著者
佐伯 覚 蜂須 賀明子 伊藤 英明 加藤 徳明 越智 光宏 松嶋 康之
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10668, (Released:2019-08-08)
参考文献数
36
被引用文献数
1

要旨:若年脳卒中患者の社会参加,特に復職は重要なリハビリテーションの目標であり,ノーマライゼイションの理念を具現化するものである.国際生活機能分類の普及に伴い,社会参加の重要性が再認識されている.また,政府が主導している「働き方改革」に関連した「治療と就労の両立支援」施策の一つとして,脳卒中の就労支援が進められている.しかし,脳卒中患者の高齢化・重度化,非正規雇用労働などの労働態様の変化は脳卒中患者の復職に多大な影響を与えており,若年脳卒中患者の復職率は過去20 年間,40%に留まっている.脳卒中患者の復職は医療だけでなく福祉分野とも関連し,職業リハビリテーションとの連携,さらには,復職予定先の企業等との調整など様々なレベルでの対応が必要であり,医療福祉連携を超える高次の連携が必要となる.
著者
加藤 徳明
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.178-185, 2021-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1

運転に必要な高次脳機能は, 「注意機能 (情報処理速度, 反応時間含む) 」, 「視空間認知機能」, 「言語機能」, 「遂行機能」, 「記憶機能」などに大きく分類できる。その程度の把握のために, Trail Making Test (TMT) , Symbol Digit Modalities Test (SDMT) , Wechsler Adult Intelligence Scale (WAIS) の符号問題, Rey-Osterrieth の複雑図形 (ROCF) , 反応時間検査, Stroke Drivers Screening Assessment (SDSA) が重要と言えるだろう。日本高次脳機能障害学会では「脳卒中, 脳外傷等により高次脳機能障害が疑われる場合の自動車運転に関する神経心理学的検査法の適応と判断」を作成した。失語症の有無でフローチャートを分けており, (1) 認知症, (2) 半側空間無視, (3) 注意と処理速度, (4) 構成能力, (5) 遂行機能, (6) 失行 (失語症がある場合), の順に評価を行う。特に (3) の評価では TMT-J を重視している。検査のみを実施しその成績の数字だけから判断することは望ましくない。病歴, 画像所見, 日常生活や社会生活の情報などから対象者の全体像を把握して総合的に判断する必要がある。
著者
佐伯 覚 蜂須賀 明子 伊藤 英明 加藤 徳明 越智 光宏 松嶋 康之
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.411-416, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
36
被引用文献数
3 1

要旨:若年脳卒中患者の社会参加,特に復職は重要なリハビリテーションの目標であり,ノーマライゼイションの理念を具現化するものである.国際生活機能分類の普及に伴い,社会参加の重要性が再認識されている.また,政府が主導している「働き方改革」に関連した「治療と就労の両立支援」施策の一つとして,脳卒中の就労支援が進められている.しかし,脳卒中患者の高齢化・重度化,非正規雇用労働などの労働態様の変化は脳卒中患者の復職に多大な影響を与えており,若年脳卒中患者の復職率は過去20 年間,40%に留まっている.脳卒中患者の復職は医療だけでなく福祉分野とも関連し,職業リハビリテーションとの連携,さらには,復職予定先の企業等との調整など様々なレベルでの対応が必要であり,医療福祉連携を超える高次の連携が必要となる.
著者
加藤 徳明
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.297-303, 2020-09-30 (Released:2021-10-01)
参考文献数
18

脳疾患・脳外傷者の自動車運転再開・中止の判断には, 神経心理学的検査等の院内検査だけでなく, 運転シミュレーター, 実車教習を含めた包括的運転評価が勧められる。運転免許適性検査基準を満たしていることは大前提だが, 基準を満たしても同名半盲や半側空間無視, 重度の感覚障害の場合は個別の医学的判断が必要である。免許取り消し又は停止となる病気・病態の確認も重要であり, 認知症は免許取り消しになる。症候性てんかん, 低血糖症, 抑うつ状態, 睡眠時無呼吸症候群は症状の確認が必要である。失語症者は机上検査の解釈が難しく, Trail Making Test-A, Rey-Osterrieth の複雑図形, Tapping span, Vi sual Cancellation 図形「A」・「B」, Continuous Performance Test 等の利用が有効な可能性がある。包括的な評価で「運転適性あり」と判定すれば, 警察の安全運転相談 (全国統一相談ダイヤル : #8080) に連絡するように指導する。不安要素がある場合は「運転再開保留」とし, 3~6 ヵ月程度期間をあけて, 回復を待って再評価を実施する。
著者
佐伯 覚 松嶋 康之 加藤 徳明 伊藤 英明 白石 純一郎
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.311-315, 2016
被引用文献数
8

<p>わが国の脳卒中リハビリテーションの状況は,近年,個別治療手技および診療システムの劇的な変化がみられた.すなわち,虚血性脳卒中発症率の増加,静脈注射用組織プラスミノーゲンアクチベーターの使用,病院の機能分化,回復期リハビリテーション病棟の導入,介護保険制度である.しかしながら,これらの変化が脳卒中後の職場復帰(復職)の経過に影響を与えているのかどうかは不明である.本研究では,20年以上隔てられて実施された2つのコホート研究-脳卒中後の復職の経過分析-を比較した.両研究は20年以上離れているが,初発脳卒中患者の累積復職率は両研究でほぼ同様であった.この結果は,脳卒中リハビリテーションの進歩が復職に大きな影響を与えず,むしろ傷病手当金などの社会保障システムが復職に大きな影響を及ぼすことを示唆している.</p>
著者
佐伯 覚 蜂須賀 明子 伊藤 英明 加藤 徳明 越智 光宏 松嶋 康之
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.411-416, 2019
被引用文献数
1

<p><b>要旨</b>:若年脳卒中患者の社会参加,特に復職は重要なリハビリテーションの目標であり,ノーマライゼイションの理念を具現化するものである.国際生活機能分類の普及に伴い,社会参加の重要性が再認識されている.また,政府が主導している「働き方改革」に関連した「治療と就労の両立支援」施策の一つとして,脳卒中の就労支援が進められている.しかし,脳卒中患者の高齢化・重度化,非正規雇用労働などの労働態様の変化は脳卒中患者の復職に多大な影響を与えており,若年脳卒中患者の復職率は過去20 年間,40%に留まっている.脳卒中患者の復職は医療だけでなく福祉分野とも関連し,職業リハビリテーションとの連携,さらには,復職予定先の企業等との調整など様々なレベルでの対応が必要であり,医療福祉連携を超える高次の連携が必要となる.</p>
著者
飯田 真也 加藤 徳明 蜂須賀 研二 佐伯 覚
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.202-207, 2018-04-25 (Released:2018-05-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1

現在,高齢運転者の認知症対策を強化した改正道路交通法が施行され,ニュース等で取り上げられる高齢者の自動車運転に関する話題も多い.自動車運転は「知覚→判断・予測→運動」に至る複合的な機能が動員される複雑な作業であり,本稿ではまず,高齢者の運転特性について,次に高齢者の運転適性を行うにあたり路上運転評価よりはるかに簡便な簡易自動車運転シミュレーターを使用した自動車運転に必要と考えられる高齢者の認知機能面の特徴について論述する.