄暗く, 土壌中の窒素とリンの含量が普通型の生育地より低く, 維管束植物の多様度指数が低く, また毎日掃き掃除が行われるなど, 普通型の生育地とは環境条件や管理様式が顕著に異なっていた。そのため, minima型はストレスや撹乱の質と程度に関して普通型とは異なった環境に生育していると考えられた。オオバコの種内2型はこのような生育地の環境条件の違いに適応し, 住み分けているものと推定された。
著者
伊藤 操子 伊藤 幹二 小西 真衣 佐治 健介
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-15, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1

都市・市街地に存在する個々の公園の緑地は,そのさまざまな機能が公園利用上だけでなく周囲の住環境保全にも重要なものとして,生活者に無くてはならない社会的資産である.しかし,近年は増大する雑草の猛威と非科学的かつ粗放な管理の横行で劣化が進行している.本稿では,まず都市公園の整備実態,公園緑地の機能等について概説し,次いで関東・関西地方を中心に77公園で実施した,雑草の繁茂状況と管理に対する現場調査の結果および調査過程で知り得た関連の事実を紹介した.そして,これを踏まえた公園緑地の雑草管理における課題について考察した.記録された発生雑草種数は333種にわたり多様であったが,広域的に多くの発生が見られた種には植栽の種類による特徴がみられた.公園緑地の主要部分を占める広場芝生(広場施設)と景観芝生(修景施設)では,共通的にスズメナカタビラ,シマスズメノヒエ,メヒシバ,オヒシバ,シロツメクサ,オオバコが主要草種であったが,単立木株元ではこれらの他多年生大型種が,低木植込みでは多年草やつる性雑草が目立った.地域による大きな差異は見られなかったが,整備時期が新しい公園で大型多年草の繁茂が多かった.管理は芝地を中心に年間2~4回の刈取りで行われていたが,調査公園の86%が管理のすべて~一部を外部委託していた.結論として,公園管理責任者の地方公共団体と現場の実施者との乖離という体制的不備と関係者の植物(植栽および雑草)への意識レベルの改善が,雑草を知って管理の適切化を図る以前の課題であることが分かった.
著者
梅本 信也 山口 祐子 伊藤 操子
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.20-24, 2001-11-10 (Released:2010-06-08)
参考文献数
17
被引用文献数
1

スズメノカタビラの1変種であるツルスズメノカタビラP. annuaL. (1753) var.reptansHaussknecht (1891) の実在性と分類群としての概念規定を考察するために, 世界の分類学的文献や雑草学と芝草学的研究成果, 京都大学大学院理学研究科植物標本庫 (KYO) 所蔵の176枚のさく葉標本, 全国アンケート時に入手できた7枚のさく葉標本を包括的に検討した。その結果, H. C. HaussknechtによるP. annuavar.reptansの初原記載はいわゆるbook speciesであるが, 彼の意図は匍匐的栄養繁殖にあると推定された。Haussknecht (1891) の記載を引用し, 本変種の典型挿図を掲載したのが, Magchev (1912) である。したがって, 本変種はPoa annua L. var.reptansH.C. Haussknecht (1891) sensuA. Magchev (1912) と表現するのが現状ではより適切である。
著者
伊藤 幹二 伊藤 操子 田中 聡 三浦 励一 安斎 達雄 Onen Huseyin
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.176-183, 2005-09-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6
被引用文献数
6 4

土壌処理剤によるワルナスビの制御法を確立する目的で, 以下の実験を行った。畑地におけるワルナスビの発生は, 耕起によって切断された根片繁殖系からの萌芽によることから, まず畑地で汎用される除草剤アトラジン, アラクロール, ブタミホス, クロロプロファム, トリフルラリン, ペンディメタリンからワルナスビ根片萌芽抑制効果のあるものを, 根片浸漬処理によって選抜した結果, クロロプロファムが最も有効であることが分かった。次にトウモロコシ畑 (土壌:壌土)においてクロロプロファムを播種直前に0.46, 0.92および1.37kg a. i./ha土壌混和処理し, 埋土しておいたワルナスビ根片からの出芽・生長に及ぼす効果を調べたところ, 5~10cm深に埋土した根片については, 出芽は阻害されなかったが, 生長は0.46kg a. i/ha処理でも抑制され, 抑制はとくにシュートの生長において顕著であった。20~25cmに埋土した根片では, 逆に出芽は阻害されたがシュートの生長の抑制は小さかった。ワルナスビ根片からの萌芽・生長に対するクロロプロファムの土壌混和処理効果は, 土壌の種類により著しく異なり, 砂壌土>黒ボク土>埴壌土>壌土であった。クロロプロファムは高い揮発性によって土壌中に拡散し, 処理層を形成する特徴をもつことから, 効果の差には土壌の孔隙率が関係していると推察された。
著者
伊藤 操子
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.82-88, 1988-08-29 (Released:2009-12-17)
参考文献数
18
著者
伊藤 操子
出版者
特定非営利活動法人 緑地雑草科学研究所
雑誌
草と緑 (ISSN:21858977)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.36-41, 2010 (Released:2017-06-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

