著者
磯部 友彦 秋山 哲男 佐藤 克志 園田 眞理子 吉田 浩 畑農 鋭矢
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.バリアフリー化のための設備投資を考慮した簡便な経済モデルを構築し、効率性の基準によって最適なバリアフリー化水準を明らかにした。効率性基準で考えた場合でも、およそ半分程度の社会資本をバリアフリー化することが効率的である。2.コンピュータ・シミュレーションの方法により、移動障壁の程度、集団に含まれている高齢者の割合の多寡別に移動時間を計測し、バリアーの移動時間増加に与える効果を測定した。その結果から、政策的にバリアフリー事業を推進するべき程度について、30%が一つの転換点であることがわかった。3.バリアフリー環境整備による影響・効果を一つの土俵上で評価するために、SDモデルを作成し、(1)障害者・高齢者、(2)介助者、(3)商業施設などの事業者、(4)一般市民、(5)行政の各セクターに分けて、その挙動確認のためのシミュレーションを実行した。4.実際の駅前商店街の商店および商店街通りで実態把握調査、利用者実験を実施した。それを元に商店および商店街のユニバーサルデザインに関する整備条件の把握、整備方法の提案、整備に関する費用対効果の検討を行った。5.鉄道駅内での昇降装置の設置が完了した駅で、利用実態調査・利用者に対してアンケート調査を実施した。エレベーターは、高齢者や移動制約者など本当にバリアフリー整備を必要としている人に対する効果が非常に高いこと、エスカレーターは、設置場所や昇降方向によって違いがあるが、一般の利用者には段差解消として効果は高いが、車椅子使用者や視覚障害者にとっては効果はあまりないことがわかった。6.ユニバーサルデザインをめざした新しい交通システムの適用性の研究を行った。過疎地域の公共交通の現状、及び高齢者の特性を踏まえ、ダイヤの最適化を図り、ドアツードア性を高めてしかも料金を安くするシステムを考案した。その結果、市民の利用は予約の手間を除いて、概ね好評であった。
著者
蓑輪 裕子 林 玉子 中 祐一郎 小滝 一正 大原 一興 佐藤 克志 狩野 徹 前川 佳史 堀端 克久
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.493, pp.109-115, 1997-03-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
9
被引用文献数
4 4

The purpose of this research is to evaluate the effectiveness of the house remodeling support system for the elderly. We administered questionnaires and conducted interviews with recipients of house remodeling grants in Edogawa-ku in Tokyo. The results are summarized as follows; for the elderly there are many difficulties of various types. It was found to be most expensive to remodel bath equipment. Regarding support system, we determined that the elderly need subsidy program, advice concerning methods of remodeling from specialists who have some knowledge about construction and the elderly, and a rental system for technical aid because some items are too expensive and are needed only short term.
著者
林 玉子 中 祐一郎 小滝 一正 大原 一興 佐藤 克志 狩野 徹 蓑輪 裕子 安部 博雄
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.229-240, 1994 (Released:2018-05-01)

我が国の住宅は高齢者にとっては支障が多く,在宅生活を円滑に過ごすには適切な住宅改善を行なう事が大切である。本研究の最終的な目的は,質の高い改善を行なうための総合的サポートシステムのあり方を示すことにある。具体的には主に,全額助成を実施し,先進的なサポートシステムである「江戸川区すこやか住まい制度」の実態と問題点を明らかにした。研究方法としては,同制度の利用者,役所,協力工務店へのアンケート及び訪問調査を行なったほか,それを補完するために全国の福祉機器ショップ・メーカーヘのアンケート調査,高齢者向け住宅改善の経験のある建築士へのヒアリングを行なった。調査結果の概要は以下の通りである。①改善のプロセス:本人・家族が直接関与した場合に改善後のイメージが捉えやすくなり,ひいては問題点の少ない改善に結びつく。支援制度が改善の促進に非常に役立っている。②改善に要する費用:改善費用は手すりの設置など小規模な場合でも平均約17万円と高額で,特に設備工事,木工事にかかる費用が大きい。助成する際には見積書の統一が課題となる。③改善の効果:1.住宅性能の変化,2.本人の日常生活動作・介護負担の変化,3.意欲・生活態度の変化,を軸として捉え,改善の有効性を明らかにしたが,さらに効果を測る軸についての検討が必要である。④改善の経年的変化:再改善を行なう率は高くその原因は,身体機能や意欲の変化,当初の改善の不備等であり,今後は不必要な再改善は少なくしていくことが必要である。さらに補足調査により重要なテーマである「福祉機器」に関する実態と問題点を把握した他,改善に関する専門的知識・情報のデータベース化に向けて具体的に構成要素と内容を整理した。住宅改善サポートシステムの構築は専門職種の適切な関与,改善に関する知識の一般化,費用の助成,福祉機器の給付等,多面的な対応が必要とされていることが明らかとなった。