著者
葛谷 恒彦 松口 貴子 籾谷 真奈 北尾 悟 杉谷 義憲
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.97-105, 2005-03-08

生活習慣病の発症・進展に深くかかわる"活性酸素"に着目し、活性酸素を除去する働きがある抗酸化物質が生体内でどのように作用するかを明らかにする目的で、ヒト細胞を用いて酸化障害モデルを作成し、抗酸化物質の細胞障害抑制効果の解析を試みた。 ヒト臍帯静脈血管内細胞を培養し、コンフルエントになったプレートの細胞に活性酸素種(H_2O_2、クメンヒドロペルオキシド)を添加し、濃度・時間依存性に進行する細胞死をLDHアッセイにより測定した。自然死、Tween20による細胞死(100%細胞死)を基準として、細胞障害率を求めた。 酸化傷害を与えた結果、H_2O_2では、0.1mM、0.5mMの負荷で酸化障害率が10%以下、1mMで時間に関係なくほぼ40%、5mM、10mMで50%を超え、1時間後が最も高い数値を示した。クメンヒドロペルオキシドでは、0.1mM、0.5mMの負荷で酸化障害率が20%以下、1mMで70%以上、5mM、10mMでほぼ100%近い値を示し、反応時間別に見ると、全ての濃度で3時間後が最も高い数値を示した。
著者
葛谷 恒彦 松口 貴子 籾谷 真奈 北尾 悟 杉谷 義憲 カズヤ ツネヒコ マツグチ タカコ モミタニ マナ キタオ サトシ スギタニ ヨシノリ Tsunehiko KAZUYA Takako MATSUGUCHI Mana MOMITANI Satoshi KITAO Yoshinori SUGITANI
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.97-105, 2005-03-08

生活習慣病の発症・進展に深くかかわる"活性酸素"に着目し、活性酸素を除去する働きがある抗酸化物質が生体内でどのように作用するかを明らかにする目的で、ヒト細胞を用いて酸化障害モデルを作成し、抗酸化物質の細胞障害抑制効果の解析を試みた。 ヒト臍帯静脈血管内細胞を培養し、コンフルエントになったプレートの細胞に活性酸素種(H_2O_2、クメンヒドロペルオキシド)を添加し、濃度・時間依存性に進行する細胞死をLDHアッセイにより測定した。自然死、Tween20による細胞死(100%細胞死)を基準として、細胞障害率を求めた。 酸化傷害を与えた結果、H_2O_2では、0.1mM、0.5mMの負荷で酸化障害率が10%以下、1mMで時間に関係なくほぼ40%、5mM、10mMで50%を超え、1時間後が最も高い数値を示した。クメンヒドロペルオキシドでは、0.1mM、0.5mMの負荷で酸化障害率が20%以下、1mMで70%以上、5mM、10mMでほぼ100%近い値を示し、反応時間別に見ると、全ての濃度で3時間後が最も高い数値を示した。
著者
安藤 真美 北尾 悟 小幡 明雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.67, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】生醤油は、製造工程において火入れ(加熱処理)を行っていないため、鮮やかな色や風味が豊かである特徴を有している。また酵素類が失活していないため、食材に対してたんぱく質分解作用などを活用することも期待できる。これまでにイカ肉を生醤油に漬けると、肉質が柔らかくなり、官能評価でも有意に好まれる結果を得た1)。そこで、本研究では、肉料理に醤油が使われることが多い現状をふまえ、生醤油の牛肉に対する調理特性を調べた。【方法】比較的均一な肉質である牛もも肉(国産)を、100%または50%濃度にした濃口生醤油(試験区:キッコーマン製)または濃口醤油(対照区:キッコーマン製)に25℃で8時間または20時間浸漬後、未加熱および加熱(沸騰水中2分)したものを分析に用いた。分析項目は、プロテアーゼ活性(しょうゆ試験法)、色調(測色色差計)、破断応力(レオメーター)、食塩量(伝導度式塩分計)、アミノ酸量(アミノ酸分析計)、たんぱく質組成(SDS-PAGE)、および官能検査(評点法)である。【結果】未加熱の場合、浸漬後の牛肉の塩分量に比例して硬くなったが、どの条件でも試験区の方が柔らかかった。加熱の場合も同様に塩分量に比例して硬くなったが、50%濃度では試験区の方が対照区よりも柔らかかった。軟化の原因は、遊離アミノ酸量およびSDS-PAGEの結果から、食塩による脱水ではなく、たんぱく質分解酵素に起因するものと推察された。100%濃度で20時間浸漬した試料と、50%濃度で8時間浸漬した試料について官能評価を実施したところ、香り・やわらかさ、おいしさ(総合評価)において試験区のほうが高い評価であった。実際の調理に応用するために、醤油濃度・浸漬時間および温度などの詳細な検討が必要である。1)2014年度日本食生活学会
著者
北尾 悟 安藤 真美 川崎 明子 原田 倫夫
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-22, 2021 (Released:2021-07-02)
参考文献数
14

