著者
金子 真美 平野 滋 楯谷 一郎 倉智 雅子 城本 修 榊原 健一 伊藤 壽一
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-208, 2014 (Released:2014-09-05)
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

一般人の音声障害に関する音声治療については多くの報告があり,高いエビデンスレベルのものもある.しかし歌唱者の音声障害に対する音声治療については国内外で報告は少なく,現時点で確立された手技もない.今回われわれは歌唱者の音声障害に対し音声治療を行い,症状に一定の改善を認めた.対象は声帯結節,声帯瘢痕,声帯萎縮,過緊張性発声障害のいずれかと診断され,音声治療を施行した歌唱者9例(男性5例,女性4例,平均年齢53.3歳)である.口腔前部の共鳴を意識した音声治療を施行し,効果をGRBAS,ストロボスコピー,空気力学的検査,音響分析,自覚的評価,フォルマント周波数解析で評価した.治療後,音声の改善は個人差があるものの全例で認められ,MPTやVHI-10,GRBASで有意差が認められた.また,歌唱フォルマントもより強調されるようになった.歌唱者の音声障害に対する音声治療は一定の効果が期待できると考えられた.
著者
須釜 淳子 石橋 みゆき 大田 えりか 鎌倉 やよい 才藤 栄一 真田 弘美 中山 健夫 野村 岳志 山田 雅子 仲上 豪二朗 佐藤 直子 柴田 斉子 長谷 剛志 深田 順子 三鬼 達人 有田 弥棋子 浦井 珠恵 大川 洋平 北村 言 臺 美佐子 高橋 聡明 玉井 奈緒 飛田 伊都子 野口 博史 松本 勝 三浦 由佳 向井 加奈恵 麦田 裕子 吉田 美香子 倉智 雅子 白坂 誉子 山根 由起子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.790-810, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
58

目的:本資料は,日本看護科学学会より公開した「看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン」の要約版である.方法:本診療ガイドラインは,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に従い,研究エビデンスと益と害のバランス,患者の価値観などに基づき作成された.結果:身体診査技術を用いた系統的アセスメント,反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテスト,フードテスト,頸部聴診法,超音波診断装置による嚥下観察,内視鏡による嚥下観察に関するクリニカルクエスチョンをもとに,10の推奨が作成された.8つの推奨はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)2Cとして評価され,残りの2つはGRADEなしとして評価された.結論:看護ケアのためのアセスメントに焦点を当て,最新の知見を盛り込んだ信頼性の高い診療ガイドラインが作成された.本資料は要約版であり,臨床実践への活用が期待される.
著者
木村 幸 巨島 文子 植田 秀貴 今田 智美 倉智 雅子
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.S202-S206, 2010

前舌保持嚥下法 (Tongue-Hold Swallow : 以下 THS) は1996 年に Fujiu らによって嚥下咽頭期の嚥下圧生成源となる舌根部と咽頭後壁の接触不全に対し、咽頭後壁隆起を増大させる訓練法として提唱されたが、実際の訓練効果に関してはほとんど報告がない。今回われわれは、検査所見上、嚥下障害の問題の一つが咽頭期における舌根部と咽頭壁の接触不全による嚥下圧 (咽頭圧) 生成不足と考える症例に対して、THS のみを 3 カ月間施行した。訓練前後に嚥下造影検査を実施し、咽頭期における舌根部と咽頭壁の運動幅を測定した結果、舌根部と咽頭壁の接触不全が軽減された。THS は咽頭壁のみならず舌根部の後退運動を増大させる可能性が示唆された。
著者
青木 理紗 大野 華純 仲川 瑞希 長谷川 智美 星 芙美香 倉智 雅子
雑誌
新潟リハビリテーション大学紀要 = Niigata University of Rehabilitation Bulletin (ISSN:21890684)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.75-78, 2013-12-01

新潟方言の理解と使用の地域差について,新潟県在住の中学生以上を対象に中越(長岡,柏崎),下越(新潟),佐渡で実地調査した.10 種類の新潟方言を含めた例文を作成し,被験者に提示した.被験者にはこれらの方言の意味を答えてもらい,同時に日常生活でも使用しているかを回答してもらった.方言の理解・使用についての大きな地域差は認められなかった.それと同時に被験者の年齢に関係なく,若年群・高齢群ともに標準語普及と方言離れが示唆された.