著者
佐野 文哉 岩崎 学
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.199-207, 2017 (Released:2018-04-26)
参考文献数
17

Experimental study with random allocation of treatments is regarded as the gold standard for estimation of causal parameters in statistical causal inference. However, when non-compliance among participants exists in the experiment it is likely to result in biased estimates of the parameters of interest. This paper discusses a sensitivity analysis in the estimation of causal parameters under apparent non-compliance. A motivating example is shown that concerns students' performance in university lectures. A procedure of sensitivity analysis for the estimates of causal parameters is presented that incorporates existence of apparent non-compliers, who are genuine compliers but act as non-compliers. An example of such procedure is shown for the case considered.
著者
上原 雅江 佐野 文子 鎗田 響子 亀井 克彦 羽毛田 牧夫 井出 京子 永井 啓子 高山 義浩 西村 和子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.205-209, 2008 (Released:2008-08-09)
参考文献数
21
被引用文献数
6 5

2006年本邦において,タイ人AIDS患者の血液培養よりPenicillium marneffei が分離された.本菌種による感染報告例は本症例が3例目となるが,培養に成功した例はわが国では初めてと考えられる.患者は,41歳,タイ東北部出身の女性で,約10年前に来日.その後もしばしば一時帰国していた.AIDS治療中に発熱のために行った血液培養より,培養初期に白色,やがて暗赤色となる集落が分離され,菌学的および分子生物学的手法によりP. marneffei と同定され,患者はマルネッフェイ型ペニシリウム症と診断された.アムホテリシンBおよびミカファンギンの投薬により患者は回復し,引き続き通院し経過を観察された.分離株をサブロー・ブドウ糖寒天平板培地にて25℃で培養した集落は,初め白色フェルト状で,次第に黄色から黄緑色となり,さらに培地内に深紅色色素を拡散した.分生子頭は散開性で,その先端に分生子の連鎖を形成していた.ブレイン・ハート・インフュージョン寒天斜面培地にて35℃で培養すると,細かい襞のある灰白色膜様集落を形成し,顕微鏡的には短菌糸より構成されていた.なお,本分離株のリボゾームRNA遺伝子internal transcribed spacer領域の配列は,既知株と100%一致し,DDBJにAB298970として登録されている. 臨床検査分野においては,今後HIV感染症の拡散と人々の移動のグローバル化に伴い,病原性輸入真菌症に遭遇する危険性が高まることが予測され,専門機関との連携を含め,初期対応が可能となるような体制作りが必要であると考える.
著者
佐野 文哉
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.94-109, 2023-09-30 (Released:2023-10-31)
参考文献数
33

本稿の目的は,フィジー手話をめぐる歴史と現代的な変化を「統治性」の観点から分析し,諸権力の作用のなかで,いかに/いかなる言語や主体が形成されているのかを明らかにすることである.「統治」とは,人びとの「ふるまいを導く」なにかであり,それは特定の知識や主体,対象を形成する力として作用する.この統治性の観点からフィジーの手話やろう者コミュニティの形成史を概観すると,そこにはさまざまな人や団体,言説が関与しており,そのなかで,手話やろう者のあり方が動態的に変化してきたことがわかる.また近年では,海外渡航経験をもつ若いろう者が中心となって,フィジー手話の公用語化に向けた取り組みを行なっており,その結果,主に公的な領域で,フィジー手話の単一言語化や国家イデオロギーとの接合などといった変化が起きている.本稿では,そうした状況が,いかなる統治的な諸権力の作用のもとで生じているのかを民族誌的なデータにもとづいて詳細に検討する.
著者
佐野 文 白子 隆志 加藤 浩樹 天岡 望 芳野 圭介 杉山 太郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.1667-1672, 2010 (Released:2010-12-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