In order to promote the effective use of mirin lees, which is a large amount of squeezed meal produced in the pressing process of mirin brewing, its function and processed food using mirin lees were verified. Since mirin is known to have antioxidative ability, it is expected that its pomace has a similar function, so the peroxyl-radical scavenging activity was measured. As a result, the radical scavenging activity was low in raw mirin lees, but the scavenging activity tended to increase depending on the storage and aging period of the lees. From the change in color difference, it was speculated that the production of browning substances due to the aminocarbonyl reaction was largely involved. The antioxidant ability of the cookies and the radish pickled with mirin lees also increased with the use of the lees with a long storage aging period. Furthermore, from the sensory test, it was suggested that it is necessary to improve the palatability by examining the ingredients used and the blending ratio. From the above results, it is considered that the possibility of new utilization development of mirin lees with added functionality is expanded.
著者
菱田 瞳 安藤 真美 門上 剛 白坂 直輝 北尾 悟
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.37, 2012 (Released:2012-09-25)

【目的】ホスホリパーゼA2(PLA2)は、卵黄に多く含まれるレシチンなどグリセロリン脂質のグリセロール2位のエステル結合を加水分解し、遊離脂肪酸とリゾリン脂質を生成させ、耐熱安定性、乳化性および起泡性の改善などが期待できる。先に検討したカスタードクリームでは、酵素処理卵黄を使用した場合、冷凍耐性の向上などの利点が明らかとなったが、遊離脂肪酸の影響による苦味が残るため官能評価では必ずしも好まれる結果が得られなかった。今回は、苦味による影響を低くするために高温で焼成するスポンジケーキを対象に、酵素処理の有無による比較検討を行った。【方法】Streptomyces属起源の食品添加物として認可を受けたPLA2を使用した。無改質、分解率50%、分解率80%の3種類の卵黄を用いて170℃、25分の条件で作製したスポンジケーキを測定試料とした。さらに生地を調製後1週間冷凍し焼成(以下A)、および卵黄のみを1週間冷凍し解凍後生地調製・焼成(以下B)した場合も検討した。焼成後、高さや比容積などを測定し、物性測定はクリープメーターを用いた。官能検査は評点法にて実施した。【結果】酵素処理卵黄を用いた場合、分解率に関わらず高さおよび比容積が有意に高く破断エネルギーは有意に低かった。官能検査では、「苦味」は無処理卵黄を用いた場合と差がなく、かつ分解率が上がるほど有意に「甘く」感じられることが認められた。A条件でも同様の結果が得られたが、B条件では高さおよび比容積以外有意差は認められなかった。以上の結果からPLA2処理卵黄を用いたスポンジケーキは、生地を冷凍保存してもボリュームアップ効果や食感・食味の向上が期待できると考えられた。
著者
北尾 悟 籾谷 奈保子 安藤 真美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.48, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 近年、様々な食品や食品素材の抗酸化能が評価されている。食品に調理操作を施し料理になる過程において抗酸化能は変化すると思われるが、その詳細を検討した事例は比較的少ない。また、砂糖は一般調理で最も使用頻度の高い甘味料であるが、調理過程における抗酸化能への関与については明らかにされていない。そこで、砂糖を用いた料理としてりんごのシロップ煮を取り上げ、その調理過程の抗酸化能の変化を調べた。さらにそこで得られた知見から、スクロースによるアスコルビン酸の抗酸化能保護効果についても検討した。 【方法】 りんごのシロップ煮の各調理過程における抗酸化能の変化を、AAPHペルオキシルラジカルのルミノール化学発光に基づくAAPH-CL法にて測定した。さらにモデル系として、アスコルビン酸添加の有無、スクロース濃度(0、30、60%)、加熱時間(0分、10分、20分)の組み合わせを変化させ抗酸化能を測定した。 【結果】 りんごのシロップ煮の各調理過程において、シロップとりんごそれぞれの抗酸化能の和と比較して、りんごのシロップ煮の抗酸化能は約3倍となった。一方、モデル系の場合、アスコルビン酸単独溶液は、加熱とともに顕著に抗酸化の減少が見られたが、同濃度のアスコルビン酸にスクロースが共存すると、抗酸化能の減少が有意に抑制された。スクロース自身も弱いながら加熱により抗酸化能は上昇するが、このスクロースによる抗酸化能の減少抑制効果は、相乗的かつ濃度依存的であった。以上の結果、スクロースは加熱により影響を受けやすい抗酸化成分に対してその保護効果を有することが示唆された。
著者
北尾 悟 寺本 円佳
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.69-78, 2002-03-06

