著者
大平 雅之 髙尾 昌樹 佐野 輝典 瀬川 和彦 富田 吉敏 佐藤 和貴郎 水澤 英洋
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.85, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
13

【要旨】新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)では、さまざまな精神・神経症状が急性期症状の回復後、長期に持続し、新たに出現することが知られるようになり、神経症候についてはCOVID-19 後神経症候群(PCNS)と呼ばれることもある。国立精神・神経医療研究センターでは 2021 年6 月より後遺症外来を開設し、このような PCNS あるいは COVID-19 後遺症の患者さんを積極的に受け入れている。当院でも嗅覚障害、記憶障害、不安、うつ状態、疲労など多彩な症候がみられ、その治療は容易ではない。今後は神経内科医を含む複数の専門科が横断的に COVID-19 の長期症状の診療にかかわることが望ましい。
著者
柿本 泰男 佐野 輝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.533-538, 1994-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

パーキンソン病の治療の開発の歴史を概観した.その中でL-DOPA療法の開発の一部に筆者の一人が関与したので,発想や苦労話も加えて記述した.治療法の開発は他の病気のそれと同じく,病因がわかって,理論的に行われたものはない.偶然の思いつき(抗コリン薬),研究的関心(ドーパミン),臨床の偶然の経験(アマンタジン)などが発端になっている.薬物の密造の失敗(MPTP)も新たな研究への端緒になっている.
著者
赫 英紅 佐野 輝男
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.104-108, 2011-11-01
参考文献数
10

リンゴ樹葉圏から高い頻度で分離される非病原性及び病原性の真菌と細菌41種を選定し,真菌はrDNA-ITS,細菌は16S rDNAから各種に特異的な40塩基を抽出し,リンゴ葉圏主要真菌・細菌検出用オリゴDNAマクロアレイを作成した。検出限界は10^2-10^3CFU,培養性・難培養性及び病原性・非病原性を含むリンゴ葉圏に生息する主要な真菌・細菌類を同時に検出可能で,検出シグナルの強度は生息密度を反映していた。青森県弘前市周辺の慣行防除園,特別栽培園,JAS有機栽培園,自然農法実践園の4園地を調査対象として,病害発生状況とリンゴ葉圏に生息する主要な病原性・非病原性真菌・細菌の動態を分析した。慣行防除園と特別栽培園では栽培期間を通じて目立った病害の発生は認められなかった。JAS有機栽培園と自然農法実践園では,開花期にモニリア病,6月上旬から黒星病,6月後半から斑落或は褐斑病斑が発生した。マクロアレイ分析の結果,一般に真菌ではAurerobasidium, Cladosporium, Cryptococcus,細菌ではSphingomonas, Pseudomonas, Bacillusなどが優占していた。慣行栽培園では真菌・細菌の種の多様性に乏しく,生息量も少なかった。自然農法実践園では栽培期間を通じて黒星病菌が優占し,Auyeobasidiumが顕著に少なく,他の園に比べて多様な種が生息していた。
著者
"佐野 輝"
出版者
鹿児島大学
巻号頁・発行日
(Released:2016-10-28)

2008-2010年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書 課題番号:20390314 研究代表者:佐野輝 (京鹿児島大学大学院医歯学総合研究科教授) 気分障害や統合失調症患者において神経有棘赤血球症(NA)関連遺伝子(VPS13AおよびXK)の包括的変異解析を行った。疾患変異の可能性がある変異をヘテロ接合性に持つ者を認めたことから、NA関連遺伝子はこれら精神疾患の病因に関与している可能性が示唆された。また、マウス脳や赤血球膜分画を用いたVPS13A遺伝子産物と相互作用するタンパク質を解析した結果、細胞骨格系のタンパク質の関与が示唆された。 "We performed a comprehensive mutation screen of VPS13A and XK, the gene responsible for chorea-acanthocytosis and McLeod syndrome, respectively, in mood disorder and schizophrenia subjects. We identified the existence of several patients with mood disorder or schizophrenia who carry heterozygous, potentially pathogenic mutations in neuroacanthocytosis-related genes. This suggests that neuroacanthocytosis-related-genes might be involved in the pathogenesis of these psychiatric disorders. The results of analyses of interacting protein using mouse brain and RBC ghost suggest that cytoskeletal proteins may interact with chorein, the VPS13A product."
著者
佐野 輝男 千田 峰生 種田 晃人 R.A. Owens
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ノンコーディングRNA病原体"ウイロイド"の自己複製能と病原性をRNAサイレンシングの観点から解析した。ウイロイド感染植物に誘導されるウイロイドを標的とするRNAサイレンシングにより、ウイロイド分子は少なくとも5箇所のホットスポットが標的となり分解され、多様なウイロイド特異的small RNAが宿主細胞内に蓄積することを明らかにした。ウイロイドは想像以上に複雑な機構でRNAサイレンシングの標的になっていると考えられるRNA配列の類似性を基に2次構造を予測する新しいプログラムを開発し、RNAの自己複製と分子構造の関連性を解析するための基盤を構築した。
著者
兼子 直 佐野 輝 中村 祐輔 辻 省次 大沼 悌一 満留 昭久 小国 弘量 磯村 実
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

てんかんおよび熱性けいれんの原因遺伝子解明を目標に、「てんかん・熱性けいれん遺伝(子)解析に関する共同研究グループ」を設立し、家系収集とサンプリングおよび連鎖解析を進めている。1999年末の時点で収集した家系は223家系であり、そのうち85家系でサンプリングが進行中である。家系調査の対象は、特発性てんかん、beingn adult familial myclonic epilepsy (BAFME)、autosomal dominant nocturnal frontal lobe epilepsy(ADNFLE)、benign familial infantile convulsions、severe myoclonic epilepsy in infancyおよび熱性けいれんである。このうち、特発性全般てんかんの一型であるbenign familial neonatal convulsios(BFNC)では、KCNQ3遺伝子としては2番目の変異が見いだされた家系がみつかり、罹患者のエクソン5 (KCNQ3チャネルのポタシウムイオンの通過路のP-ループ部分をコード)のcDNAの塩基配列925番のTがCに変異していることを発見した。これはKCNQ3チャネル異常がethnicを超えて、重要な遺伝子異常であることを示している。BAFMEは、遺伝素因の関与が大きいわが国に特有なてんかんの一型であるが、その遺伝子座位は第8番染色体長腕上にマップ(8q23.3q24.1)された。現在、責任遣伝子を検索中である。ADNFLEは夜間睡眠中にのみ部分発作を起こす稀な遺伝性てんかんであるが、本邦における最初ADNFLEの家系において、neuronal nicotinic acetylcholine receptor α4 subunit(CHRNA4)遺伝子のM2 domainにおけるSer^<252>がleucineにより置換(C755T)されていることを見出したこれはADNFLEに関連する第3番目のpoint mutationである。現在、BFNC以外の特発性てんかんおよび熱性けいれんについても、収集家系について連安鎖解析が進行中であり、さらに、これらの遺伝子異常によりてんかんが発病する機序について検討中である。