われわれは7年間に3度にわたり針誤飲した統合失調症の1例を経験した.1回目は63歳時,8本の裁縫針を飲み腹痛にて来院した.CT,X線写真にて十二指腸2nd portionから後腹膜に針を認め同日緊急開腹手術を施行した.針は十二指腸壁を貫通し腸腰筋に埋没しており針を摘出した.2回目は64歳時,2本の針を誤飲し腹痛にて来院した.CT,X線写真にて左腹壁に針を認め局所麻酔下に皮膚切開し針を除去した.3回目は69歳時,腹痛にて受診した.CT,X線写真にて骨盤腔内に針を2本認めた.開腹手術にて1本はTreitz靱帯より約200cm肛門側の小腸より腸管外に抜け,さらに110cm肛門側の小腸間膜に刺さっていた.2本目は仙骨前面のS状結腸間膜に認められ,小腸から腹腔内に貫通したものと思われた.今後も誤飲の可能性あり,注意深い経過観察が必要である.
著者
田中 邦雄 佐野 文男 阿部 善右衛門
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.81-89, 1974-04-30 (Released:2011-03-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Several papers on the applications of the nuclear magnetic resonance (NMR) technique-for the biological measurements have been published since the first proposal of the NMR blood flowmeter by Bowman. However, the problems arising inherently from the non-invasive measurements of the specified area in the body were not discussed in these papers. The authors proposed previously the magnetic focusing technique as one of the new approaches and discussed some problems related to this technique.In this paper, some basic problems of the applications of NMR for the non-invasive measurements are discussed and the fundamental properties affecting the measuring sensitivity attained by the magnetic focusing technique is analyzed. The problems treated and the obtained results are as follows : 1) The relations among parameters such as relaxation times and radio frequency magnetic field which influence the measuring sensitivity are experimentally analyzed.2) The distributions of RF magnetic field inside or outside the transmitter coil are theoretically calculated. Approximate values of relaxation time of 1-2 sec. and 0.1-1 sec. are experimentally obtained respectively with the various body fluids and tissues of the dog and the human. Philosophy of choosing the appropriate parameters are discussed based on these results by taking the saturation factor in Bloch's equation and the measuring sensitivity into account.3) Application for the tumor detection is discussed and the differences of 20% and 200% in relaxation time between normal and cancer cases are experimentally obtained respectively with the tissues from the stomach and the breast. Further, it has been found that the relation between hematocrit of blood and its relaxation time was linear.4) The deterioration of signal output by body tissues is examined by a model experiment. According to this experiment, it is shown that the deterioration of S/N ratio was equal to approximately 30%, at f = 60 MHz.5) From above results, in the case of applying our proposed magnetic focusing technique, the resolution or the minimally detectable volume of water in the typical organs by S/N of unity at resonance frequency of 60 MHz should be about 0.3 ml.
著者
井隼 ミキ 山下 厚 溝本 朋子 香本 頴利 吉田 正明 佐野 文子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.136-138, 2008-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

漢方生薬配合薬の抗真菌活性を検討したところ, 本剤は多くの真菌に対して発育を抑制した. 管内肥育牧場で発生した牛白癬3例に応用した結果, 本剤の1週間経口投与と漢方生薬10%煎じ液の4日間体表噴霧の併用治療は著効を示した.
著者
鐘ケ江 光 Igor Massahiro de SOUZA SUGUIURA 佐々木 恭子 大塚 美加 濱野 剛久 田代 連太郎 Mario Augusto ONO 和田 新平 Eiko NAKAGAWA ITANO Md. Amzad HOSSAIN 佐野 文子 植田 啓一
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.107-114, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Paracoccidioides cetiiを原因菌とするクジラ型パラコクシジオイデス症 (英名:paracoccidioidomycosis ceti) は,小型鯨類を宿主とし,皮膚の慢性肉芽腫性病巣を特徴とする人獣共通真菌症である。今回,臨床症状を示すものの従来法では確定診断に至らなかったバンドウイルカ(Tursiops truncatus) とオキゴンドウ (Pseudorca crassidens) の皮膚病変生検組織由来DNAより,原因菌の特異的遺伝子であるgp43をPCRとLAMPの組み合わせにより検出し,確定診断を得た。なお,オキゴンドウ症例は世界初の確定診断例である。
著者
桐山 俊弥 小塩 英典 洞口 岳 井川 愛子 佐野 文 足立 尊仁 白子 隆 永田 翔馬 川田 紘資 齊藤 聡子
出版者
高山赤十字病院
雑誌
高山赤十字病院紀要 (ISSN:03877027)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.3-8, 2020-03-01