アルカリpH域におけるブドウ種子ポリフェノール(GR-S)のDPPHラジカル捕捉活性の熱安定性についてアスコルビン酸(AsA)と比較検討した。またアルカリpH域で加熱ゲル形成を行うコンニャク製造にGR-Sを応用し,GR-S配合コンニャクを試作し,そのDPPHラジカル捕捉活性をはじめとする各種の評価を行った。中性pH域と比べると,アルカリpH域ではGR-Sも若干ラジカル捕捉活性が減少したが,AsAよりもはるかに熱に対して安定だった。例えば,AsAが完全に活性を失ったpH 10.0,100℃,30分処理において,GR-Sは捕捉活性を約60%保持していた。このことより,GR-Sはアルカリ・熱に対して非常に安定なDPPHラジカル捕捉化合物であることが明らかとなった。GR-S配合生コンニャクはDPPHラジカル捕捉活性を有意に示すことが明らかとなり,醤油ベースのおでん風味とした場合でも活性を確認できた。一方,同濃度のAsA配合生コンニャクでは弱い活性値しか示さず,おでん風味となると活性が検出できなかった。GR-S配合コンニャクは,無配合およびAsA配合コンニャクと同等なテクスチャーを有し,官能検査でも同様の結果が得られた。GR-S配合コンニャクは特に赤色に着色しており,官能検査でも生の場合,外観そして全体の評価が悪かった。しかし,おでん風味となると今回試作した3種類のコンニャクに大きな評価の違いはなかった。
著者
的場 輝佳 北尾 悟 安藤 真美 高村 仁知
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

環境に優しい食生活を実現するため、機能性および嗜好性を維持できる、正しい「エコロジー調理」を提言することを目的として研究を遂行した。水系において、加熱調理が機能性および嗜好性に与える影響について検討するため、物性を同じ状態にした調理品を試作し、調理法の違いによるCO2排出量を算出するとともに、調理操作の違いによる機能性の差異を解析した。電子レンジを用いた場合、ガスコンロを用いた場合よりもCO2排出量が少なくなる傾向が見られ、さらに蒸らし操作を加えるとより効果的であることが認められた。調味料を加えた調理では、食塩や醤油を加えた調理で、電子レンジの使用がCO2排出量を増大させる傾向にあった。