著者
屋宜 宣武 山口 さやか 佐野 文子 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.260-263, 2017
被引用文献数
2

<p>83 歳の女性,関節リウマチの診断で 20 年前からステロイドを含む免疫抑制剤が投与されていた。頭部に脱毛斑が出現し,近医皮膚科を受診した。頭部の皮疹はステロイド外用で悪化し,右手背にも落屑を伴う紅斑が出現した。頭髪の毛根部,頭部と手背の皮疹部鱗屑の直接鏡検で真菌成分がみられ,ケルスス禿瘡と手白癬と診断した。真菌培養にて <i>Microsporum gypseum</i> が原因菌であると同定した。テルビナフィン125 mg/日の内服を開始したが,瘙痒と疼痛が悪化し,頭部に厚い黄色の痂皮,いわゆる菌甲が生じた。テルビナフィンを 250 mg/日に増量投与したところ,症状は次第に改善し,内服開始から 5 カ月後に治癒した。関節リウマチの治療により免疫抑制状態にあり,通常量のテルビナフィンに治療抵抗性を示し,さらに菌甲を形成したと考えられた。</p>
著者
佐野 文子 伊藤 桂子 宮治 誠 香本 頴利 小川 浩也 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 第49回 日本医真菌学会総会 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
pp.124, 2005 (Released:2005-09-07)

抗真菌活性をもつ漢方生薬としてオウバク末,キキョウ根末,センキュウ末,クレンピ末,オウゴン末を含む 17 種の漢方生薬配合薬(新中森獣医散®,中森製薬株式会社,宮崎県)は元来動物の消化器疾患の治療を目的とする薬剤であったが,粉末を当量の水とまぜてペースト状にし,Trichophyton verrucosum に感染しているウシの皮膚に連日 4 日間塗布したところ著効し,治療開始後 15 日以内に鱗屑の脱落を観察,1 ヶ月後には発毛し,治癒したという報告がある.そこで今回,人獣共通真菌症原因菌に対するこの配合薬の in vitro での抗真菌作用を調べた.配合薬のエキスは濃い褐色のため液体培地による希釈法が応用できないため,平板培地における集落の直径を測定する方法で検討した.配合薬 0.1,0.3,1.0,3.0,10.0%(V/W)の割合で添加した 1/10 サブロー平板培地に皮膚糸状菌 6 菌種 9 株,日和見真菌症原因菌 7 菌種 9 株を 1 点平板中央に接種して,25℃ もしくは 35℃ で 2 ないし 6 週間培養し,集落の直径を薬剤無添加培地と比較した結果,T. verrucosum, T. mentagrophytes,T. rubrum, T. tonsurans, Microsporum canis, Histoplasma capsulatum, Cryptococcus neoformans, Malassezia pachydermatis には 0.3-1.0% 濃度で発育抑制もしくは発育阻止効果を認めた.一方,Candida albicans, Alternaria alternata, Schizophillum commune, T, mentagrophytes var. erinacei および M. gypseum では 3-10% 薬剤添加培地での発育抑制効果を認めたが,Aspergillus fumigatus には効果を示さなかった.本配合薬は T. verrucosum に対する発育抑制ならびに阻止効果は大であり,外用薬としてウシの皮膚糸状菌症に有効であることが in vitro での活性からも証明できた.また多くの人獣共通真菌症原因菌種にも有効であった.
著者
田中 邦雄 清水 哲也 佐野 文男 阿部 善右衛門
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.25-32, 1976-02-29 (Released:2011-03-09)
参考文献数
19