日本におけるクズ(Pueraria lobata Ohwi)は,万葉集にもよく歌われているが7~8世紀にはかなり広がっていたようだ.また,季節の風物というだけでなく,古来,生活必需資材として様々な形で利用されてきた,塊根から採る葛粉は食料として,つる繊維から織る葛布は衣類などに,茎葉は家畜の飼料や肥料になり,葛根は貴重な薬であった.しかし,近年利用されなくなった人里のクズは,列島改造計画による土地造成で形成された都市・市街地の多くの解放地に侵入し急速に拡がった.河川敷,鉄道敷,高速道路では最優占種であることが報告されており,造林地,果樹園等も含めその被害は深刻である.米国では,土面保護植物や第2次大戦で荒廃した放棄畑の土壌改良用として政策的に普及したクズが,現在では制御不能な強害草に指定されている.クズの植物体は3出複葉を着ける当年生茎,多年生茎,節から発生する節根,これが伸長・肥大した主根(塊根)で形成されている.当年生茎は,4月上・中旬に1,2年生茎の腋芽から発生し,地表を這い進むものと立ち上がるものとがあり専有面積・容積の拡大に働く.クズの種子繁殖力は低く,繁殖は主に多年生茎が昆虫幼虫の食害や老化で分離することによると考えられる.
著者
小西 真衣 伊藤 操子 伊藤 幹二
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-54, 2009-05-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
32

近年森林や山岳等自然地域では、レクリエーション利用が増加傾向にあり、それに伴う雑草の侵入の増加は重要な問題の一つとなっている。そこで雑草の侵入に対する人為的なかく乱(通行)と環境条件の効果を明らかにするために、京都大学芦生研究林において、かく乱地(通路:車道・林内歩行路・軌道)および非かく乱地の発生雑草の種類および環境要素を調査した。雑草は主にかく乱地で発生が観察され、特に車道基面では、量・種類共に多く雑草の侵入の成功が推察された。発生雑草種の特徴や生活型から、通路上では踏みつけ耐性を有する種が多く、繁殖体の移入経路は車道では人・車両および風、林内通路では人の持ち込みによるものが多いことが示唆された。環境条件は、相対照度と土壌水分率について、車道と林内の間に有意な差が認められた。しかし車道内では、発生雑草種数は相対照度が高い地点で少なく、また土壌水分率と相対照度との間には負の相関が認められたことから、相対照度の高い地点では、開放度の大きさゆえ風圧や乾燥が雑草の発生の障壁となる可能性が考えられた。また、車道基面-のり面、林内歩行路内-歩行路外での発生雑草種の違いから、非かく乱地では雑草の発生に対するなんらかの障壁の存在が予想された。この障壁に関して、土壌硬度が踏みつけのあるかく乱地で有意に高いことから、踏みつけに伴う土壌の二次的な変化の関与が考えられた。
著者
梅本 信也 小林 央往 植木 邦和 伊藤 操子
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.244-248, 1998-10-30

Eclipta prostrata (L.) L.と記されてきた日本産タカサブロウの2変異型を分類学的に検討するために, おもに近畿地方2府4県ならびに沖縄, 福井, 石川, 埼玉および茨城県の水田畦畔において採取した127系統を同一条件で栽培し, 得られたさく葉標本のそう果と葉の形態を観察した。その結果, すべてのさく葉標本と採取系統は, そう果が大型で狭卵形から披針形の葉をもつRound型と, 痩果が小型で披針形から挟披針形の葉をもつSlender型の2群に区別された。従来, 日本産タカサブロウに対しては, Eclipta prostrata (L.) L.が宛てられてきたが, 原記載の引用図譜には明らかな多細胞性の開出毛がある。そこで、タカサブロウ属に関する分類学文献と京都大学理学部(KYO)所蔵のさく葉標本を用いて検討したところ、えられた2群はE. prostrataとは別種であり、前者はEclipta thermalis Bungeタカサブロウ, 後者はE. alba (L.) Hasskarlアメリカタカサブロウとするのが妥当であると考えられた。
著者
浅井 元朗 伊藤 操子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.20-28, 1995-05-31
参考文献数
19
被引用文献数
2