症例は55歳女性。乗用車運転中の自損事故のため救急搬送された。初診時の造影CT検査で複雑深在性肝損傷(IIIb型)を指摘した。バイタルは安定しており保存的に経過観察入院とした。受傷から6日後のCTで血腫の増大や仮性動脈瘤の指摘はなく、受傷から10日目に退院となった。以後当科外来で経過フォローを行ったが、受傷から43日後のCTで肝A5、A8に仮性動脈瘤が出現したため、血管内治療を行った。鈍的肝外傷後の仮性動脈瘤は遅発性出血の原因となるため、基本的にInterventional radiology (IVR) による治療が必要となる。フォローアップ期間について明確な基準は決まっていないが、受傷から1週間後および4週間後に造影CTでフォローを行うことは妥当であると考えられた。
著者
西田 修 佐野 文男 佐藤 直樹 五十嵐 究 木村 純 葛西 洋一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.1758-1762, 1984 (Released:2011-03-02)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

1968年から1982年までに当科で経験した40歳未満の若年者大腸癌23例の病態および治療成績に検討を加えた. 若年者大腸癌は全大腸癌の9.7%で, 平均病悩期間は4.5ヵ月, 腫瘍長径は6.6cmと高年者より発育が速い. 組織学的には低分化腺癌 (17%) と粘液癌 (33%) の頻度が高い. n (+) は若年者49%, 高年者38%, V (+) は若年者48%, 高年者32%, ly (+) は若年者47%, 高年者37%と, いずれも若年者の頻度が高い. 臨床症状は若年者に腹痛および肛門痛が39%と多い. 若年者大腸癌の再発率は60%, 5生率44%とその成績は不良で, 特に, 肝転移再発が38.5%と高いため, 門脈内への化学療法が望まれる.
著者
佐野 文昭 仙頭 佳起 平手 博之 祖父江 和哉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.504-510, 2018

<p>血液弾性粘稠度検査は,ベッドサイドでほぼリアルタイムに血液凝固機能を評価できる.血液弾性粘稠度検査を用いることで,心臓外科手術や肝移植手術において輸血量を減少させることが知られている.濃縮フィブリノゲン製剤は,本邦では後天的低フィブリノゲン血症には適応がないが,文献では濃縮フィブリノゲン製剤の使用で血液製剤の使用量低下,治療コスト削減,予後改善が報告されている.当院では倫理委員会の認可のもと,大量出血時の低フィブリノゲン血症に対し濃縮フィブリノゲン製剤を使用し,一定の成果を得ている.本稿では自験例を含め,周術期の凝固系管理を考える.</p>
著者
高橋 英雄 高橋 広志 高橋 容子 鎗田 響子 猪股 智夫 佐野 文子 西村 和子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.152, 2005

2005 年 9 月 1 日より輸入動物の検疫体制が整う予定であるが,すでに輸入された動物が保菌している病原体は世代を超えて感染が広がっている.今回,国内の動物園で繁殖し飼育されている 5 ヶ月齢のカナダヤマアラシに <I>Arthroderma benhamiae</I> による脱毛が発症した.同居している母個体はカナダ,父個体はアメリカ合衆国から輸入されたもので,無症状であったが,同菌種を保菌していた.分離菌株は当該獣より 4 株,母獣より 5 株,父獣より 2 株分離され,いずれも形態,rRNA 遺伝子の ITS 領域の配列,<I>A. benhamiae</I> Americano-European race との交配成立から同種と同定した.11 株のうち 42℃ で生育可能であった株は母由来 1 株,ITS 領域の配列は母由来 2 種,他は 1 種で GenBank 登録配列とは一致せず,RAPD バンドパターンも複数種確認した.この家族内感染は国内未確認の遺伝子型をした <I>A. benhamiae</I> 複数株によるものであった.なお,同動物園ではふれあい動物園を併設していることから,飼育しているげっ歯目および食虫目動物 33 頭について皮毛を培養したが,本菌種は分離されなかった.<I>A. benhamiae</I> によるヒト感染は命に関わる疾患ではないが,この家族内保菌・感染はすでに輸入された個体が我が国に無い病原体を保持し,それを次世代に伝播している一例である.他の真菌,原虫,細菌,ウイルスによる感染症も同様な状況が推測されるため,人と動物の共通感染症の予防にはすでに輸入された動物にも細心の注意が必要である.
著者
皆川 智子 植田 啓一 佐野 文子 上迫 春香 岩永 海空也 小峰 壮史 和田 新平
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.45-50, 2018
被引用文献数
4

