著者
長谷川 功 前川 光司
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.432-434, 2008-05-15
被引用文献数
2 5

北海道千歳川支流の紋別川には,本流と支流にそれぞれ堰堤があり,その下流側では,在来種アメマスから外来種ブラウントラウトへの置換が報告されている。一方,堰堤上流側では,ブラウントラウトは確認されていなかった。しかし2004年秋から2005年春の間に本流の堰堤が決壊し,堰堤上流側へのブラウントラウトの侵入が確認された。今後,堰堤上流側のアメマス個体群へのブラウントラウトの影響が懸念される。
著者
長谷川 功 前川 光司
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.432-434, 2008 (Released:2008-05-28)
参考文献数
20
被引用文献数
6 5

北海道千歳川支流の紋別川には,本流と支流にそれぞれ堰堤があり,その下流側では,在来種アメマスから外来種ブラウントラウトへの置換が報告されている。一方,堰堤上流側では,ブラウントラウトは確認されていなかった。しかし,2004 年秋から 2005 年春の間に本流の堰堤が決壊し,堰堤上流側へのブラウントラウトの侵入が確認された。今後,堰堤上流側のアメマス個体群へのブラウントラウトの影響が懸念される。
著者
後藤 晃 帰山 雅秀 前川 光司
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、北海道の水系に定着したブラウントラウトの生活史と回遊性、また本種の食性と近縁サケ科魚類との種間競争の実態を解明し、本種による在来淡水魚類への影響を評価する目的で、北海道南部の戸切地川、および中央部の支笏湖水系において生態的・集団遺伝学的調査を行い、以下の成果を得た。1.戸切地川において、ブラウントラウトは河口から約7km上流地点に位置する上磯ダム湖で主に生育し、雌では2歳で尾叉長275mm以上に、雄では2歳で172mm以上に達すると性成熟し繁殖に加わることが示された。2.本種の一部の個体は、秋季に尾叉長210-270mmの成長すると、スモルト化し、翌春に川を下って降海型(シートラウト)になること、また降海型は沿岸域で成長・成熟した後、繁殖のために河川に遡上することが確認された。3.本種は尾叉長200-300mmの個体ではトビケラ目幼生、陸生落下動物の他にフクドジョウなどの底生魚類を主に捕食することが示された。4.本種とニジマスが定着している支笏湖水系において、流入河川の美笛川ではブラウントラウトは主に底生型動物、ニジマスは遊泳型動物を摂餌し、2種は餌資源を分割利用していることが示された。一方、支笏湖内では、ブラウントラウトは陸生落下動物が少ない時期に、イトヨ、アメマス、ヒメマスなどの魚類を捕食することが明らかになった。5.餌ニッチの幅では、ブラウントラウトはニジマスより低い傾向を示した。6.ブラウントラウトによる特定魚種への捕食圧が大きくはなかったため、在来魚類の遺伝的集団構造に変化は認められなかった。
著者
中野 繁 Kurt D. Fausch 田中 哲夫 前川 光司 川那部 浩哉
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.211-217, 1992-11-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1

モンタナ州フラットヘッド川水系の山地渓流において, 同所的に生息する2種のサケ科魚類ブルチャーとカットスロートトラウトの採餌行動と生息場所の利用様式を潜水観察し, さらに両種の食性を比較した.一般に, 渓流性サケ科魚類の採餌行動は, 水中の一地点に留まり泳ぎながら流下動物を食べる方法 (流下物採餌) と河床近くを広く泳ぎ回りながら底生動物を直接つつくようにして食べる方法 (底生採餌) に大きく二分される.両種の採餌行動は大きく異なり, ブルチャーの多くの個体が主に後者の方法を採用したのに対し, 観察されたすべてのカットスロートトラウトは前者を採用した.両種間には明瞭な食性の差異が認められ, ブルチャーがコカゲロウ科やヒラタカゲロウ科幼虫等の水生昆虫を多く捕食していたのに対し, カットスロートトラウトは主に陸性の落下昆虫を捕食していた.両種が利用する空間にも明らかな差異が認められ, ブルチャーが淵の底層部分を利用するのに対し, カットスロートトラウトはより表層に近い部分を利用した.また, 前者が河畔林の枝や倒木の下などの物陰を利用するのに対し, 後者は頭上の開けた場所を利用した.両種の食性と流下及び底生動物の組成を比較した結果, 両種間に見られた食性の差異は採餌行動の差異のみならず採餌空間の違いをも反映しているものと考えられた.このような種間における資源の分割利用が両種の共存を可能にしているものと考えられた.
著者
前川 光司 米田 政明 富樫 洋
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.103-108, 1980-06-30

The age composition of 362 red foxes, Vulpes vulpes shrencki KISHIDA, which were collected in eastern Hokkaido during the autumn and winter of 1970-1973,was determined by examination of the annual layers of canine tooth cementum and the fusion of the cranial sutures. The average percentage of individuals younger than 1 year old was 67% during the three-year study period. Some of the red foxes survived longcr in eastern Hokkaido than in other districts. The survivorship curve was estimated for the population surveyed.
著者
長谷川 功 アダムス ロバート 前川 光司
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.651-652, 2007-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1

In June 2006, we found Predation on native lamprey species by a large, nonnative brown trout (600 mm in fork length) in a small stream in Hokkaido, Japan. The trout ate 15 adult lampreys and one unidenti-fied fish. Brown trout may cause decline of endangered native lamprey species.
著者
前川 光司
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.245-247, 1973-12-31 (Released:2011-02-23)
参考文献数
8

The sea-run form of the Dolly Varden (Salvelinns malma) has not been recorded from Hokkaido, excepting two anadromous males (Flikita, 1962; Ishigaki, 1967).On April 23rd, 1972, a silvery specimen of the Dolly Varden, immature female and 153.1 mm in total length, was collected from the Shoji River in the Shiretoko Peninsula, northeastern Hokkaido. It was identified as a smolt of the Dolly Varden, and is a new record from Hokkaido. The tip of the dorsal fin was jet black and posterior margin of the caudal fin was faintly edged with black.No significant differences were recognized.in the number of vertebrae, pored scales, pyloric caeca, and gill rakers, between the smolt and river resident form from the same district.It was considered, from the point of geographical variation of the fish and geographical aspects of the Shiretoko district, that the fish might have hatched in the Shoji River.
著者
前川 光司
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.355-358, 1985-11-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
10

982年と1983年に, 然別湖産オショロコマ (ミヤベイワナ) が多回産卵することを利用して, タッグ装着による母川回帰性を調べた。前年に湖上した同じ河川に翌年再び湖上する個体の比率は極めて高かった。また, 湖中で捕獲し標識後湖に再放流した個体の各河川への瀕上率は, 各河川の総淵上数の比率とほぼ比例していた.このことから, このオショロコマは然別湖水系内で母川回帰することが示唆された。