樹園池など粗放的な植生管理が求められる場面では, 植被を利用した害草制御は検討に値する方法であり, シロクローバ(trifolium repens L.)はその有望な材料と考えられる。本研究ではその播種法と初期の刈取が, クローバの定着ならびに植被の雑草制御効果に及ぼす影響を調査した。シロクローバ2品種(コモン型:グラスランドフィア, ラジノ型:カリフォルニアラジノ)を用い, 2段階の播種量0.5kg/10a, 2.0Kg/10a)および2時期の播種時期(1991年9月18日, 同10月14日)について比較した。実験は大阪府高槻市の休耕地で2年間実施し, 実験期間を通じて植生調査および4, 6, 8, 10月の刈取処理を行った。実験圃場の植生は, Th, D_4, R_5型が優占し, 熟畑的な型であった(Table 1)。いずれの処理区でもクローバは良好に発芽, 定着し, その被度は播種翌春には80%を越えた(Fig.1)。1993年以降はラジノの被度がコモンよりも高くなった(Fig. 1)。植被のすみやかな確立には早期播種(9月)が有効であり, 密播も効果があった (Fig. 2)。晩期, 粗播(10月, 0.5Kg/10a)ではクローバによる地表面の被覆が最も遅れた(Fig. 2)。このような播種法による差は6月にはほぼ消失した。草高はラジノの方がコモンより高く推移した(Fig. 3)。晩期, 粗播区において顕著であった被覆の遅れは一年生冬雑草, 特にナズナ(Capsella bursa-pastoris (L.) Medik.)や, 風散布型のキク科雑草, 特にオオアレチノギク(Erigeron sumatrensis Retz.)の侵入, 発生を許した(Fig.4およびTable 2)。一年生冬雑草はクローバの優占度にほとんど影響を及ぼさなかった。しかし, オオアレチノギクは無刈取の場合, 夏期に草高が約2mに達し, 群落下層のクローバを庇陰し, 見苦しい景観を形成した(Fig.5)。オオアレチノギクは4月の刈取後は再生したが, 6月の刈取によって枯死した(Fig.5)。すなわち, 播種後1年目にクローバの優占群落を形成するためには, 6月の刈取1回で十分効果的であることが明らかとなった。早期のクローバ植被によってもギシギシ属(Rumex spp.)やネズミムギ(Lolium multiflorum Lam.)の発生, 生育は抑制されなかった(Fig. 4)。本調査で得られた結果は樹園地以外の非農耕地においても利用可能なものと考える。
著者
浅井 元朗 伊藤 操子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.194-202, 1995-10-31
被引用文献数
1

値被を利用した害車制御は樹園地など粗放的な植生管理が求められる場面で有用であり, シロクローバ(Trifolium repens L.)はその有望な材料と考えられる。本研究はクローバ定着後の刈取体系がクローバの生育と植生動態に及ぼす影響を調査し, 望ましい刈取体系について検討した。実験は大阪府高槻市で行い, シロクローバ2品種(コモン型: グラスランドフィア, ラジノ型: カリフォルニアラジノ)を1991年秋期に播種した。その後2年間, 春期(4月中旬または5月初旬), 6月, 8月, 10月の4時期の組合わせによる16種の刈取体系(Table 1)を実施し, クローバと雑草の植生調査を継続した。1年目(1992年)の刈取はクローバ生育に与える影響が少なく, 次の刈取までにクローバは再生した。しかし2年目 0993年)の刈取によってクローバ被度ならびにその植生は大きく変化した。6月, 10月の刈取は影響が大きく, 春期, 8月の刈取は影響が少なかった(Table 2)。特に1993年6月の刈取後に大型のイネ科夏雑草(アキノエノコログサ, メヒシバなど)が繁茂し, クローバ被度は著しく減少した(Fig.1, Fig.3)。6月無刈取区では刈取区に比べて夏期のクローバ被度の低下は小さく, 冬期の被度は刈取区より高かった(Fig.1, Fig. 3)。夏期に雑草を除去した場合もクローバ被度の低下は小さかった(Fig. 2)。しかし, 刈取の有無にかかわらず, クローバの生育は前年より衰退した。クローバ品種間ではラジノ型がコモン型に比べて高い被度を維持し(Fig. 1), その雑草抑制効果も優れていた(Fig. 3)。刈取ならびにその後のクローバ被度の低下により生じた裸地には雑草が侵入した。6月の刈取後に夏雑草の発生が増加し, 8, 10月の刈取後に冬雑草の発生が増加した(Table 3)。冬雑草がクローバに与える影響は少なかったが, イネ科夏雑草の庇陰によってクローバは著しく衰退した。多年生のアレチギシギシ, ネズミムギは刈取にかかわらず増加した。以上の結果から, 本地方ではラジノ型がその雑草制圧力, 被覆の持続性において被覆資材として適すること, その優占植生を維持するための管理法としてはスプリングフラッシュ期以外の刈取を避けるべきであることが示唆された。
著者
伊藤 操子 敖 敏 伊藤 幹二
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.256-262, 2006-12-22 (Released:2007-10-19)
参考文献数
17
被引用文献数
5 3