<p> 水族館飼育下のカマイルカの体表にクジラ型パラコクシジオイデス症を疑う多発性の肉芽腫性結節患部を観察した。生検を実施して各種検査を行ったところ,渡銀染色下にて多極性出芽を示した球形の酵母様細胞を認めた以外は何らかの感染症を示唆する所見は得られなかったが,抗真菌剤を用いた治療により患部が緩解しているため,本症例の病態に何らかの真菌が関与している可能性が考えられた。</p>
著者
高橋 英雄 植田 啓一 宮原 弘和 渡辺 紗綾 内田 詮三 鎗田 響子 村田 佳輝 板野 栄子 高山 明子 西田 和紀 猪股 智夫 矢口 貴志 佐野 文子 亀井 克彦
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.34, 2007

水族館飼育下イルカのnon-<I>albicans Candida</I> spp.保菌が健康管理および観客への安全上問題となっているので、飼育されているイルカ20頭の呼気と飼育プール水の病原性酵母叢を昨年8月および本年2月に調査した。さらに飼育関係者24名の口腔内と観客席空中浮遊菌の病原性酵母叢の調査を本年2月に行った。保菌イルカは14頭 (70%)、分離株は<I>C. albicans</I>、<I>C. tropicalis</I>、<I>C. glabrata</I>で、1頭を除き2回の調査とも保有菌種は同一で、大多数の株はアゾール薬に耐性傾向を示した。また、4個体は1呼気あたり数十から数百の病原性酵母を噴出していた。飼育プール水の検査では8箇所中5ヵ所から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. など、飼育関係者の口腔からは24名中5名から<I>C. albicans</I>および<I>Candida</I> spp. などが分離され、一部にアゾール薬に耐性傾向を示す株も含まれていた。観客席空中からは<I>Candida</I> spp.など数株の酵母が分離された。しかし、病原性酵母を噴出しているイルカの呼気が観客に直接かかるような状況はなく、実際に観客席空中からイルカとの共通菌種が分離されなかったため、イルカショーで発生するエアロゾルによる観客への影響は少ないと思われる。一方、イルカ、飼育環境、飼育関係者との間では<I>C. albicans</I>が共通して分離されていたので、現在,遺伝子パターンの解析を進めている。また、イルカの真菌保有の有無は健康状態の指標となりうると思われた。
著者
安 浩子 稲舩 仁哉 川嶋 一広 矢田 由紀 佐野 文子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1_62-1_67, 2018-03-31 (Released:2018-04-30)
参考文献数
2

新しいメディアやデバイスなどの最新技術と、様々な人のアクセスのしやすさや使いやすさに配慮した「最新のアクセシビリティ」への取り組み事例として、NEC公式サイトのデザインとその検討方法を紹介する。企業のウェブサイトは、生活インフラとなる重要な情報発信を担っており、迅速で確実な情報提供を行うことが求められている。一方、企業が「最新のアクセシビリティ」に対応したデザインを維持する難しさは年々増し、継続的に適切な対応が出来ている企業は少ない。本事例では「最新のアクセシビリティ」に対応する「ウェブサイトのデザイン」と、その状態を維持するための「社員の誰もが対応できるデザインのしくみ」、「持続的に対応するための組織と体制づくり」を整理し解説する。