Since R. Damadian suggested the detectability of tumors by nuclear magnetic resonance (NMR), the authors have focused their attention on the facts such as the quantities related to the kinds of water and tissues. And at least qualitative information could be non-invasively obtained.In this paper, in order to clarify the applicabilities of our proposed magnetic focusing method for non-invasive tumor detection, the nuclear magnetic relaxation time (T1) of transplanted malignant tumor (AH-66) in rat, excised normal and cancerous tissues in man were measured in vitro experiment.The resultant findings are summarized as followings.1) Transplanted malignant tumor in rat showed (30-120) % longer value of T1 than that of the respective normal tissues.2) In 14 cases of the uterus, breast and stomach in man, the T1 of cancerous tissues increased (10-150) % than that of their normal portions.3) When mixed tissue was studied, T1 changed as the ratio of tumor to normal tissue changed.4) The longer the time elapsed, the greater the T1 value exhibited by normal and the smaller the T1 measured for cancerous tissue. When both normal and cancerous tissues coexist, T1 decrement of the tissue is small.
著者
西片 奈保子 中森 健太郎 末吉 益雄 高橋 英雄 由地 裕之 佐野 文子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.213-221, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)法に準じて,Trichophyton verrucosum 9株及びMalassezia pachydermatis 13株に対する17種生薬配合薬抽出物の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)を微量液体希釈法で測定した.また,構成生薬17種についても同様に抽出物のMICを測定し,主たる抗真菌性生薬を特定した. 生薬重量に対して10倍量の水で煎出した抽出液を10%抽出液として調製し,これを試験最大濃度として2倍希釈系列で微量液体希釈法にて評価した.その結果,生薬配合薬抽出液の幾何平均MICは,T. verrucosumで2.51%,M. pachydermatisでは2.25%であり,構成生薬17種中ダイオウ(Rhubarb,Rheum palmatum),カンゾウ(Glycyrrhiza,Glycyrrhiza uralensis),コウボク(Magnolia bark,Magnolia obovata),オウバク(Phellodendron bark,Phellodendron amurense),及びゲンノショウコ(Geranium herb,Geranium thunbergii)の5種類に,両菌に対する発育阻止効果が認められた.
著者
小豆畑 康児 川名 秀忠 東 守洋 東 和彦 若新 英史 大矢 佳寛 佐野 文子 亀井 克彦 張ケ谷 健一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 第49回 日本医真菌学会総会 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
pp.176, 2005 (Released:2005-09-07)

症例は 70 歳の米国人男性。来日前から中耳炎と難聴があり、来日後は咳、発熱が続いていた。某院に通院、その後、入院していたが、症状が悪化し、千葉大学医学部付属病院に転院した。血尿・蛋白尿が出現し、C-ANCA も陽性だったことから Wegener 肉芽腫症の診断がなされ Cyclophosphamide 及びステロイドによる治療が行われた。治療開始から約一ヵ月後、胸水の出現とその増加があり、上肺野には斑状影を認めた。胸水培養より特定できない真菌が検出されたため、千葉大学真菌医学研究センターにおいて精査したところ、血清抗体価、PCR、DNA シークエンスなどから Coccidioides immitis と判明した。これに対し、抗真菌薬による治療を行ったが、肺症状の悪化と低酸素血症が続いた。その後、全身状態も悪化し、胸水の出現から約一ヶ月半で死亡した。千葉大学において病理解剖が実施され、検索の結果、肺・肝臓・脾臓に内生胞子を充満したコクシジオイデスの球状体が見られた。
著者
古屋 聡一 佐野 文彦 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.96, no.167, pp.49-60, 1996-07-22
被引用文献数
1

これまで, 我々はDES-MAC(DESを用いたメッセージ認証子)の安全性評価を, 現在ブロック暗号に対して最も強力とされている線形解読法を用いて行なってきた. 今回, 我々はこの線形解読法を単なる平文暗号文組の数え上げでなく確率カウンタを用いたものへの拡張を考え, これを用いてDES-MACに対する(n-2)攻撃を考える. 我々はこの攻撃について解析し, これまで我々が示した線形近似式を用いた攻撃よりも解読に必要なカウンタ数を減らすことができる. これにより, DES-12MACについて理論的には, 1.14×2^<43>個程度の平文暗号文組で2^<14>個のカウンタ数で解読できることを示した.
著者
佐野 文彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.115, pp.35-39, 2010-06-24

Kasperらが提案したビットスライス実装によるAESの暗号化処理に対して,最適化された復号処理を実装した.AES復号処理のInvMixColumnsの最適化実装手法とIntel Core2プロセッサでの計測結果を紹介する.InvMixColumnsを仕様通りに実装した場合,復号処理は暗号化処理と比較して処理時間が約30%増加するが,我々の実装したプログラムでは処理時間の増加を約10%に抑えられ,そのまま実装した場合と比較して18%高速である.